清水邦夫作『とりあえず、ボレロ』を、お送りします。本当は『なぜか青春時代』の次の年に第二弾として上演するはずだった作品です。別に作品的に続編であったりする訳でもないのですが、『なぜか青春時代』を製作、演出している時に、この出演者を中心に、また芝居を考えたいな、いったい何が良いだろう? 『とりあえず、ボレロ』は? と言う決まり方をした作品です。それが立ち上げるのに、三年もかかってしまいました。でも三年かかったことが、この作品に対する愛情をより深くし、なまなかのキャスティングでは満足出来なくなっていました。それで役のほとんどを、それぞれが所属する劇団なり団体なりの、代表であったり、主演級の方々をキャスティングしました。もちろん役に軽重はありませんが、やはり役に深みが増したことは稽古してすぐにわかりました。
まず『なぜか青春時代』からの、河東けいさん、小笠原町子さん、路井恵美子さんに加え、関西の演劇を育んで来られた西山辰夫さん、波田久夫さん、僕達のすぐ上の世代として、芝居に対する心構えなど直接影響を受けた芝本正さん、和泉敬子さん、今、一番油がのっている、生田朗子さん、梅田千絵さん、宇仁菅真さん、これからの演劇を引っ張って行く期待を担った松のりひこ、柳沼周平、古トシキ、彩世ゆり、それから、これから花開く高橋愛子、玉城那麻です。これで面白くない訳はないばかりか、より作品の陰影が増しています。どうぞ劇場に足を運ばれて、あなたの目でお確かめください。
最後になりましたが、友人の装丁家多田和博さんにチラシのデザインを、そして、その友人の尽力でイラストを僕達の世代には神様的存在の宇野亜喜良さんに、なんとオリジナルを書いていただきました。あわせてお礼申し上げます。