功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『地獄十二關門』

2007-06-08 23:43:41 | バッタもん李小龍
地獄十二關門
Champ Against Champ
Champ vs. Champ
1980(1983?)

●巨龍(ドラゴン・リー)主演の武侠片である。しかもあの何誌強(ゴッドフリー・ホー)監督作だ。この2人が組んだ映画は、そのほとんどが韓国で製作された巨龍主演の映画を何誌強監督名義で勝手に売ったものらしい。本作も知っている人が巨龍意外にまったく登場しておらず、韓国産の武侠映画と見ていいだろう。さて、どんなクズ映画なのかと本作を見てみたら、この映画はそんなに悪くないものだった…というか、結構面白かったです(爆
高名な武術家の巨龍は、ボスの李康助(リー・カン・ジョ)率いる一団に命を狙われていた(理由は不明)。李康助は四天王(茶髪の金剛もどき、火炎放射男、フラフープ使い、棒使い)を呼び寄せる。さらに巨龍の父の友人が持っている"何かすごい秘密"を狙い、巨龍と父とその友人をまとめて誘拐する。なんとか一団のアジトから脱出した巨龍だが、父は殺され、父の友人は捕らえられ、巨龍も李康助の放った毒矢を受けて片足を失ってしまう。
倒れていた巨龍を助けたのは父の友人の娘、金永仁(キム・ミン・ジェン)だった。金永仁は巨龍のリハビリを手伝い、父が使っていた倉庫から一冊の本を拾ってきた。それは鉄の義足を作る本!さっそく義足を作った巨龍は、重たい義足に慣れるために厳しい特訓を重ねる。長い特訓を経た巨龍は、いつしか想いが通じていた金永仁にいったんの別れを告げ、「必ず君の父を助け出し、私の父の仇を討つ」と誓った。
巨龍は敵の縄張りを荒し、四天王を各個撃破で倒していく。その鉄脚はクリーンヒットすると、ほぼ一撃必殺の破壊力を誇るという、とんでもない威力を秘めていた。破竹の勢いで四天王を倒して父の友人を助け出した巨龍は、ついに李康助との激突を迎える!
…というわけで、李小龍とは何の関係も無いシリアス武侠片でした。イメージ的にはジャッキー『蛇鶴八拳』に近く、ロケ地が寒そうな韓国の山奥という点も類似点している(『蛇鶴八拳』も韓国ロケ作品です)。しかし、どうしても気になることが1つ。本作は『蛇鶴八拳』よりも寒い所で撮影されたのか、セットで撮影されているのに、役者の口から白い湯気がモクモクと出てるんです(笑
作中、室内のセットがあまり使われていないので、全編を通して代わり映えのしない殺風景な山奥が続きます。セットは敵のアジトと客棧(加藤茶にそっくりの給仕、南浦童(ナム・ポ・ドン)がいます)とヒロインの家しかなく、ちょっと手抜きっぽく思えるのですが、これは広大な韓国の山奥を見せてスケール感を演出をしようという目論見なのでしょうか?でも殺風景なのは変わりませんし…。
あとは金永仁さんが素朴な感じで可愛かったですが、その金永仁さんが鉄の義足の本を巨龍に持ってきた時から、まんま『獨臂刀』みたいな展開になるのには笑っていいものかどうか(爆)。アクションは韓国映画なのでテコンドーを基にしたものですが、突然何の前ぶれもなしに巨龍が魔法を使ったりする場面もあります(武侠片だから何でもアリ?)。
本作はテコンドー色が強く、アクションシーンは蹴り技中心です。あまり変化に富んだものが見られませんでしたが、それが返って巨龍の鉄の義足を引き立たせる結果になっているのは(偶然としても)効果的でした。
私はそんなに巨龍作品は見ていないですが、これは彼の傑作の1つと見ていいでしょう。

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2 コメント

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權一銖 (脇役王)
2007-06-10 11:03:42
こんにちは

この巨龍の作品の監督って確か李赫洙っていう人だと思いますね。当時の韓国の新聞記事?みたいなやつで書いてありました。ちなみにボスの手下役には韓鷹も出てましたね。去年入手して1回しか見てないのでうる覚えなんですが悪党の茶髪を演じているのは權一銖っていう人なんですよね。この人は意外にもジャッキー・チェンとのツー・ショット写真なんかもありますよ。
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巨龍のソナタ (龍争こ門)
2007-06-11 00:06:09
脇役王さんこんばんは!

何誌強は名義だけの監督とは知っていましたが、元の監督までは知りませんでした。韓鷹(イーグル・ハン)は韓国功夫映画によく出る顔らしいですが、まだまだ韓国産のこういったものに見慣れていない私としては誰が誰だか…(爆
ジャッキーとの繋がりはたぶん羅維時代に主演した作品での繋がりでしょうね。結構羅維プロのジャッキー作品って韓国ロケしたものが多いと聞きますし。
貴重な情報どうもありがとうございました!
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