カール・ベームのベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」の正規スタジオ録音には今回取り上げる1961年12月録音「ベルリン・フィル盤」と1972年9月録音の「ウィーン・フィル盤」がある。どちらも「ドイツ・グラモフォン盤」でそれぞれのオーケストラの持ち味を出した演奏だが筆者は前者の「ベルリン・フィル盤」を好んでよく聴いている。この演奏は野性味を感じさせる闊達なベームの演奏スタイルに惹きつけられてしまう。また機敏なテンポの運びも一種の緊張感を感じさせ成功している。とりわけベームのベートーヴェン交響曲録音の中でも特に素晴らしい1枚ではないかと思っている。
写真は今から約半世紀近く前にリリースされたそのベルリン・フィル盤(1961年録音)の国内初出盤(SLGMー1106)である。現在は勿論CD化もされその音質の良さは半世紀前の録音を全く感じさせない。ジャケットの1963年「ベルリン・ドイツ・オペラ」でのベーム初来日の際の直筆サインも懐かしい。