関西ミドル 雑記帳
不動産賃貸業 元ゼネコン勤務
 




現場・現物・現実の三つの現を重視すること。問題が発生したときに、机上で判断するのではなく、現場で不具合の起きた現物を観て、どのような状態であるのか(現実)を確認することで解決を図る。

現場、現実、現物を調べて対策する。机上の空論じゃいかんよ、という基本的な考え方

http://www.n-souken.com/books/kiji_04.html

北海道技術士センター
道央技術士協議会会長
技術士( 学博士門)・工
小針憲司

三現主義

最近、企業の不祥事が新聞やテレビなど各種報道で取り上げられている。M自動車工業のリコール隠し事件、Y乳業の食中毒事件、東海村のJ社臨界事故、ごく最近では、P工業湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故など枚挙に暇がない位である。

東海村のJ社臨界事故は、核燃料加工施設内で高速増殖実験炉「常陽」向けの燃料加工中にウラン溶液が臨界状態に達し、核分裂が起きた事故で、3人の社員が「被爆」して病院に運ばれ2人が死亡、この他に46人が被爆している。作業員は、被爆料を知るための「フイルムバッジ」を付けず、更にはバケツを使って大変危険な放射性物質をしかも手作業で加工していたと言うとんでもない痛ましい事故を起こしていた。この事故の責任をとって、この会社は解散した。

この様な事件・事故に関して一般社会が厳しく問うているのは、企業の社会的責任であり、問題が起きた原因とか発覚後の企業対応の是非であろう。
言い換えると、問題発覚による企業イメージのダウンと経営に与えるダメージの大きさに対する恐れ等から来る問題の先送りや矮小化した情報開示など企業対応のまずさであり、別の視点からは、実作業者がそうせざるをえない作業環境にもあったのではないかという事でもある。

これらの企業では、当然国内外に通用する品質システムを運用していたはずであるが、そこでは商業第一主義による効率が優先され、次第に運用実態とはかけ離れた作業となったのではないだろうか?

管理者も作業員にまかせっきりで、観察や指導・教育する体制がなおざりにされていたとしか思われかねないのである。
品質管理上欠かすことの出来ない現場、現物、現実を重視する三現主義が、第一線の生産現場で忘れ去られ、物事の本質を正しく捉えることができなかったとも思える。

先日、大宅壮―ノンフィクション賞を受賞した「散るぞ悲しき」【新潮社発行(梯久美子)】は、硫黄島総指揮官栗林忠道の家族と部下に対する思い、総指揮官としての覚悟・戦闘について書かれた書である。

第四章〝覚悟" で「栗林は現実の細かいところまで把握していたからこそ自分の決断に自信をもち、断固として実行することができたのだろう。

上に立つものは細部にこだわらず大局を見るべきであるという考えもある。しかし、大局ばかりを語り現実を見なかった当時の戦争指導者達の楽観的な目論見はことごとく外れた。
現場の状況の細部を無視して決められた方針は戦場の将兵を苦しめ…。」
先に提げた事件・事故とその後の対応を知るにつけ、職務に携わる者としての見識や責任の重さを痛感させられる。

マニュアルを作ったまでは良いが、その後がよろしくない所謂「仏作って魂入れず」で、いかに立派なものを作っても、肝心の中身が伴わない類にならないように努めたいものである。



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