中小企業診断士 福田 徹 ブログ

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国家戦略室に湯浅誠氏を起用~霞ヶ関に貧困の現実を突き付けた派遣村村長

2009年10月15日 | 福田徹の視点

 皆様、おはようございます。今日は10月15日木曜日、私は中小企業診断士の福田徹です。


 私が中学だったか高校だったかの頃のベストセラーに「東京に原発を!」(広瀬隆1981年)という過激なタイトルがありました。

 チェルノブイリ以降、信頼性に疑義が出ていた原子力発電所に反対する立場からの著作で、政府をはじめ推進する人達が、「日本の原発はソ連(当時)と違い安全だから原子力発電政策を推進する」というのならば、いっそのこと東京に作れば良いじゃないかというタイトル名が当時はとても刺激的だったのを覚えています。

 作者の趣旨は、開発予算の餌に食いついて原発を受け入れざるを得ないような過疎の村だけにそのリスクを負わせるのは不公平であり、原子力発電による電力を使用しその便益を得る都市住民が都心に原発が建設されてリスクを負うということを想像して見ることによって、都市住民自身が原発の負の部分についてもっと真剣に考えるべきだ、ということだったように思います。

 当時において、かの本の意義は、書籍の中での仮定とはいえ、現実をのど元に突き付けることで、人々の認識を変えるという試みにあったように思います。


 時は経て、大不況が襲った2008年暮の日比谷公園に年越し派遣村が出現しました。

 大企業と省庁のお膝元であり、そしてマスコミが取材しやすい都心部に、派遣切りと貧困の現実を持ち込んだ中心人物は湯浅誠氏です。

 「東京に原発を!」を当時の湯浅氏が読んでいたかは知りませんが、広瀬氏の書籍から28年を経て、私とほぼ同世代の湯浅氏が「派遣切りと貧困の現実を」中央官庁とテレビの前の視聴者に突き付けて見せました。


 この年越し派遣村は、途中から厚生労働省の施設使用を認めさせるなど、当時の政府に現実を突き付け、認識を改めさせることについて、一定の成功を納めたと私は考えています。

 また、年越し派遣村が世間の注目を集めたことにより、世論が「首を切られるのも本人の努力が足りないから」というような小泉首相時代以来の「自己責任の呪縛」から自由になるきっかけとなったと私は考えています。


 湯浅氏は、後にインタビューに答えて、始めから省庁とマスコミを狙っていたと語っています。

 彼は頭のいい人であり

 中央官庁には、国民がおかれている現実が見えていないと考えて、象徴的な形で現実を霞ヶ関の官庁街の目の前に持ってきて「見える化」しました。

 それは、いくら困っている人がたくさんいたとしても、個々人の現実だけでは映像としておもしろく無いためにニュースにならないというテレビ局の都合があるならば、派遣切りにあった人や貧困者を集めて「村」にしてマスコミが撮影しやすいように「見える化」した、ということでもありました。


 どういうか、現実を変えるためには、お涙ちょうだい式であったり、右だの左だのというイデオロギーに依存したやり方であったりする旧来の「運動」では足りなくて、彼がしたように頭を使って実際の変化を促進する手段を探り、その手段を戦略的に実行するやり方の方が、より大きな効果を得られると私は考えます。


 さて今回、湯浅氏が政府・国家戦略室に政策参与として起用されるということです。

 (私は民主党にも湯浅氏や彼の団体にも関係ありませんし、現在のところ、どこの政党・政治的活動をする団体にも与するものではありませんが)

 私は実際に現実を変えることができる人物として湯浅氏の活躍を大いに期待をしています。

 湯浅さん、どんどんと見えざる現実を「見える化」して、現実を政府に突き付けて下さい。


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