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のぼうの城

2009年01月29日 | この本に注目!
のぼうの城
和田 竜
小学館

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  遅まきながら、『のぼうの城』を読み終わりました。大変面白い小説でござった。本の帯に「ハリウッド映画の爽快感!(杏さん)」とありますが、その通りでした。早く映画で見てみたいと思わせるに十分。出来れば監督はクロサワでお願いしたいが、これはかなわぬ夢。ならばジョージ・ルーカスで… 
 この小説の面白さは、映画化を意識したスピード感と登場人物のキャラクター設定の妙にあると思います。忍城に籠もった諸将の何と個性的なことか。かつて滝川一益を追いつめ、「漆黒の魔人」と恐れられた正木丹波。初陣にて石田三成軍を翻弄してみせる策士、酒巻靭負。そして、何かにつけて丹波に突っかかる野人、柴崎和泉。これら「角の多い」侍大将たちを束ねるは、「でくの坊」成田長親。百姓にまで馬鹿にされるこの人物が、三成の放った秀吉直伝の水攻めを破るシーンの、何と爽快なことか… 一方、攻め手も個性的。とにかく水攻めがしたい石田三成。そんな三成を支える大谷吉継。もう一人、銭勘定の長束正家。天下分け目の決戦では主役を務めた方々ではありませんか。そんな有名人達が関白様の威光をバックにして2万の大軍で攻め立てる、攻め立てる!それを、わずか2千の兵で守り抜こうというのだから尋常じゃない。そんなことできっこない、でも歴史に残る事実なんです。(ま、忍城が持ちこたえている間に小田原城が落ちちゃったのが大きかったのですが…) あり得ない史実が残っている以上、そこには荒唐無稽な出来事が存在していてもおかしくない、というか、荒唐無稽でなくては説明しきれないでしょう。その点でも、この小説はうまいですな


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