本当は売りたい(買いたい)時に、より有利な取引レートを引き出そうとしてあえて買い(売り)取引を続けて行い、高く(安く)なったところで本当の取引を行うことで、主に銀行間市場での手法。
A銀行がドル円市場で、例えば現在の買価格119.00でまとまった額を売らなければいけないと仮定する。しかし、このまま売っても買い手の額が少なく売り切れないと判断した場合、A銀行は例えば119.30まで先に買うことで買い気が強いことを市場にアピールする。市場はA銀行が買い上げたことがばれない限り、買価格を119.30程度に上げてくる。そこで、A銀行は売らなければいけない額に、30まで買ってしまった金額を乗せた額に足りるまで直接、取引相手の銀行に価格提示を求め売りさばくのである。
こうすることで、例え119.00で売り切ることができなくても118.80迄で売り切ることができれば、平均コストとして119円で仕上がることを狙う。119円から同じことをすれば売切れるまでに118.50円になるかも知れず、平均コストが118.75円ならば25銭といえども、数億ドルの取引額なら数千万円の損失にもなりかねない。
スプーフという言葉が定着する前には、偽モノという意の「フェイク」と呼ばれるのが一般的だった。
こぼれ話
かなり相手を欺くこの手法を多用するとクレームの対象となり、お行儀が悪すぎると取引枠を潰されて、取引しようにも相手がいなくなり、ひいてはこのような注文を受けられなくなってしまい、身動きが取れなくされてしまう。あくまで為替市場はこのような紳士協定がしかれていた。
スプーフは、薄い市場で効果を発揮するが、下手をすると効果以下の結果となる場合もある。
昔、B銀行が突然市場で買い始め、あっという間に50ポイント程度上昇してしまった。売り買い両方にまとまった顧客を持っているB銀行は、やっと買いのカバー取引が終った局面で今度はまとまった売り注文を受けあわてて売り始めた。
上昇局面でB銀行に売ってしまった他の銀行は、下がってきた相場ですかさず買いのカバー注文を入れ事なきを得たが、売りも買いも同じB銀行が相手だとわかった時、相当の怒りをかってしまったという記憶がある。まさに、スプーフだと思われたからである。
B銀行の担当者は、指示に従って行動したまでに過ぎないところを、相手銀行からも「お前は何をやっているのだ!」と怒鳴られる始末で、市場が落ち着いてから理由を説明したものである。こんな経験は日常茶飯事であったことが懐かしい。今では電子市場の発達で、逆にスプーフすら打てないのではないだろうか。
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