ひなたぼっこ

「まだ見ぬ素晴らしい景色」を求めて自転車で。

右手峠~美作・湯郷

2011-12-17 | Bicycle ride


山が白くなりだすと、雪に閉ざされる時期が目前に迫っていることを実感する。
自分が小さい頃に比べると雪の降る量はずいぶんと減ったと思う。
それでも山に囲まれた鳥取は雪深い地域で、主要国道以外の峠は春まで通行止なんてのがざら。
完全なシーズンオフになる前に出来るだけ走っておこうと思うのです。






この日は寒くて・・・ 路面温度計の表示は「3℃」ですよ
この時期になると道路には凍結防止剤が撒かれ、
自転車にとってよくないな〜 洗車きちんとしないとな〜などと考えながら走らざるおえません。

この道をまっすぐ行けば支戸坂峠、右に折れれば右手峠となるのです。
どっちに行くか迷ったけど、行ったことない右手峠を越えることにします。
てゆうか、仕事柄わりと山の奥から谷の下まであちこちと車で行くんですけど、右手峠って存在を今まで知らなかった。
この歳になって、更に地元なのに初めて通る道ってちょっとワクワクします。



曲がった瞬間から登り坂が始まります。
ただ、大した坂ではない(気がする)
先週辰巳峠を登りきった自分にとって、ここはそれより標高も低いし勾配もゆるそうだから問題ないだろうと。


この辺りは紅葉なんてとっくに終わってましてね。
でもこんな可憐なもみじを見つけて少しだけほっこりするのです
   




が・・・



ちょっとした坂道だと軽く考えてたらけっこうな勾配の道でして
しかもカーブが多く先が少ししか見えないので実際どこまで続くのかってのが全然わかりまへん

写真を撮る余裕もなく息も絶え絶えでなんとか分岐になるとこまで登ってきました。


「←右手峠」って・・・ まだ峠じゃなかったのね・・・orz



 新 田 集 落



歴史は古く、約360年前の江戸時代の開拓によって出来た村である。
柱である林業を生業として今日まで続いてきた。
「智頭杉」の産地であり、智頭杉は全国的にも評価が高い。

だが、現在では戸数18、住民50人弱で高齢化率60%超と俗に言う「限界集落」
過疎化と高齢化ってことは、このままならそう遠くない将来ここに人がいなくなる。
自分達の村が消滅してしまう・・・
こんな声はここだけじゃなくて全国の至るところで聞こえる。
実際にそれを避けられないところも多いと思う。


昔とは時代も変わりニーズも変化してる。
歴史があるからといってそのままでは過疎と高齢化の問題は解決しない。
行政の補助金や融資をあてにしても結局それは長くは続かない。

どうすればいいのか?どうするか?


そしてこの新田集落は立ち上がった。

「自分達のことは自分でする」

全国初となる 住民全員が参加した集落全体をNPO法人化。
田舎を求めている都会の団体との提携により、農業・林業”しかない”のを逆手にとった交流事業。
伝統の人形浄瑠璃による文化の体験・伝承。

”住民全員で”10年先までの総合計画を作り、取り組む。
”住民全員で”全国から識者を招いて勉強会を毎月開催し参加(もう100回を超えてるらしい)
”住民全員で”他の活性化に努めてる村を視察

これらによってこの村は息を吹替えした。
もちろんまだ完全ではないだろう。
でも先祖が残してくれたものと、今あるものを使って自分達で歩いている。
お上の補助金をあてにしなくても自分達の分は自分達でお金を産み出す。
それによって雇用も産まれる。


日本再生の鍵はここにあると思いました。

どんなに立派な人がいても、どんなに頭が切れる人がいてもその人だけが頑張ったって出来る事はしれてる。

全員で考え全員でやる

自分を始め日本中の多くの人がこの新田集落から学ぶことがたくさんあると思います。


てまぁ、堅苦しく書きましたがここは棚田も綺麗だし、御飯食べるとこもあるし、
県外からも買いにくる人がいるらしいパン屋さんもあるしでいいとこなんで
機会があれば足を運んでみて下さい。



さて、右手峠
新田集落のあたりが急坂だったんですが、それを過ぎると大した坂じゃなかったです
九十九折の道をだらだらと登ってく感じです。

朝は吹雪だったんでしょう 杉の木に着雪してます
   

写真は寒そ~だけど登りは汗かくぐらい熱い
気温は2℃なのに額から汗が落ちるくらいですから自転車の運動量ってけっこうなもんですね


そんなこんなで頂上ですよ


頂上が県境になってる峠らしい峠ですね
展望がよければ言うことなしなんですが、ここからは何も見えない


頂上を越えたらお待ちかねの軽快なダウンヒル  ・・・のはずが・・・


 寒いーーーー!!w

凍死するかと思いましたよ イヤまじで。
車が全然通らなくて快適なのに寒すぎてスピード上げれない悲しさ。
こういう時の服装が難しいです。


とにかく標高の低いとこに下りたいと黙々と進んで行ったら久賀ダムに着きました。

紅葉じゃないとこれといって見所なし!はい次!



