通訳案内士の気ままな生活

現役通訳ガイドのブログです。プライベートから気になる収入などの話まで!?包み隠さずお話します!

規制緩和の問題点の検証

2010-06-16 21:36:11 | 通訳案内士のあり方
さて、通訳案内士法の規制緩和反対というと
ただ自分達の利益を守るためと思われてしまいそうなので
具体的に現状の問題を検証してみましょう。

観光庁は悪質ガイドの取り締まりに関して
苦情ベースで対応しようとしています。
つまり苦情が出なければ対応しないと言うことです。
この対応では下記のような問題は野放しになり解決されないでしょう。

事例①
例えば、お客さんが神戸牛ステーキを8000円で販売されて
神戸牛は美味しいなぁ~と食べた。
そしてガイドには2000円の手数料が支払われた。
お客さんは偽物の神戸牛を食べたけど気づかないから
苦情にはなりません。
本人はそれで満足しているからいいのかもしれませんが
日本の観光ブランドを守るという観点からそれでいいわけはありません。

事例②
本来なら静粛な雰囲気の中で
静かに案内しなければいけない美術館の中で
違法ガイドが大声で案内をする。
そのガイドが連れているお客さんは特に何も感じないでしょうが
他のお客さんには迷惑ですし、雰囲気も壊れます。

事例③
レストランが混雑していました。
違法ガイドは自分のお客さんを早く席につかせるために
前の団体にプレッシャーをかけていました。
直接その団体には声はかけませんが、明らかに聞こえる声で
店員を怒鳴りつける。早くしろと。
そしてそのお店はビュッフェスタイルでしたが
自分のお客さんにいい思いをしてもらおうと
違法ガイドは列に横入りしまくる。

事例④
皇居の二重橋の見学には通常はお客様に駐車場で下車していただき、
5~10分ほど歩いていただき二重橋まで行きます。
これは通訳ガイドも、日本人の添乗員も誰でも守っているルールです。
しかし皇居の目の前の歩道に進入し駐車して
そこで乗り降りさせている外国人団体のバスが居ました。
しかも乗車が修了するとバックで交差点に進入し去っていきました。

事例⑤
日本ではドライバーガイドはほとんど居ません。
なぜなら個人タクシーと通訳案内士の両方の資格が必要だからです。
なので、通訳ガイドも自家用車でお客様を乗せて
ご案内するようなことはありません。
白タク行為にあたります。
ですが、観光地では外国人による観光白タクをよく見かけます。
しかもそういう白タクは通常は車が乗り入れない施設の目の前に堂々と横付けします。

以上は私自身、もしくはガイド仲間が目撃した事実です。

このように違法ガイドの横行は
彼らのお客さんにとってはクレームにならないものも多いのです。
どちらかと言えば特別扱いしてもらって嬉しいことでしょう。
こういった行為を野放しにすることが
日本の観光資源を荒らしているという事実に気づいていただきたいものです。
ツアー参加者のクレームベースの対応ではこういった横行はなくなりません。

また法律を遵守し納税義務を果たしている通訳案内士が
日本国内で納税しない外国人違法ガイドと
不当な価格競争をさせられていると言うのもおかしな話です。
通常はこういった外国人の横行を取り締まり
一定の歯止めをかけるのが
独立した法治国家としてあるべき姿ですが
どうも、外国人に好き勝手にさせることを
おもてなしと勘違いしている方がお役所の中にはいるようです。

私達は普段から外国人のお客様を相手にお仕事をしています。
外国人への対応では時には毅然とした態度を取ることも必要なのは
ガイドのみなさんなら承知していることでしょう。

今は670万人の外国人観光客が
ルール無視のガイドに引き連れられて3000万人やってくる。
恐い話だと思いませんか?
安易な規制緩和にはそれなりの代償が伴います。

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