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読書録「日本人はなぜ世界が読めないのか~カルロス・ゴーンの成功の秘密~」

2012年06月05日 | Weblog
■2003/05/12 (月) ビジョン「人々の生活を豊かに」
「日本人はなぜ世界が読めないのか~カルロス・ゴーンの成功の秘密~」:磯村尚徳、朝日出版社

昨日、日産のゴーン社長がアサヒテレビ系の番組のサンデイ・プロジェクトに出演し、短期間での会社再建について述べていた。
なぜ、ゴーン社長により、再建がかくも短期間に成功したのか、まとめておこうと思い、比較的新しい本を物色した。
ゴーン氏について書かれているのは本の前半部分だけで、大事なところは、昨年5月にパリで開催されたゴーン氏の特別講演の収録である。
その中から、ポイントをまとめてみた。

1999年、ルノーと日産の提携が行われ、ゴーン氏が赴任してきた。その時、日産は深刻な状態であった。十年間もシェアが後退し続け、毎年赤字を出して、しかも2兆1千億円もの巨額な有利子負債を抱えていたのだ。
低迷の原因を5つあげている。
1.企業に利益という概念が消え失せていた
2.顧客開拓が十分でない(良い商品を提供しようという姿勢がない)
3.セクショナリズム
4.創造性の欠如
5.ビジョンがなかった(戦略すなわち中長期的な方向性がみられない)
でも、強みがあった。グローバル企業であり、技術力が高く、生産システムもすばらしく、安全性は特筆すべき程度であり、優秀な人材に溢れていた。これらが有効に使われていなかったのだ。

1999年秋に「日産リバイバルプラン」(NRP)に着手。
4つの軸からなった。「製品を一新すること」、「テクノロジーに再投資していくこと」、「日産ブランドに対するイメージの再建」、「様々な市場において日産を売り出す機会をつかむこと」--。
これらの財源は、コスト削減、本業と関連のない資産の売却からあてることにした。
仕入れ価格削減、不必要な工場閉鎖、2万1千人の社員削減。
NRPでは、3つの目標を出した。初年度2000年の黒字化、2002年度での営業利益率4.5%達成と有利子負債を7千億円までに減らすこと。
これらのコンセンサスを得て全社一丸で取り組み、3年計画を2年で達成した。

2002年に「日産180」という3年計画をスタートさせた。世界の販売台数を百万台増やし、営業利益率を8%にすることを目標にし、有利子負債ゼロにすること。
この計画、最初の一つを除いて、1年で達成したということである。
低迷する日本経済も、日産に学べば、同じように復活できることを示唆する。

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