 湯 郷 温 泉

昔はもっと歓楽街って感じのとこだった記憶がある。
仕事の帰りに寄り道してストリップを見たのはいい思い出w

1200年の歴史を持ち、薬湯としても有名。
奥津温泉、湯原温泉とともに美作三湯と呼ばれているけど、
湯原、奥津が国民保養温泉地に選ばれる中、歓楽街の色が強かった湯郷は選外となった。
それを機に方向性を見直したのか、今では歓楽街の色はほとんどしない。
オルゴール博物館とか鉄道模型とか、そっちの方に力を入れてるのかな?


からくり時計ちょうど見えました


美作に伝わる さんぶ太郎 の登場です。
わりと面白いですよw

円仁法師が白鷺が足を湯につけて癒しているのを見て、この湯郷温泉を発見したわけです。
なのでここのシンボルは鷺なんですよ。

白鷺をイメージした噴水


自転車入れて写真撮ろうとしたら直前で止まりやがった・・・



横にはこんな演出も


これ全部ロウソクなんで、夜は綺麗でしょうね。
噴水もライトアップされるしでなかなか幻想的なんじゃないですかね。



この上にラグビー・サッカー場がありまして、なでしこリーグの湯郷Bellの本拠地です。
先のワールドカップでも大活躍した宮間あや選手がいるところですね。
練習してるような声が聞こえなかったのでこの日はここにはいなかったんでしょう。




ここからしばらく幹線道路を走ったんですが、車は多いし走りにくいしで面白くないな~と。
そこで何気なしに横道に折れてみるとこんな雰囲気のいいとこに出た


古い建物がたくさん残ってるし、この石畳といいなかなかよい感じです



こうやって思いついた時にどこでも入っていける自転車ってほんと楽しい


最後は夕日は染まる爪ヶ城~滝山~那岐山の山脈を見てこの日は終了。


白くなった山が夕日を浴びると綺麗でした。



これを書いてる今、外では雪がしんしんと降っている。
もうオフシーズン。
この時期にCASATIを組み上げねば。



紅葉&峠越え

2011-12-06 | Bicycle ride
初めてのスポーツバイクであるクロスバイクを手にしたのが去年の10月。
最初はGIANTのエスケープでした。
今まで持ってた自転車のイメージを根元からごっそり変えてくれて
自転車って面白い!って気付いて乗り続けて1年ちょい経ちました。

最初は30km離れたとこまで行けるのに感動して、そのうち100km走って自分でも正直驚いて…


そんな時からいつかは挑戦したいと思ってたルートがありました。

多少は自転車に慣れた。
自転車も変わったし、パーツも変えて性能も上がった。
もうすぐ山には雪が降るから、次にやろうと思っても春になる。

今しかない!


っていかにもすごいとこに挑戦みたいな感じで書きましたが普通の峠ですw



スタートは雨



雨の日は乗りたくないんですけどね…
朝起きた時は晴れてたのに、家出た直後に降り出すんだからしょうがないです

この日は降ったり(小雨ですが)晴れたりの繰り返し
天気は良くなってく予報だったので大丈夫でしょう


晴れ間に見える河原城


朝の陽の方が景色って綺麗に見える
前日忘年会だって多少酒が残ってましたが、早起きするもんですねやっぱり



 紅 葉

     





山の方はもう既に落葉してる
平地の辺りも見頃は過ぎてしまった気もしますが、まだ紅葉の雰囲気は味わえますね

今年は辺り一面色づいた紅葉の景色ってのが結局見れなかった
でも自然が相手だから仕方がない
それを求めていく過程も楽しいんだから



 佐 治



平成の市町村合併で鳥取市佐治町になりましたが、それまでは佐治"村"でした。
合併前は鳥取県に41の市町村があったんですが、"村"は4つしかなかったのです。(市4、町33、村4)
今では西部の日吉津村だけとなってしまいましたけどね

日本で最も人口の少ない鳥取県の中で最も人口の少ない市町村
鉄道も走ってない
信号も多分一つだけ(しかも点滅信号w)

山間の静か〜なとこです



ここは自分の母親が生まれ育った町です
自分も幼少期に一時住んでたし、しょっちゅう来てたので今住んでるとこの次に馴染みがあるとこです

小さい頃は何もないとこだと心底思ってた
でも今大人になってここに来ると、その何もなさがとても魅力的に感じる
何もないからこそ、ここにしかないものがある
それに気付いてから以前よりここが好きになったし、第二の故郷として誇りを持つようになりました



この辺りで自宅から30kmちょい
母親の実家はもう少しだけ行ったところ
最初は自転車でここに来れただけで感動したもんだとちょっと感慨深いです

少しだけばあちゃんに会って、今日はさらに奥へ



 佐治川ダム



ガキの頃ここにカブトムシを捕りに来たな
お盆に親戚の集まりなんか集まって、夜になると決まって「ダムに行きたい!」と。
でも大人はみんな酒飲んでるからめんどくさがって行きたがらないんだけど、
遠くから来てるオジサンは普段顔会わさないから子供達に優しくて連れてってくれてた。

