プロとアマの違いは何だろう。
プロにも二通りある。楽譜通り正確に吹くプロ。それはそれで
感動を与えるが、往々にして何かつまらない演奏になる。
オリンピックのフィギア スケートは難易度の高い技に挑戦して
緊張と感動を与えてくれる。一方、プロのアイスダンス ショーは、
完璧なすべりで 観客を魅了する。そこには、見ていて、絶対に
失敗しないという安心感もある。
それと同じか。楽譜にしがみついて吹くのは、たとえ完璧に
吹いても、観客に不安感を与え、プロではない。プロは楽譜が
あったとしても、余裕を見せる。
演奏の姿勢もアマとプロの差が現れる。プロは舞台に出てくる
ところから違う。観客を呑むオーラを発する。終始うつむき
加減の演奏では、観客に“見せる姿”にならない。
プロの尺八家 阪口夕山氏が「私にとって 古典本曲は“趣味”です」と。
「古典本曲ではお金をいただかない」という。「古典本曲のプロではない」と
いうのか。「古典本曲は人に聞かせて金をいただく性質のものではない」
という意味か。
私はプロの虚無僧でござる。舞台で演奏するのも、街頭で尺八を吹くのも同じ。 舞台演奏でも「お代は見てのお帰りに」で、「感動していただけたら それに応じた喜捨を」と告げている。その方がチケットの売り上げより 多かったりして、反応が即金額で示されるから、真剣勝負。
先日「カタチばかりの虚無僧が多いが、初めて“ホンモノ”の 虚無僧を見た気がした」と言っていただいた。
ようやく板についてきて、ホンモノになれたたか。