2016年7月24日(日) 珍しい植物 3 モンキーポッド(日立の樹)
当ブログに、これまで、珍しい植物として、
珍しい植物 1 アルソミトラ (2016/7/7)
珍しい植物 2 バオバブ (2016/7/13)
珍しい植物 2 バオバブー続き (2016/7/19)
アルソミトラとバオバブについて投稿している。
土曜の夜に、良く視ている民放の人気TV番組 「日立 世界ふしぎ発見!」 で、スポンサーの総合電機メーカーの日立のCM中で、すっかり有名になっているのが、通称、“日立の樹”である。
この樹の立ち姿は、 “♪ この木なんの木 気になる木 名前も知らない木ですから ♪” というコマソンと共に、筆者には、長年に亘って印象深いものである。この樹の名前は、モンキーポッドと言うようだ。
本稿は、珍しい植物シリーズの第3弾として、この、モンキーポッドに登場願うこととした。
○ 日立の樹の概要
ネットで調べた概要は、以下である。(『この木なんの木 気になる木』の歌詞が意外と感動的と話題に! - NAVER まとめ 他)
樹種 モンキーポッド
樹勢 樹齢 130年
高さ 30m
幹廻り 7m
枝張り 40m(直径) (地上投影面)
所在地 米国ハワイ州オアフ島 ホノルル市内
モアナルア公園(Moanalua Garden)内
公園内に同種の樹が複数本植栽
記事 2010年、公園内の他の2本と共に、ハワイ州が特別な樹(Exceptional Tree)に指定
日本人観光客の来訪が多い。
日立の樹
○モンキーポッド一般
モンキーポッドの一般的特徴は以下のようだ。(モンキーポッド - Wikipedia 他)
分類 マメ科ネムノキ亜科 落葉高木
英名 Monkey Pod:Podは実の莢(さや)のこと 猿が実を好むという。Raintreeという別名も。
和名 アメリカネム(ノキ) 日本のネムノキと近縁
分布 原産 熱帯アメリカ(中央アメリカ、西インド諸島、南アメリカ北部 等)
ハワイや東南アジアにも帰化し、多く植えられている。
特徴 和名のように、葉は、朝開き夕方閉じる
綿毛状の桃白色の鮮やかな花を付け、細長い莢入りの実が生る。
花 熟した実
用途 公園樹、街路樹、緑陰樹
木材、木工品等の利用
日本 日本で育成して楽しむ栽培キッドも販売されている。
○ 樹形の美しさと親近感
TVコマーシャルを見て、最も印象深いのは、樹形の美しさである。
樹形は、一般的に大別すると、
①自然界のもの、と
②人為的なもの(庭園、盆栽 など)
があるだろうが、当初、筆者は、日立の樹は、まるで、大きな盆栽か? と感じたほどだ。
でも、この樹は、人間の手が余り加えられておらず、ほぼ自然のままだろうと思われる。
①の樹形には、各種有るようだが、当該樹の樹形は、傘型に入るようだ。傘型でも、直線的な番傘風ではなく、丸みのある、洋傘風だろうか。
日射しの具合や周囲の競合樹の状況等によって、樹木の成長は変わるようだ。日立の樹は、樹高が比較的低いと言えるが、ハワイなどでの日当たりが良い場所では、太陽光を十分に浴びられるよう、横に広がったのだろうか。
筆者にとって、日立の樹の印象は、樹形を含めて、以下の様に言えるだろうか。
A 左右対称の美
日立の樹は、見る方向によって、幾分、姿形が違うようだが、ほぼ左右対称の、整った美しさである。
咄嗟に連想するのは、独立峰の富士山のことで、整った左右対称の美と言えよう。
B 水平の美
地面と下枝の空間が、ほぼ水平で均一に見えるのも驚きである。 前出の図をみると、人物の2倍程の隙間である。 定期的に下枝 を整理しているのかもしれない。
C 親近感
下枝が低く、手が届きそうで、幹も木登りが出来そうに見える。又、朝夕に葉を開閉したり、季節には、可憐な花をつけ、実が生る等、現役の若さもある。身近な存在として親しみやすさが感じられる。
一方、一般的な大樹、巨木の場合は、背が高く、幹が太く、非対称が多く、近寄りがたく、神々しさも感じられる等の印象だ。(死ぬまでに見たい木 - 樹樹日記、死ぬまでに見たい 世界の気になる巨木・奇木 16 等)
○ 各地のモンキーポッドの樹形
世界各地のモンキーポッドも、美形だろうかと、少しく調べてみた。
・オアフ島の同じ公園内にある他の樹は、下図のようで、樹形は、円蓋形だろうか。(Moanalua Garden より)
・タイにある木は下図の様で、公園で通常見かける樹形(円蓋形)だろうか。 生育地の環境に応じて、生きていると言える。(Albizia saman/ アメリカネムノキ :タイの植物チェンマイより)
タイのチェンマイの公園樹
改めて、日立の樹の秀麗さが分るようだ。(かなり、褒めすぎ !?)
○ CMに登場する樹木の歴史
ここで、件のCMに登場する樹木の歴史を調べてみた 。(日立の樹について:日立の樹オンライン)
初代はイラストの樹で始まって、2代目から実際の画像になっている。 ハワイの日立の樹を手始めに、世界各地の樹木を巡回することとしたようだ。しかし、以下のように、数年経過後、驚いたことに、視聴者からの要望で、スタート時の、2代目に戻し、それ以降、6代目として、現在まで続いているという。
1973年(S48) 初代 イラストで描いた樹
世界各地の樹木を画像で巡回する(2年交代で)。
1976年(S51) 2代 日立の樹 オアフ島
3代 マンゴー ハワイ島
4代 バニヤンツリー シンガポール
5代 カリフォルニアオーク カリフォルニア
視聴者の要望から、2代の日立の樹に戻り、現在に至っている。
1985年(S60) 6代 日立の樹 オアフ島
日立から、公園の管理団体に対し、年間40万ドルの独占撮影権料を支払う契約という。
3~5代での、世界の樹木巡りでは、CM中の樹木の映像が、視聴者にはピンとこなかったようで、視聴者の要望で、元の日立の樹に戻っているのは、頷けるものがある。
先項で述 べたように、日立の樹には、日本人の美意識に通じるものがある中で、親しみやすい印象がある事が、高い人気の理由と、筆者には思われる。
CMは、自然指向を表に出しながら、日立の樹に託して、巨大企業グループとしての、安定したシステム的総合力を、控え目にして雄弁に、アピールしているように思える。