ここに来ると街灯の下にカブトムシやクワガタがすぐ見つかって
子供にとってはまさに夢のような最高の場所だった
でも年々といなくなってって、その内全くといっていいほど見なくなってしまって
子供ながらに寂しさを感じたのを思い出す
あの頃から環境ってのはすごい勢いで変わっていってたのかもしれませんね



 辰 巳 峠



これを超えるのが本日の目的です

昔は 酷道 とか言われてたひどい道だったみたいですが、今では綺麗な道路です。
ただ、車で通った時に「坂がキツイとこだな〜」って印象が強かった

この手前から10%の坂が続きます
10%って事は10m進んだら1m登るってこと。そう考えたら結構な勾配ですね。
それが延々と続くわけだから正直Uターンして帰りたくなるw

写真の先に見える温度計は「7℃」と表示されてました。
7℃って部屋の中だったら寒い寒い言ってる温度です。
でもこの時は汗ブルブルですよ・・・


まだまだ登りは続く・・・


写真だと急坂ぐあいが伝わりにくいですね
でもこのベンチを見ると多少わかりやすいのではないでしょうか?


こんなのが続くんですからきつくないわけがない

でもここで新しいホイールの効果が一番体感できる!
ペダリングは確かに軽い
けどこんなに長く坂が続けばどんどん失速していくのでその軽さは体感出来にくい
しかし、疲れたと思ったときにギアを一段軽くすると今までよりも明らかに"回せる"
クランクが回ってる限り自転車は進みます
確実に今までよりも楽に登れるようになってるのは間違いないです
それも少しではなく数段レベルで!


ずいぶんと高くまで登ってきました



ここはあまり展望がよくないですが、こうやって景色が見えると辛いおもいで登ってきたのが報われる瞬間の一つです


だがまだ坂は続く・・・  ぐはぁ!



しかしこの世に終わりのない坂なんてないんだ

着いたー!!



頂上が見えた瞬間の感動は自動車なんかのエンジン付きで登ってはけして味わうことが出来ません
毎度言ってますが登りはシンドいから嫌いです
でも登りきった瞬間の喜びは何用にも代え難い。それは認める。


さて、ここまで来ればもう今日の山場は終わりました。
このまま進んで津山まで目指して行くわけですが、ここからは基本下りです。
なもんで後は事故さえ気を付ければ労せず辿り着けるはずです。

楽チン楽チン♪



 恩 原 高 原



白樺! 青空! でも南風ではないw


この日もとても綺麗だった
でもやっぱり紅葉の時に来るべきだと思いました・・・


鏡野町  こういう景色めっちゃ好き




名勝 奥津渓



紅葉が終わってしまってるのは知っていた
ここは渓谷だけでも素晴らしい景色だと思う
時間がなくあまりゆっくり出来なかったけど、じっくり見たいと思う場所だ

でもやっぱり来年は紅葉の時に来ようw


夕景の奥津湖(苫田ダム)



旧奥津町の中心部に建設された為、当時は地元の反対運動が加熱していたらしい
大規模な反対運動が展開され、「ダム建設絶対阻止」が町是だった。
しかし結局はお上から、奥津町に対して補助金と公共事業の締付をされ行政は混乱。
たいした産業のないこんな山間の町で、そんな事をすれば住民は生活できなくなる。
結局はここを離れるか、ダム建設を容認する(その場合でも当然住めなくなる)かのどちらかを選ぶしかない。
自分の故郷への思いとか、どうしても無くしたくない大事な物があってもどうしようもない。

沖縄の基地問題や原発と同じ構図がここにもある。
というか日本の行政のやってきた事って全部これ。
確かに全く必要のないものを造りはしないと思うけど、誰でも無くしたくないものって当然あるわけで・・・
そして大事なものは人それぞれ違うんだということ。

仕方がない面もあるのかもしれない。
ただ、本当にこれでいいのか・・・とも思ってしまうのです。





 津 山



無事目的地へ辿りつきましたが、その頃にはこんなに真っ暗ですよ
津山のB級グルメ ホルモンうどん を食べてこの日のライドは終了です

帰りは輪行



とまあ、長々と記事を書いてしまったわけですがw

率直な感想は 楽しすぎる!w

峠越えって景色の変化がすごい
一日走れば自分みたいな貧脚でもけっこうな距離を走れるし
その中でこんなに見処があったなんて改めて気付かされる事が多いです。
多少荷物が増えるけど、輪行することによって更に遠くまで行けるし。


何回も言うけど登り坂は嫌いです。

でも「次はこの道を反対から走ってみようかな」とか、
「お!ここなら車が少なそうであそこまで行ける」とかって新たの峠越えルートを模索している今日この頃です・・・