SKY HIGH by Jigsaw

　特撮ヒーローがＴＶのゴールデン・タイムを占領していた'70年代中頃。私は『燃えよドラゴン』や『ドラゴンへの道』のテーマ曲や主題歌とともに、この歌を知りました。たしか、従兄弟が映画主題歌としてのこの歌のシングル・レコードを持っていたのだったと記憶しています。
　調べてみると、オリジナルのリリースは'75年でした。
　私自身はこのレコードは手に入れませんでしたが、どこぞの得体の知れないオーケストラが映画音楽を演奏しているカセットテープを買ってもらったことはあります。そのテープに収録されていた「ベンジーのテーマ」「タワーリング・インフェルノ　愛のテーマ」「ゴールドフィンガー」はなかなかの名演でした。そういえば、『タワーリング・インフェルノ』のサントラＣＤってリリースされていないのですかネ？

　最近はクルマのＣＭでも聞かれますが、当時は覆面プロレスラー、ミル・マスカラスのテーマ曲としてもお馴染みでした。その所為もあってか、この歌にはヒーロー番組の主題歌のような「匂い」を感じます。


　そういえば、この歌は中学生の頃に吹奏楽部で演奏したっけ。当時はまだテナー・サックスを吹いていました。その後パーカッション・パートに移籍して、ドラムスでも演奏したことがあります。２つのパートに跨って演奏したことがあるのは、この歌と「宇宙戦艦ヤマト」か‥‥(^^ゞ　当時はまだ特撮好きでもアニメ好きでもありませんでしたが、この２曲は嬉々として演奏しました(^o^)（選曲したのは顧問の先生でした。）

　いきなりのfp（フォルテ・ピアノ。音楽用語で、強い音から急激に弱くすること。）→クレッシェンド。王道的な展開が、逆に開き直っていて小気味よいです。
コード（和音）の進行上、ベース音が１音ずつ下がっていくところも、素人臭くてわかりやすく、キャッチーですネ。
弦の「チャラリラ、チャラリラ」も、あまりにもありがち。だからわかりやすい！
さらにリズムギターにはワウが掛かっていて、「ワカチャカ、ワカチャカ」というリズムがクール！
ご丁寧にティンパニまで使われています(^o^)

　そしてＡメロに入ると、ヴォーカルにはディレイが！「♪Blown (blown, blown, blown) round in the wind」となるところにシビレます(^o^)　しかし、このディレイはシングルver.だけで、アルバムver.には採用されていません‥‥。
ドラムスはひたすら16ビートでハイハットを刻むところなんて、緊張感が高まります。あまりにもわかりやすい！
弦のオブリ（オブリガードの略。主になるメロディに対して奏でられる別のメロディのこと。）も緊張感がたっぷりです。

　「♪I gave you love」からは明るい曲調になり、８ビートになります。しかしこの歌の本領は、その後の「♪You've blown it all Sky High」からの平行調への転調でしょう。この開放感はクセになります。『トリプル・ファイター』や『緊急指令10-4 10-10』の主題歌と同じような手法なので、この歌に「特撮主題歌臭」を感じるのかもしれません。
ドラムスは再び16ビートのハイハットを刻みますが、裏拍でハーフ・オープンにして「チキチー、チキチー」（←チッチキチーではない(^o^)）というリズムで変化をつけています。これによって、このサビのノリが非常に良くなっています。
ビブラフォンがイイ味で鳴っています。
ホルンが吼えまくっています。かなり編成の大きなオーケストラを迎えてのレコーディングです。
ブラスは短いアクセントではなく、「ン、パーッパパッ、パーッパパー」と８ビートで和音をきっちり演奏しているところは、何とも'60sを引きずったロックです。同じ'70sでも、EW&Fのファンクのようなハネたブラス・アレンジにはならないのですネ。

　メロディやアレンジのカッコよさから、映画主題歌やプロレスのテーマ曲として何度もヒットしたことが頷けます。何といってもビルボード誌のチャートで３位まで昇った楽曲ですから！