奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その301)

2017-06-21 09:24:24 | 奈良・不比等
一級河川・大和川の支流・竜田川(たつたがわ)を遡(さかのぼ)ると、近鉄奈良線と交差する手前で小丘陵に阻(はば)まれて竜田川は略(ほぼ)均等に左右に分かれる。左西方の川筋が竜田川で、右東方が東生駒川となる。2キロ程北上すると淀川水系・天野川との分水嶺となっている。-------
竜田川最上流域は、近鉄奈良線沿いの新興住宅地として開発が為されており、丘陵地の天辺(てっぺん)まで小さな家が立ち並んでいる。それでも僅(わず)かに所々(ところどころ)里山の一部に木立が残されており、自然を感じることが出来る。------
30数年前には竜田川が現・国交省の水質ワーストランキングの全国1位だったことから流域の下水道が重点的に進められ近年漸く放流された鯉(こい)の泳げる水質となっている。しかしながら100%下水化した訳ではないので今でも水量の少ない川に家庭排水が流れ込んでいる。-----
水辺の景観を良くするために桜を植樹したり、ボランティアに資金を援助してフラワーボックスを並べたりして地元民の憩いのゾーンになっている処もある。この時期、紫陽花(あじさい)が植えられている土手があり、小さな橋の下に巣作りした燕(ツバメ)が川面を繁(しげ)く飛び回り餌(えさ)の羽虫などの捕獲に余念がない。-----
不図(ふと)川沿いの散歩道の前方を見ると幼児を連れた母子がしゃがみ込んで燕の宙返りを眺めていた。------
母子を追い越して赤紫の紫陽花と並んで100メートル程歩いてから後ろを振り返ると、母子は枝分かれした丘陵下の道から付近に唯一残る小さな森に続く石段を登って行った。僅かに残った木立の中には無住となったお寺のお堂が一つ残されており、その境内を通り抜けると丘陵上部に住宅地が広がっている。-----
奈良県北中部の周辺では、金剛生駒紀泉国定公園と県立矢田自然公園の地域を除いたところで今もミニ開発が行われており、僅かに点在し残っていた里山が消滅している。それでも未だ地元農家の存在があり、多くはアパート経営に田畑を用途変更してはいるけれど自家用の田畑は緑を湛えているので救われる。新興住宅地の住宅密集度は大阪方面と変わりなく犬の散歩でもアスファルト尽(ず)くめとなって仕舞っているのが実情である。個々の住宅が兎小屋(うさぎごや)でなく数百坪の敷地があれば邸内にミニ菜園など設(しつら)えて晴耕雨読も出来なくはないが、其れが出来るのは上級サラリーマンの住む学園前の住宅地の一角位だろう。
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