2012年6月17日
あらすじとなる全体像は、【 朝顔 】 を。
2009年10月09日
四十九日が過ぎます。
『妹の為に喪中は(私を)許してあげるように』 願われたらしい姉。
十月中旬の職場の応接室に、看護婦さん達も事務も全員を早々と帰らせた後の刻限で呼び出された私が座るや否や、
「全額現金で持って来い」
私が、その顔つきも言葉も読み解けない状況下に姉が入室されるが、挨拶もされないなりに、
「あなたは妹があんなに好きになった人なのよ」
いきなり姉に怒鳴られて棒になった私の視野に、したり顔で院長が躍り出る。
「『(私は姉に)現金でお返しします』と言われたでしょ」
「あれは『彼女の墓標へと御山の資金に振り向けるのは俺が分かっているから(奥様には)こう言ってくれ』と頼まれたんです」
院長は踏ん反り返りながら、私に挑み顔する。恨みがましい姉と怯える院長の何んとも云えない空気。私は(彼女がそうなら)なぜ見舞いも止められたんですか? 病室に行っても良かったんですか。まさか映画みたいにナレーションされた性描写は彼女のことじゃないでしょうね、と思い巡らせている。そこまではっきりした初めての雰囲気でした。
「男の人たちは・・・」
姉が〝顔負け〟と呆れて退室されるのを見計らい、隣室で盗み聞きしていた一人の男が入れ替わりにタイミング良く入ってくる。
この時、姉は丁重に挨拶を交わされた。私の時には顔色ひとつ、会釈さえ無視されたのに。
これが、姉との最期。姉妹ともで後ろ姿が見納めとなっている。
寂しすぎる二人との別れ。
男は繁華街にて店を義兄弟で営む、と初対面の私に対して強圧的に名乗る。この男は兄の方でした。