公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

発達遅滞のある子10

2023-05-07 | 発達遅滞の子の学習サポート

昔、現在ほどADADや発達遅滞という言葉が一般的でなかった頃、

子どもが問題行動を起こすと「親が悪い、躾ができていない」などと親が、それも母親が周囲から責められ、

子どもの父親でさえもが「母親の責任」ということが多かったものです。

どう言っても子どもの学校内外での過激な言動がやまず、追い詰められて自殺未遂を起こした知人もいます。

 

どれほど言い聞かせても、いざその場になると感情が抑えられず乱暴な言葉を吐いてしまう、

A君は「死ね、死ね、死ね」と連発しながら相手の子に殴り掛かったとかで

母親が学校から呼び出され親子ともども厳重注意を受けて、相手の家へ謝罪に行ったそうです。

でも、その相手の子の言動の何かしらが、A君の行動の引き金になっている筈ですから

その引き金を知ることが肝心なので、そこがわからなければまた同じことになってしまうのでは?

しかし、大抵の問題児は、そういうことの理由の説明が上手ではありません。

また、相手の子にしても「ほんの軽い気持ち」「冗談で」「ふざけただけ」で

何をどういう状況下でどんなふうに言ったりしたりしたのか、あとからオトナに順序立てて説明することは

できないし、できたとしても当然自分に都合のいい説明になることでしょう。

それでもいくらかでも状況がはっきりすれば、過剰反応しないようにという心構えを教える足しになります。

 

これは、被害者側の経験ですけれども

娘がクラスメートの男子に殴られ、口の中を切るけがをしたことがありました。

治療を受けに行った病院で「これは暴行として警察に行くほどのケガです」といわれ驚きました。

娘も大したことではないような態度でしたし、勝気で口の達者な娘に対し

相手の男の子は口では勝てないので手が出たのだろうから、喧嘩ということであれば親の出る幕ではないと

顔に傷が残るほどの事でもなし、と思っていたのです。

校内でのケガなので「治療費は学校から」でしたから、担任にケガの程度について話しました。

担任の先生からの「監督不行き届き」の謝罪がありその後、父親の同行で当人がうちに謝罪に来ました。

その父親というのが、私に言わせれば問題で、

息子のアタマを押さえて畳にこすり付けるようにし「もうしわけありませんでした。」

私の聞きたかった「なぜ?」ということは勿論、なんの話をすることもなく見舞い品を置き

「言い訳は見苦しい」と、アタマだけ下げて帰りました。

あとで「口の達者な娘」に細々と事情を聴いて、「ふーん、なるほど」と納得はしましたけれど

あの父親は息子の話をちゃんと聞いてあげたのだろうかと後々まで気になりました。

この、うちの娘にケガをさせた男の子というのは、娘の話を聞く限りでは、

なんでも、娘と口論していた女の子の味方として手が出たらしい・・・・・・

行き過ぎの感はありますけれども、「青春」なのね・・・・・・

あとから噂話として聞いたところでは、あの男の子は躾として家でよく殴られることがあったらしく

定型発達の子であっても、家庭環境によっては「手が出る」タイプに育ってしまうという一例ではあります。

 

本論に戻って。

説明ができるということがいかに大切かということ。

周囲に対してもですけれど、まず自分自身に対して「なぜ?」「どういわれたから?」ということを

はっきりさせることが必要です。

よく「バカにされたのでカッとして」という言葉を聞きますが

「何をどうバカにされたと思うの?」と聞くと、黙ってしまうことがほとんどです。

勿論、自分について他人がどう言ったかを繰り返したくないという気持ちはわかりますが

ある程度の整理ができないと、ただ、「いちいち反応しないで。」とたしなめるだけでは

似たような状況になった時にはまた同じことになってしまいます。

ただ、以前小学校の教員をしている方から聞いたのですが、小学校の指導要領に、

羨む・妬みなどの言葉はないそうです。そのような負の気持ちは持たないことになっていますって。

そうすると、自分の中にもやもやしている気持ちを言葉で誰かに説明しようにも

せいぜい「なんだかイライラした」ぐらいにしか言いようがないのかもしれません。

人は、なにかを考える時、言葉で思考をたどります。

物の名称については知る機会も方法もたくさんありますが、気持ちということについては

どうやって学ぶのでしょうか。

よく、幼児のお母さんにお伝えするのですが

お子さんが何かで喜んでいる時に「良かったね、うれしいね」と言葉にしてあげることが大事です。

ケガをして痛がっている時に「痛いの、痛いの飛んでけー」と今感じている感覚に名前を付けます。

そういう体験を重ねることで、感覚や気持ちに名称がついてようやく

「今日学校で先生に褒められて嬉しかった」という言葉につながり

「転んで痛かったから靴の紐はしっかり結ぼう」という意識につながります。

文字を覚え言葉を覚えて本を読む楽しみがわかるようになれば語彙はどんどん増えていくのですが、

いまどきの子どもで読書好きな子がどれだけいることやら。

 

現在の小学校では10%ほども、なんらかの発達障害のある子がいると言われています。

生まれながらに脳の機能に障害があるということもあるでしょうけれど

中には、言葉の要らない暮らしの影響で、発達できなかった部分がある子もいるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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