ある旅人の〇〇な日々

折々関心のあることや読書備忘を記録する

読書録「泡盛の文化誌」

2008年12月06日 | Weblog
ちょうど四年前に読んだ「泡盛の文化誌 沖縄の酒をめぐる歴史と民俗 」(萩尾俊章、ボーダーインク、2004年)である。

泡盛について雑学的な本は数多く出ているが、これほどまでに幅広く奥深い本には初めて出会った。
この著作は、将来、泡盛について学ぶ人にとっての上質な参考文献として読まれることであろう。
初めて泡盛についてのまとまった文章を読んだのは発酵学のオーソリティ坂口謹一郎氏の「君知るや名酒泡盛」であった。この著作のなかにも、もちろん彼について触れており、沖縄に石碑「君知るや名酒泡盛」が建立されていることを知った。

それほど厚い本ではないが、二段組で小さな文字なので、情報量は多く、古酒のように味わい深い。
第一章が酒の歴史で始まり、酒の一般的な知識も身に付く。泡盛のルーツも語源も確定されていないが、謎の部分が残されるのも悪くない。小生に言わせてもらえば、ルーツについては「泡盛そのモノ」は東南アジアから、「ワザと道具」は中国南部からだと推測する。語源は度数をみる際の「泡を盛る」であろう。

坂本万七の写真も使われ、尚順男爵の文章も引用され、これまで書いた感想文「沖縄人物シネマ」と「松山御殿物語」とにも偶然繋がっているのも面白い。
口かみ酒のこと、江戸上りで献上された泡盛の量、泡盛製造の規制と税制、酒造所数の変遷なども興味深い。それに、戦前の泡盛のポスターのこと、ビルマで泡盛を生産したことも。

時々、書棚から取り出して読むことになる本だと思う。

ついでながら、冊封使がいやがって飲まなかった口カミ酒について。なぜ、若い女性が噛んだのだろうか。ヨーロッパのワインは足でぶどうをつぶすのも若い女性が行ったようだ。年増の女性だと、足のシワが多く雑菌も多いので美味しいワインができなかったからだと。口カミ酒を市場に出すのは難しい。沖縄美女の噛んだ口カミ酒ということでもだめだろう。フェチの世界になってしまった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