ある旅人の〇〇な日々

折々関心のあることや読書備忘を記録する

南洋群島

2005年10月24日 | Weblog
土曜日に郊外の古書店へ行くと「彷書月刊」が10冊以上並んでいた。その中に「特集 南洋群島を読む」(1994年12月号)があったので買った。
南洋群島というと20数年前、20数巻ある矢内原忠雄著作集の南洋群島の巻を探し求めて神保町古書店街を何度も歩いたことがある。台湾の巻も探していたが、とうとうどちらも探し得なかった思い出がある。南洋群島というとマリアナ、パラオ、ミクロネシア、マーシャル諸島の4地域である。ドイツ領であったのだが第一次世界大戦で日本が占領し、30年間も日本の委任統治領として植民地のように扱った。

この彷書月刊には、川村湊「南洋群島に行った日本人」、三木健「沖縄の南洋移民誌渉猟」、今泉裕美子「南洋群島時代のパラオ素描」、仲程昌徳「南洋移民と沖縄」、山口洋児「旧委任統治領南洋群島関係文献を追って」の5題が載せられ、どれも興味深い。
川村湊氏のは南洋群島に関わった探検家、学者、作家が残した書籍など紹介している。鈴木経勲、中島敦など。
三木健氏のは、国策として沖縄から移民を募った経緯、移民には農業と漁業のふたつの流れがあったこと、戦後結成された南洋群島帰還者会の会誌の紹介など。
今泉裕美子氏のは、当時のパラオの状況をよくまとめている。パラオには日本人が2万人以上いた時期もあったという。そういえば、沖縄の久高島にはパラオ帰りの人がかなりいると聞いている。
仲程昌徳氏は、沖縄県人への差別待遇のことを主に述べている。山口洋児氏は海外旅行の添乗員をしていた人で、祖父の代から三代南洋群島に住み、南洋群島資料収集で貢献したかたである。

現在、南洋群島を研究する女性が多いそうだが、島嶼問題研究者として東海大学の松島泰勝氏が活躍している。著作に「沖縄島嶼経済史」がある。

そいえば、今年、西牟田靖の[僕の見た「大日本帝国」―教わらなかった歴史と出会う旅](情報センター出版局)が発行され、けっこう読まれたようだ。かつての日本の植民地にその痕跡を探して歩く紀行である。樺太、台湾、南洋群島に鳥居をみつけている。大江志乃夫の「日本植民地探訪」(1998年発行・新潮選書)とかなり被っているが。

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2 コメント

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南洋群島(内南洋諸島?) (寅の子文庫)
2005-10-24 22:18:33
えいちゃん、こんばんは。いつもえいちゃんの読書分析の量と質に目をまるくしています!南洋群島(内南洋諸島?)の歴史経緯は正直、勉強不足でした!ただこの辺り一帯と、更に南へ位置する広大な大海原や点在する島影のあちこちには、先の戦争で幾十万柱という貴い遺骨が今なお、恨みの情を抱きつつ深い眠りの底にあるという事実をもっと、今の若い人たちに識ってほしいということです。たった小指の先一本だけでも遺骨として帰ってくれればまだ良いほう。大多数の遺族には紙切れ1枚しか戻って来なかったとのこと。私の母方の叔父に当たる人も場所さえ特定できず、わずか26才で輸送船ごと、海の藻屑となったそうです。



北は遥かアリューシャンの果て、アッツ・キスカに始り、太平洋を日付変更線に沿って南下、ミクロネシア全域と更に南の海域、メラネシア~ニューギニア東部、ビスマーク諸島~ニューブリテン島ラバウル、ブーゲンビル、ソロモン諸島・・・その南へまだ伸びる珊瑚海まで、果てしない空と海の青さが続くこの地上最後の楽園で、人と人が互いに殺しあう狂気の蛮行が行われたという事実をもっともっと本を読み勉強して、次の時代を生きる子等に自分の言葉で話をしたいと思っています。空の青が青いほど、海の青が青いほど、今はまだ悲しみの気持ちのほうが強いのです。
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ご紹介ありがとうございました (西牟田靖)
2006-02-09 02:56:01
突然失礼いたします。

『僕の見た「大日本帝国」』の著者、西牟田靖と申します。

誠に遅ればせながら、ご紹介賜りありがとうございました。おかげさまで、このたび姉妹篇『写真で読む 僕の見た「大日本帝国」』を刊行のはこびとなりました。前作をお読みいただいた読者のみなさまから寄せられた「もっと写真が見たい」との声に応えるべく、未公開の写真約400点(うちほぼ半数はカラー写真)を掲載し、新たなエピソードを全編書き下ろしたノンフィクション作品です。不躾とは思いましたが、ぜひご高覧いただきたくご案内申し上げました。

なお、全国発売の開始は2月23日ですが、都内では、紀伊国屋書店新宿本店、ブックファースト渋谷、八重洲ブックセンター、リブロ池袋の各店舗にて、2月11日頃より先行販売を実施いたします。もし機会がございましたならば、書店店頭にてお手にとっていただければ幸いに存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。

末文ながら、ますますのご健勝ご活躍を祈念しております。
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