持続可能な国づくりを考える会

経済・福祉・環境の相互促進関係を!

「空気」は再生可能エネルギーへ、しかし

2011年05月15日 | 原発の持続不可能性
 「持続可能な国づくりの会・理念とビジョン」
  ダイジェスト版
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運営委員長の岡野です。



 今朝、NHKテレビの「日曜討論 徹底論戦!政治はどう対応するか 福島原発事故は・浜岡原発停止は」を見ました。

 各党の原発・エネルギー政策の責任者が出演していましたが、さすがに原発を推進してきた自民党や元自民党の議員からも反省の言葉が聞かれ、全体としてもはや原発積極的推進という「空気」はなく、「原発ではなく再生可能エネルギーへ」という「空気」が支配的になってきていました。

 先日、一部、依然として原発を推進しようという自民党議員グループが結成されたようですが、幸いにして、当面、そういう空気が大きく膨らむことはなさそうです。

 とはいっても、きわめて残念ながら現状の日本の産業構造が要求するエネルギー需要からしてすべての原発を即時停止―廃炉することはできないでしょうが、政・官・財・学界を含むすべての国民全体の安全のためには、なるべく早急にそちらに向かう必要があります。

 エネルギー政策をその場しのぎ・フォアキャスト的でなく未来志向の政策的・バックキャスト的に変えるには、「国」の産業政策そのものを変える必要がある、というのが私たちの主張です(「理念とビジョン」参照)。

 これから、日本の復興とその先の方向性をめぐって、さらなる政界再編成が起こらざるをえないと思われますが、「国」が変わり、エネルギー政策をまったく新しい持続可能な方向に転換するまで、原発を地震―津波が襲わないよう、一国民としては日本の幸運を祈るばかりです。



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25 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-05-15 23:19:30
収束したかにメインで報道されていた福島原発についてぼろぼろ出てくる「新事実」には恐るべきものがあります。
私はこれまで政府・マスコミの流す「原発安全神話」の「空気」のなかでほとんど疑問を抱かずに生きてきましたが、不明を恥じるばかりです。神話を信じるとは文字通りこういうことだったのですね。。。
目先の対策だけで根本に着手しないことには事態は先延ばしになるだけで改善しないことは明らかであり、「く未来志向の政策的・バックキャスト的に変えるには、「国」の産業政策そのものを変える必要がある」というご主張に、それがいかに困難であれそうあるしかないという意味で心から賛成いたします。
それまでに地震―津波が襲わないように、とのこと、ほんとうにそのとおりですね。あのスマトラ地震のあと、数年スパンでM7~8級の大地震が続発したことから類推すれば、その可能性はきわめて高くなっていると思われ、その点でも大変心配です。ぜひ変化の「空気」が加速しますように!
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国にしかできないこと・・・ (HIRO)
2011-05-16 01:23:05
エネルギー政策と産業政策・教育政策は、長いスパンと大きな投資が必要だから、国が主体となってやるしかない。
“苦肉”の策でなく、“国久”(国が永久)の策として、国家100年、1000年の計、更にその先までをも展望して欲しいです。
そのための一歩として、No,原発の「空気」がどんどん膨らんで欲しいです。
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現在の「空気」の状況 (東の回廊)
2011-05-16 07:11:26
現在、一般市民がどういう意識を持っているかを調べる方法として世論調査があります。(もちろん、世論調査には統計的ばらつきを含みますので、この結果が絶対だというつもりはありません。)毎日新聞5/16朝刊に掲載された調査結果によりますと、
・浜岡原発停止 評価する…66%、評価しない…25%
・浜岡以外の原発 停止すべき…34%、停止する必要なし…54%
・日本のエネルギー政策 原発やむなし…31%、減らすべき…47%、全廃すべき…12%

以上です。ご参考下さい。
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空気は膨らんでいく? (岡野守也)
2011-05-16 11:16:31
>Unknown さん、HIRO さん、東の回廊さん

 コメント有難うございます。

 各誌の世論調査を見ると、原発すべてを廃止するというところまで空気が膨らんでいないことは確かなようです。

 しかし、これからフクシマが長引き、さらにメディアが事実を暴き、空気を煽ると、もう少し膨らむと予想されます。

 今回はNHK以外のメディアは久しぶりに批判的機能をある程度果たしつつあるようです。

 それも所詮は「今なら原発の暴露記事・暴露本は売れる」という動機が透けて見えますが。

 その中で、振り返ると岩波書店が一貫して反原発路線の出版を維持してきていることは、改めて評価できると思っています。

 それはともかく空気が膨らんで爆発するところまで行ったとしても、その爆発の受け皿がないと、安保反対560万人デモのように、やがて空気抜きされて鎮圧―収束ということになり、「地震列島に原発列島」という危機はそのまま放置されることになると思います。

どうすればいいとお考えですか?


