戯人舎

『夢あるいは現』日記

「星に願いを」制作日誌番外編

2014-05-17 | 舞台

 おかげざまで大丸心斎橋劇場での「星に願いを」の公演を、3回公演とも大盛況の内に、無事に終える事が出来ました。ご来場くださいました皆様に心より感謝申し上げます。
 さて、公演から半月が過ぎた。ようやく公演の疲れも少しは失せて来たので、また、この町にやって来た。昔の劇団があった町にだ。
 もちろん幻想ではあるけれど、今の自分の何メートルか先を、若かった自分が歩いている。今の目線で風景を見ているのだけれど、若かった自分の感性で捕らまえている。そうしながら何故、時々この町へ帰って来るのだろうと考える。劇団を含めた町の半分は更地になってはいるけれど、もう片方には、洋食のマルヨも中華の永楽も喫茶K2も30年近くも経っているのに、ちゃんとそこにある。永楽の主人はもう80歳を越えているのに相変わらず元気だし、僕の事を覚えていて声をかけてくれるし、K2のマスターだって、きっと顔くらいは覚えてくれているだろう。
 ただの懐かしさで、その町に帰って来るのではない。リセットする為にと言ったらいいのだろうか、今度の公演を「仕上げるため」に我が身に付いた良いことも悪いことも含めた諸々を、この町に置いて来て、零の自分になる為に、と書けば、気障に聞こえるだろうか?
 そんなことをぼんやり思いながら、前を行く若かった自分の後ろ姿を見つめている。