ガラスの御伽噺

ガラスの仮面、シティ-ハンタ-(RK)、AHの小説、BF
時代考証はゼロ
原作等とは一切関係ございません

LINE ~番外編~

2022-11-07 17:11:04 | ガラスの仮面
セリフが英語のDVDは、字幕を読むしかない。

それでも、耳に入るハンフリー・ボガードの渋い声が、マヤの心を痺れさせた。
真澄から郵送された、ポータブル再生機を映画『カサブランカ』のDVD。

ポータブル再生機は真澄の私物だったのだろう。
綺麗な最新機種ではあるが、外装はなく、纏められたコードとアダプターだけが入っていた。
あの、忙しい真澄が、取り急ぎまとめて送付した事を思わせる。

いつもなら映画の余韻にしばらく浸るマヤだが、上映が終わった再生機のディスプレイをぼんやり見つめていた。
配給映画会社のロゴが静止画面にでているだけだが、何となく電源を落とす事も、繰り返し視聴する事もできずにいる。

麗は、地下劇場で次の公演の打ち合わせだから、つっこむ人もいない。
団長の堀田が白熱するのはいつも事のなので、恐らく彼女の帰宅は遅くなるだろう。

 ---ジャズバー 長根---

夢のような時間だったけど、目の前の再生機とDVD、そして真澄のプライベートマンションの住所が記載された茶封筒が、あれは現実だったと裏付けてくる。

でも、来月には、財閥の才色兼備なご令嬢と結婚する人。
本当に奇跡のような時間だった。

そして、まるで、この先に何か思いもしないことが待っているような、予感さえ感じさせる。

苦しいのに、甘く、ほんの少しの背徳感。
何故、こんな気持ちになるのか、マヤには説明もつかない。

でも、今は。

待っていたい。

真澄が、本心を話してくれる時を。

   《完》





コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« YOU CAN‘T HURR... | トップ | あっという間に、時がすぎ… »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ガラスの仮面」カテゴリの最新記事