 
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NHK日曜討論 (たろう)
2011-05-16 14:54:02
NHKの日曜討論は残念ながら見ませんでした.ぜひ見たかったですが.面白い討論はなされたのでしょうか.
今の社会の状態で,原発推進を正面から言える人はなかなかいないでしょう.しかし,言わないだけで思うほど減ってはいないようです.
どうしてでしょうね.
都知事選が終わって,知事に再選された石原都知事が,福島原発分くらい,都内の自動販売機とパチンコを止めればそれで解消するというようなことを言いましたが,パチンコも自販機も止まりませんね.自販機は多少は節電をしているようですが.
それで食べている人がいるのですから,その手当をしないで,止めろというのは無理があるでしょう.都が税金でその人たちを食わせるからと言えば,止まったかもしれませんが.
欧米のように,それで食べている人がいなければ無くても問題ない訳ですが.
原発の電力は,一部にそれで食べている人がいるどころではなくて,日本人全体がそれを利用しています.その点に,引っかかりがあるのではないでしょうか.
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知らぬが仏? (岡野守也)
2011-05-16 15:10:10
>たろうさん

 コメント有難うございます。

 日曜討論、率直に言っていつも面白くありません。ちゃんとした議論がなされないからです。

 原発全面廃止という意見は、朝日の調査によれば、現在12%くらいしかいないようです。それは、偉そうにいっている私もそうでしたが、原発の危険さ、持続不可能性を学習しておらず、印象で「でも、原発がなくなると電力が足りなくなるんじゃないの」と思っている・思わされたままだからだと思います。どんなに危険な事実があっても、知らぬが仏で、平然としていられるのですね。

 ただちには無理でも、ステップを踏めば、ごく近未来に原発なしで日本人全体が必要とする電力はまかなえる、という説があり(他の記事参照)、私はそれが正しいだろうと推測しています。

 引っかかりは、国民全体が、知らされていない・知らないところにあるではないかと思いますが、たろうさんは、どうお考えです。

 なお、脱原発を推進する際、原発で食べている方たちの止めても食べていける道・再雇用先を用意する必要がある、と私も考えています。再生可能エネルギー関連の事業によって創出された雇用が、それにいちばんふさわしいのではないでしょうか。



 
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Unknown (たろう)
2011-05-16 15:29:13
>引っかかりは、国民全体が、知らされていない・知らないところにあるではないかと思いますが、たろうさんは、どうお考えです。

そうですね.東電は,データを隠していたように思います.そういう不信もありますが,それだけでもないように思います.
反原発の講演を聴くと,原発などすぐ止めても電力は心配ないといいます.夏のごくわずかの時期,昼の2時頃のピークさえ乗り切れば,全く不要といいます.原発擁護の人の話を聞くと,再生可能エネルギーは理想だが,全部というのは非現実的だといいます.

私はこちらと思う,ではいつまでたっても進展が無いのではないでしょうか.
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「空気」を変える方法 (東の回廊)
2011-05-16 22:26:48
「空気」は、集団の中で醸成されます。集団内の個々の成員が互いに縛りを掛け合うことによって強固な「空気」が形成されます。集団の内側から「空気」を破ろうとしても、そういう人は「『空気』を読めないヤツ」として扱われ、権力を剥奪されます。こういうメカニズムで「空気」支配が形成されるのです。従いまして、「空気」による支配は、集団の内側からは決して破ることができません。これを破ることができるのは、その集団より強い力を持った「外部」だけです。

日本のエネルギー政策が「空気」で決定するものなのであれば、それ転換することができるのは、日本に対して圧力を掛けることができる「外部」つまり“影響力の強い大国”だけです。

(日米安保に関しては、当時の冷戦構造の枠組みの中で決められたことなので、政策の転換を促す強力な外力が存在しませんでした。だから、いくら国内でデモをしようが無駄でした。)

どうすればいいかということについては、非常に逆説的ではありますが、福島第一原発の後始末が悪ければ悪いほど原発に対する不信感が増大しますので、アメリカの世論にも影響を与えるようになるかもしれません。(つまり、故意に原発の不信感を煽るような行動をとるということですが、私自身はこのような背徳行為には反対です。そのような行為は日本の価値を下げることに繋がりかねないからです。)
ということで申し訳ありませんが、原発容認の「空気」を変えるための妙案は、今のところ思いつきませんでした。

参考に、今現在の米国の世論やエネルギー政策についての記事を紹介します。

・アメリカの「原発世論」の特徴と日本への視線とは? ~ニューズウィーク日本版
ttp://www.newsweekjapan.jp/reizei/2011/05/post-295.php

・原発事故と米国エネルギー政策 ~Emerging Technology Review
ttp://ventureclef.com/blog2/?p=1096
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意思から方法へ (岡野守也)
2011-05-17 20:54:47
>たろうさん

 おうかがいしていいでしょうか。たろうさんご自身は、原発が持続可能なエネルギーだと考えておられますか、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマを代表として無数の原発事故が起こってきましたが、それでも今後対策をすれば安全になると信じておられますか。

 私は、入り口でウラン資源の有限性、出口であまりにも大量で危険な放射性廃棄物の蓄積という点を考えただけでも、原発は持続不可能なエネルギー技術だと判断しています。
 そして、人間のやることに完全がない以上、原発が完全に安全になることはありえないと考えています。

