金曜日の朝、水城は最悪だった。
遅刻ではないものの、二日酔いで始業時間ぎりぎりの出社の上、通勤ラッシュに巻き込まれボロボロになっている。
「おはようございます」
水城の声に室内の者たちは一世に振り向いた。
朝目覚めた時点でいつもより出社が遅れる事を秘書室に連絡していたものの、いつも誰よりも早く出社する水城が最後に出てくるとあって同僚の興味が集中する。
おまけに、ただでさえ怠い水城に痛烈な言葉がとんできた。“新人でかなりの美人だが世慣れせず怖いものなし”と定評(?)のある有梨香が皆が聞きたくても言えない一言をあっさりかましたのだ。
「水城せんぱーい、どうしたんですか〜?」
完璧なメークに緩く巻かれた髪が若若しく輝き、今朝の水城には刺激が強い。能天気な有梨香の笑顔に、普段のようにさらりと切り返せなかった。同性は意外と苦手な水城である。
「驚くの?私、結構あるのよ、こういうの。」
口元をキリリとさせつつ口角を上げ、クールに微笑むと背中に同僚の好奇の視線を浴びながら社長室へ向かっていった。
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速水は出張で不在のため、社長室が広く感じる。今朝一番の飛行機でNYへ向かっていた。
帰社するのは
明後日である。
主のいない机だというのに、届きものは普段通り続々と入ってくる。
社長業と会長職を兼務している為にやたらとが多いが、水城は苦もなく整理していった。
速水英介の秘書だった頃から既に社長職を任されても困らないほどに会社の事は熟知している。それに、自分以上にこの業務を遂行できる人間はいない。と、自惚れ抜きに自身を客観的に観る目も備わっていた。
・・・・もし、プロポーズを受け入れて彼のいる香港に行くのなら、は後任どうなるのだろう・・・・
仕事人間の水城らしからず、退職のプランを考えると気が楽になる感じがした。
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お誕生日おめでとうございます❤
誰の事って・・・そりゃあ・・・
ついでに47巻でもご活躍をお祈り申し上げます!!!
2010年11月3日 GLASS