戯人舎

『夢あるいは現』日記

「夢あるいは現」日記 『この空を飛べたら〜』

2017-07-13 | 日記
 『この空を飛べたら』を初めて聞いたのは、中島みゆきの歌ではなくて、加藤登紀子の歌だった。場所は、天王寺野外音楽堂で、バックバンドは何とセンチメンタルシティーロマンスだった。突然の進路転換をして、劇団に入って何年か経った頃、初演出を経て、この野外音楽堂でも公演をやろうと思っていた自分の、その時の心情で聞いたせいなのか、5月の、しかも野外での、青空と風に運ばれて来る音楽とで「歌詞」とは別のイメージを抱いたのか、その後、この歌は僕にとっての応援歌になった。「ああ、人は昔々、鳥だったのかも知れないね」だから、色々あるけれど、やると決めたのだから、飛んでみようと。
‏ そんな想いをずっと持っていたからなのか、清水邦夫の『とりあえず、ボレロ』に出て来る「ボレロということばの語源知ってる?ボウラー、とぶという動詞なんだ。とぶ。一寸先の闇へとぶ。とりあえず、とぶ。そしてやぶれたら…そう、とりあえず、バイロンさ」と言う台詞に、ずっとシンパシーを感じていたし、戯人舎を名乗るようになってからのレパートリーの大半を清水作品が占めることになった要因でもあった。迷ったら、飛ぶ。とりあえず、飛ぶ。そして例え、失敗だったとしても、うだうだ思わないで「とりあえず、バイロンさ」と。
‏ 十年は一昔なら、もうそろそろ、昔、芝居をやって居ましたと、言わなければならない年月が過ぎない内に、再び「はるかなる戦いの日々」に復帰しなければならないと。