ある旅人の〇〇な日々

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鳥居の正体

2011年01月06日 | Weblog
2003/02/13 (木) の「鳥居」:稲田智宏、光文社新書についての読書録より

鳥居については関心があり、書店で目にして読みたいと思っていた。
この新書、鳥居の情報満載で専門書のようでもある。口絵に長崎被爆後の写真が載っており、山を背景にして瓦礫の中に鳥居だけが立っているのは面白い。

昭和天皇の大喪の礼のときの簡易鳥居が政教分離の観点から物議を醸したり、戦前の植民地に建立されたことからも侵略のシンボルとして見られ、政治的色彩を帯びてもいる。
植民地には600をこえる神社がつくられたが、台湾にはまだ鳥居が数体立っているというのは興味深いことである。
沖縄読谷にあるトリイ・ステーションのふたつ並んだ鳥居は、米軍基地に親しみをもってもらうため、つくられたが、あまり納得できない。鳥居は沖縄の伝統的なものではないのだから。

鳥居は分類され60種をこえている。多いのは神明系と明神系で、鳥居の部位の名称として、柱、笠木、貫、額束などがある。
最古の鳥居は、「最上の三鳥居」で平安後期である。最も高い鳥居は、熊野本宮大社の鋼鉄製で33.9㍍。
変わった鳥居では、一本足、三柱、埋没、海底鳥居などがある。
ちなみに、神社のセットは鳥居、狛犬、灯籠、手水舎、社務所が一般的。

鳥居のルーツも詳しく解説されているが、明確なものはないようだ。くぐるという行為に禊ぎの意味があるようだ。東南アジアの村の出入り口に建てる門ロコーンが鳥居に似ている。
大社の御柱は天と地を結ぶ働きがあるといわれるが、鳥居にもそういう意味があるのかもしれない。
それから、鳥というのは魂を運ぶ動物という言い伝えもある。これは古代エジプトの鷹が神の化身だといわれるので共通するものがある。

まとめとして、「鳥は確かに、古代人にとっては神霊と深いつながりを持っていた。鳥居とはそのような鳥との関わりから生まれたものであろうと思われる」
「鳥居は目印として神聖な空間の始まりを示し、その内側が神のものであることを明らかにし、邪悪なものの侵入を防ぎ、人々の信仰の証や祈念碑としても建てられる」
いろんな意味が考えられる。

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