前回製作した4エレループ八木の具合が良かったので、4エレループの位相差給電アンテナ、というのを作ってみました。
出来栄えは下記の写真の通りです;
上:4エレループ八木アンテナ(グローバルアンテナ研究所設計)
下:4エレループ八木位相差給電アンテナ(上記参考サイト設計)
使用の帯鋼はグローバルアンテナ研究所から頒布を受けました。
ブームは、Φ6㎜の洋伯パイプ、黒い帯鋼の取り付け部品はジュラコン(POM)を削って作りました。 位相差給電の方はブームとエレメント接点とはPOMにより完全に絶縁しています。 アンテナでは浮遊静電成分とか浮遊誘導成分とかでインピーダンスが増減したりするので、とにかくアンテナエレメント以外の部品(ブームとか取付金具とか)に金属を使うことに躊躇があります。(個人の意見です)
帯鋼の長さは殆ど同じですが、エレメント間隔は位相差給電の方が短く、出来上がりの ブームの長さは以下の通りです(含む取り付け部品長);
4エレループ八木 43㎝
4エレループ八木位相差給電 28㎝
位相差給電方式だとアンテナのサイズを小さくできる点はメリットですね。
位相差給電というのは、本来1組で出来ているアンテナエレメントを2組にして給電します。 基本形は半波長のダイポールアンテナを二重化して中央部で位相給電するのですが、ループアンテナの場合は1波長の帯鋼2組に先端から位相差給電することになります。
それぞれのエレメントへの給電は、芯線と網線を逆に接続します。 位相差というのは、2つのエレメントで同じ波形の位相をずらし2つの波形の和によって電波を強めるのが目的です。 位相をずらすのは2つのエレメントの距離によるとのことです。
位相をずらすというのは、ちょうど水面に出来る波が壁に当たって跳ね返り、合成された波の高さが元の波よりも高くなる、波の合成と同じ原理ですね。
2つのエレメント間を結ぶ線のことをフェーズラインといい、このラインをクロス(逆にする)して給電します。
上の写真では、右から給電線が来て芯線(上)がエレメント1の上側に接続され、そのままエレメント2の下側の接点に接続されています。 ループの形は同じですので、給電の仕方でループへの配電をブームを中心に逆回りにしているようになります。
給電線の網線(下)はエレメント1の下側の接点に接続され、そのままエレメント2の上側の接点に接続されています。
エレメント1と2のブーム上の間隔は参考サイトの通り、80㎜としました。
また、一つの工夫として、すべてのループの中心が一直線上に並ぶようにエレメント取り付け部をずらしてあります。(下図参照) ただし、どの程度の効果があるのかは不明です。
・・・で性能面ではどうなんでしょう? 位相差による波長の合成は目に見える効果があるんでしょうか?
そこで、ちょっとした実験をしてみました。
手持ちのハンディー機が2つあったので、片方の信号強度表示を利用しようと考えました。 YaesuのFT2Dは受信信号の強度を9段階で表示できます。 もう一つのハンディー機はKenwoodのTH-79という古~いものです。
アンテナの受信実験:
送信側:
TH-79に付属のフレキシブルアンテナを取り付け、ハンディーツートンキーヤーによって送信する。 送信出力は、EL(最小)30mWとした。 送信距離は5mとした。
受信側の信号強度表示:
FT2D フレキシブルアンテナ使用時: +9
FT2D 4エレループ八木アンテナ使用時: +9
FT2D 4エレループ八木位相差給電アンテナ使用時: +9
と差は分かりませんでした。
アンテナの送信実験
送信側
TH-79に3種のアンテナをそれぞれ取り付け、ハンディーツートンキーヤーによって送信する。 送信出力は、EL(最小)30mWとした。 送信距離は5mとした。
受信側:
FT2Dにフレキシブルアンテナを取り付け、受信強度を測定。
TH-79で フレキシブルアンテナで送信時: +9
TH-79で 4エレループ八木アンテナで送信時: +9
TH-79で 4エレループ八木位相給電アンテナで送信時: +9
と、これも差は分かりませんでした。 5mでは信号強度に差がでません。
結局、実場面で使用して、実距離でのRS値を頂くしかなさそうです。 実際に窓辺で聞いている限りは、4エレループ八木アンテナも4エレループ八木位相差給電も大した差は感じられません。
ということは、小さいことは良いことだ~、として使うのが良いのかもしれませんね。
ちなみに、NanoVNAで測定したVSWR値は、
4エレループ八木: 1.2以下
4エレループ八木位相差給電 :1.2以下
でした。
そんなにアンテナばかり作ってど~すんねん・・・