ある旅人の〇〇な日々

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読書録「ぱいかじ南海作戦」

2012年07月10日 | Weblog
■2004/11/27 (土) ぱいかじチルダイ
「ぱいかじ南海作戦」:椎名誠、新潮社、2004年4月発行

椎名誠は、無人島で探検やキャンプ・焚き火をするのが好きなようだが、この小説は、まさにその体験を活かしたものである。

離婚と失業をした36歳の男が、沖縄行きの航空券を買って、沖縄本島からジャンプして西表島まで行ってしまう。島の南岸らしいところで、キャンプ生活をしているホームレス5人と出会い、彼らと仲良くなる。彼らの名は、ヨシオ、メリヤス、ギタ、マンボ、平塚で個性的だが無気力な男たち。
リーフ内での追い込み漁などやって自給自足の生活をしているのだが、時にはアルコールなどの買い物にも出る。

ずっといい関係で暮らしていくのかと思ったが、彼らは実は窃盗団。憎めない窃盗団で、少しの間、信用させてから新入りから持ち物をすべて奪って逃げて、新入りが諦めて出ていったのを確かめて、また戻ってくるということを繰り返しているのだ。

主人公も、窃盗団の被害者になる。途方にくれるが、そこに、若い男の旅人と二人の家出ギャルがやってきて、彼らと生活することになる。漁もうまくなり、海蛇やイノシシを捕らえ、さらに山野草も料理に使えるようになる。
そのうち西表島の北の内離島にキャンプ生活者がいるらしいという噂を聞き、主人公は、偵察に行き、見事、盗まれた持ち物を奪い返す。情けない窃盗団は、南岸に戻りたいと懇願する。

最後は、窃盗団といっしょにクルーザーを盗んで南のどこかへ行こうと計画するのはパイパティローマ伝説を連想させてくれる。
沖縄西表島を舞台にした島人の内面までに入り込まない陽気なナイチャーのストーリー。椎名誠らしい喜劇的アドベンチャー小説である。

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