2017年1月5日(木) アメリカ合衆国 5
2017年が始まったが、今年は、内外の色んな話題が想定される中で、この1月20日に、トランプ大統領の就任式があり、良い意味でも悪い意味でも、この人物が率いるアメリカが、大きな話題の一つになりそうだ。
アメリカ大統領選挙に関連して、これまで、当ブログに、合衆国シリーズとして
アメリカ合衆国 1 (2016/11/29)
アメリカ合衆国 2 真珠湾(2016/12/12)
アメリカ合衆国 3 (2016/12/22)
アメリカ合衆国 4 (2016/12/29)
を投稿してきた。
本稿は、これらに続くもので、アメリカ合衆国建国後の、領土の拡大について取り上げている。時代的には、日本の江戸末期から明治初期にかけての頃である。
アメリカ建国時の独立戦争の終結となる、1783年のイギリスとのパリ条約で、イギリス本国に、13植民地の独立を認めさせてアメリカ合衆国となった。
世界初のブルジョア革命による政治体制と言われ、この独立国では、君主でなく、選挙で選ばれる大統領が最高位となる体制(共和制)で、これが、現在まで続いている。
この独立の出来事が、その後、フランス革命等の動きに、大きな影響を与えている。
パリ条約では、ミシシッピ川以東の広大な土地を、イギリスに割譲させ、領土(territories)とした状況は、前稿のその4で述べたところだ。
この地域は、その後、現在の、
ウイスコンシン、ミシガン、イリノイ、インディアナ、オハイオ、ケンタッキー、テネシー、
ミズーリ、アラバマ
の各州になっている。
新大陸をめぐる熾烈な争いの中で、飛ぶ鳥を落とすが如き凄さまじい勢いで、合衆国は、膨張主義で北米大陸の領土を拡大していった。 これを下図に示す。(改訂版デキシーランドジャズ物語「Vol3.フォスター物語」より)
図では、ミシシッピ川以東は「買収」となっているが、「割譲」であろう。
(現在の州境も表示)
以下、領土拡大の主なイベントについて取り上げる。獲得した地域は、順次、準州から、正式な州として合衆国に加盟している。
◇ 1803年 ルイジアナ購入
財政的に困窮していたフランスは、自国の植民地だった、ミシシッピ川以西に広がる広大な地域であるルイジアナ(現アメリカの23%)を、破格の価格で、アメリカに売り渡したようだ。(フランス王 ルイ14世に因んだネーミングとか)(下図)
ルイジアナ購入(緑部分)(ルイジアナ買収 - Wikipedia より)
その後この地域は、上図にあるように、現在の、サウスダコタ、ネブラスカ、カンサス、オクラホマ、アイオワ、ミズーリ、アーカンサス、の各州となり、他の州の一部も含まれている。
◇1819年 フロリダ割譲
イギリスとアメリカ間で、フロリダに関するアダムス・オンス条約が締結され(1819年)、1921年に発効している。この地域は、以前、イギリスが、スペインから手に入れたようだ。
領土が、スペイン→イギリス→アメリカと動いたが、その過程が、割譲か購入か、微妙な状況だろうか。
◇1846年 オレゴン併合
領土が、西へ拡大し、ついに、オレゴン地域を手に入れて、北米大陸を横断し太平洋の海岸まで達したのは、1818年のようだ。でもこの時は、オレゴン・カントリーとして、アメリカとイギリスの共同領有としている。
1846年、合衆国とイギリスとの間で、イギリス植民地であるカナダとの国境協定が行われ、合衆国は、北緯49度以南を併合し、以北をイギリスに譲渡している。 共同領有も解消している。(オレゴン条約 - Wikipedia )
余談だが、日露戦争の結果、樺太(サハリン)の北緯50度線以南が、日本に割譲されたのは、50年程後である。
その後、この地域は、現在の、ワシントン、オレゴンの2州と、アイダホ州の一部となっている。
◇1845年 テキサス併合
◇1848年 カリフォルニア割譲
メキシコ領の地域にアメリカから勝手に入植して、1836年に独立してメキシコ共和国となっていたテキサスを、1845年アメリカが併合した。これに反発したメキシコとの間で、1846年、米墨戦争が起ったが、メキシコが破れて、カリフォルニアを割譲せざるを得なくなった。(メキシコ割譲地 - Wikipedia)
その後、テキサス併合地域は、現在の、テキサス州などとなる。また、割譲されたカリフォルニアは、現在のカリフォルニア州、ネヴァダ州と、他の州の一部となる。
◇隣接国 カナダとメキシコ
アメリカ合衆国の北の隣接国カナダは、イギリスの植民地から自治を認められて、1867年、4州連合の形態をとってスタートしたが、その後加盟する州は増えたものの、主権を認められたのは、なんと、1931年という。
一方、南の隣接国メキシコは、1820年に、スペインの植民地から独立したが、米墨戦争で、アメリカに敗れ、かなりの国土を奪われる経験などをしている。
メキシコとアメリカの関係では、トランプ新政権下でも、移民の流入や工場の移転などをめぐって、トラブルが起こりそうだ。
両国の歴史は、植民地の宗主国(イギリス、スペイン)に支配され、隣のアメリカに振り回される歴史だろうか。
筆者には、アメリカが親分で、カナダが子分、メキシコが孫分のように見え、それを地で行っているのが、NAFTA(北米自由貿易協定)のようにも思えるーー。