 そして、蓄積し次世代に残していくことになるあまりに大きな危険を考えると、なるべく早期にエネルギー技術・政策を大転換し脱原発すべきだと考えています。

 そして、民主主義社会では、「私はこちらだと思う」の数が過半数を越えた側が法的な正当性を認められますから、いい方向か悪い方向かはわかりませんが、必ず状況は進展すると思います。

 上記の2点について、どう思われますか。

>東の回廊さん

 「空気」の支配を内側からある程度緩和ないし変更する方法として、山本七平さんは「水を差す」ということ言っておられますね。

 外部の力が大きな影響力をもつことは確かだと思いますが、フクシマの事故はまさに想定外という外部の力という面をもっており、こういう事故がもう一度起これば、かなり本格的に空気は変わるのではないでしょうか。それは望みませんが。

 私の言いたいのは、そういうことではなく、現在ある程度盛り上がってきた空気・雰囲気を受け止め、膨らませ、実際の政策に昇華するには、その主体となる政党が必要ではないかということで、それ以外にも可能性のある方法は考えられるかどうかをうかがってみたかったということです。

 何度も繰り返しになりますが、「国」を動かさなくても、例えば特定の地域社会とか特定の企業が持続可能になれば、その積み上げで日本全体を「持続可能な社会」に変えられる、というシナリオは、原理的にいって無理だ、と私は考えているのです。





 
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Unknown (たろう)
2011-05-18 14:17:30
>岡野さん

>おうかがいしていいでしょうか。たろうさんご自身は、原発が持続可能なエネルギーだと考えておられますか、

私は,「脱原発」に賛成です.
理由はいろいろありますが,2点挙げておきます.
1. 未完の技術であること.
化学工場でも製鉄工場でも,災害と人為的ミス,あるいはテロのような意図的行為によって爆発することはあるでしょう.ニューヨークの3.11が一つの事例です.でも,数年すれば戻ります.原発は,半減期の長い微粒子が放射線を出して内部被ばくを与えるがために,いつまでも不毛の地となります.ある薬を飲めば,あるいは散布すれば放射線の影響がなくなるという技術は人間にはありません.それゆえ未完と私は言いました.昨日の日刊ゲンダイには,三号機からプルトニウム燃料がダダ漏れと出ています.こんなニュースは恐ろしくてどこの大きなメディアも流しませんが.プルトニウムがなぜ恐ろしいか.ウラン235やウラン238と同じくアルファ線を出しますが,その強度がプルトニウム239はウラン235の3万倍,ウラン238の19万倍です.しかも,半減期は24000年です.

2. 廃棄物の処理が人間の手に余ること
プレートの衝突面にあって,活断層だらけの日本で地下埋没処理は,私は不可能と考えます.いくら保証のお金を示してもどの地方(県)も了解が出ません.福島原発事故以降はなおさらでしょう.となると海外にお願いするという方法が一つあります.数日前の毎日新聞一面のトップに,大きな見出しで日米が共同して地盤のしっかりしたモンゴルに核処分場計画と出ています.こういうアイディアは良いと思います.見返りはモンゴルに原発を提供することのようです.廃棄物から核兵器弾頭を作ることができます.中国は大地震がありました.モンゴルが災害に見舞われたら,中国はただでは済みません.なんせ,米国と日本の原発の使用済み燃料です.ものすごい量です.ハイリスク,ハイリターンという言葉がありますが,中国はものすごいリスクを背負うわけです.数百年経てばプルトニウム鉱山になります.それが24000年続きます.リスクに対するものすごいリターンを中国は求めてくるでしょう.相手は,直接にはモンゴルですが,日本と米国に求めるでしょう.日本は独立国ではおれなくなるような気がします.私は,スウェーデンのような厚い岩盤があって,地盤がしっかりしており,かつ高いモラルを持つスウェーデンのような国にビジネスとしてオファーしたらどうかと思います.この場合も数兆から数十兆のものすごいコストになるでしょう.いずれにせよ,大きな問題です.

>そして、民主主義社会では、「私はこちらだと思う」の数が過半数を越えた側が法的な正当性を認められますから、いい方向か悪い方向かはわかりませんが、必ず状況は進展すると思います。

先のメールで都知事選の話を出したので,それを例として挙げます.石原氏は別として,有力な新候補の渡辺氏,東国原氏,小池氏とも,原発は見直すという見解でした.誰も推進するとか,擁護するような意思表示はしません.人間は知恵がありますから,そのときに都合の良いように態度を変えます.カントよろしく,嘘はだめだけれども相手(選挙民)が勝手に誤解したという戦法もあるでしょう.たとえマニュフェストに書いてあっても,それは状況に応じてかえてしまいます.実際にそうなります.つまり,誰が本当に原発を止めるといっているのか,分からないのです.私の感触では,誰も,渡辺氏も東国原氏も小池氏も誰も,本当に止めるという腹はありませんでしたね.選挙民には,誰が本当に止める気持ちがあるのか,分かりませんね.
選挙民そのものから,マニュフェストに書いてあるではないか.それで私は選んだという声も出れば,それにとらわれるなという声も出ます.
こういうようなことをいろいろと繰り返しながら,社会が進んでいくのかもしれませんが.
長くなりました.
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