私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

クリスティーナ・オルティス/ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第1番&第2番」

2011-06-30 12:04:45 | 協奏曲

 写真のLPレコードも以前にもふれたことがる1970年代に香港に行くとよく立ち寄った小さなクラシック・レコード専門店で求めた懐かしい1枚である。1969年の「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で優勝し一躍世界から注目を浴びたブラジル出身の名女流ピアニスト、クリスティーナ・オルティス(Cristina Ortiz)がまだ20代の頃に「英EMI」にレコーディングしたショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番&第2番」で筆者も当時レコード店の店主に薦められて購入した。録音は1973,4年頃と思われるが彼女の爽やかなピアノが聴きものである。管弦楽はイギリスの「ボーンマス交響楽団」で指揮は当時このオーケストラの首席指揮者だったパーヴォ・ベルグルンド(Paavo Berglund)である。ベルグルンドは70年代に「日本フィル」に客演し左手で棒を振る指揮者でファンも多く1978年の「香港アート・フェスティバル」にはこのオケを率いて参加している。当時筆者もこのオケを聴きに当時香港まで足を運んだのでこのLPもおそらくその時に購入したものと思われる。(写真/英EMIASD3081)
 ところでショスタコーヴィチの「第1番」のピアノ協奏曲はピアノと共に独奏トランペットも活躍するため「ピアノとトランペット、弦楽合奏のための協奏曲」とも呼ばれている。作曲年代はショスタコーヴィチがまだ27歳の1933年である。またこの協奏曲にはベートーヴェンなど他の作曲家のモチーフをパロディー化して引用するなど興味深い。因みにこのレコードのソロ・トランペットは当時この楽団の首席トランペット奏者、ロドニー・シニア(Rodney Senior)が吹いている。

レア盤、 ニコライ・ラコフ自作自演の「交響曲第2番」

2011-06-29 02:16:20 | 交響曲

 ニコライ・ラコフ(Nikolai Rakov/1908~1990)は「知る人ぞ知る」ロシアの現代作曲家の一人であろう。彼はモスクワ音楽院の教授も務めるかたわらヴァイオリニストであり指揮者でもあった。彼は自作の「ヴァイオリン協奏曲第1番」で1946年に「スタリーン賞」に輝きまた1975年には「ソヴィエト人民芸術家」の称号を受けた人でもあった。筆者がこの作曲家の作品を初めて耳にしたのは1980年代に写真のLP、メロディア盤を求めてからであった。(メロディア/33C10-11403-4/ステレオ)最もこのLPを購入したきっかけはレコード第1面に収録されたプロコフィエフの「ピアノ協奏曲第3番」(ピアノ:リューボフ・ティモフェーヴァ)を聴くためであったがこのLPの第2面にはラコフの「交響曲第2番ヘ長調」が本人の指揮、ソヴィエト放送交響楽団の演奏で収録されていた。録音データの記載がないので推測になるが1970年代の録音と思われる。彼は交響曲を生涯に4曲遺しているいるがこの「第2番」は1957年に「ロシア十月大革命」の40周年を記念して作曲されている。筆者はロシア語が読めないが幸いフランス語で「Pour la Jeunesse」と交響曲の副題が「若者(青年)のために」と表記されていた。作品は4楽章構成をとり演奏時間にして約25分足らずの作品だが調性がありメロディアスで躍動的で聴きやすい作品になっている。
 こうした普段聴かないレコードにたまに針をおろしてみることもまた新鮮味を味わえいい気分になる。
 

セル/クリーヴランド管弦楽団 - ブルックナー「交響曲第8番」(1969年スタジオ録音)

2011-06-27 17:34:01 | 交響曲

 かつて「ソニー・クラシカル」からリリースされていたジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団の名盤ーブルックナー「交響曲第8番ハ短調」(1969年スタジオ録音)も今では「CDショップ」で見かけなくなった。おそらく国内盤CDは廃盤なのだろう。写真は筆者が学生時代(1970年頃)に求めた当時の「CBSソニー・レコード」から発売されたその懐かしい国内盤初出LPレコードである。(CBSソニー/SONC10326-27/2LPステレオ)
 セル/クリーヴランド管弦楽団によるブルックナーの交響曲のスタジオ録音正規盤はこの「8番」の他は1966年録音の「第3番」が同レーベルにあるのみである。その後、「ザルツブルク祝祭音楽祭」における放送ライヴ音源による正規盤CDも発売されたが筆者は写真のスタジオ録音によるこの「第8番」を一番気に入っている。LPレコードの記録によれば録音はクリーヴランド管弦楽団の本境地「セヴァランス・ホール」で1969年10月3日・6日・10日・13日の4日間に分けて行われている。録音はオーケストラ各パートの音のバランスと透明感のある音質が素晴らしい。とりわけ約30分かけて演奏されているアダージョの「第3楽章」は指揮者セルの「音楽美学」が結集した聴き所である。またこの国内盤初出LPジャケットの渋いデザインも当時筆者の購買意欲の興味をそそった。

 

フランツ・コンヴィチュニーのレア音源を含むライヴ盤から

2011-06-26 21:04:57 | 交響曲

 今日は「独WEITBLICK」のフランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサート・ライヴ盤シリーズから筆者が最も気に入っている写真のCDを紹介したいと思う。
 このCD(WEITBLICK-SSS0016-2)にはウェーバーの「舞踏への勧誘」(ベルリオーズ管弦楽編曲版)とベートーヴェン「交響曲第6番ヘ長調<田園>」が収録されている。「舞踏への勧誘」はコンヴィチュニーのレパートリーとしては珍しくしかもライヴ音源なので極めて貴重なものと思われる。この録音はコンヴィチュニーが晩年の1961年12月10日にライプツィヒの「コングレスハレ」におけるコンサート・ライヴ音源でモノラル録音ながら低弦の響きが美しい味わいある演奏が大変魅力的である。一方、ベートーヴェンの「田園」は1958年10月30日の同会場におけるライヴ録音でこちらもモノラルだが彼が遺したステレオによるスタジオ録音による「ベートーヴェン交響曲全集盤」の其れと優るとも劣らないほどの素晴らしいものになっている。この演奏の特徴としては「第2楽章」のテンポを遅くとり(演奏時間約16分)「小川のほとりの情景」の雰囲気をゆったりと表現している。また「第1楽章」の主題提示部の反復も実行しており全体の演奏時間は48分を越えている。この録音も大変良好で低弦の響きにうっとりとさせられてしまう。
 

クーベリック/バイエルン放送響、マーラー「交響曲第2番<復活>」

2011-06-25 18:55:01 | 交響曲

 ラファエル・クーベリック(Rafael Kubelik/1914~1996)が1967年から71年にかけて「バイエルン放送交響楽団」とレコーディングした「マーラー交響曲全集盤」(ドイツ・グラモフォン)はバーンスタインやショルティの全集盤の影に隠れた感もあるが間違いなく彼が遺した数々の録音の中でも代表盤の一つに数えられるだろう。演奏は全般的に派手さはなくしっとりとした地味なものだが彼が指揮者として一番油に乗り切った50代の録音で非常に安定感のある重厚なマーラーに仕上がっている。
 筆者は特に写真のLP「第2番<復活>」(DG国内盤/MG9358-59)の演奏が好きで現在も時折針をおろしている。これは彼が55歳の1969年にミュンヘンの「ヘルクレス・ザール」で録音されたものである。独唱者、ソプラノ=エディト・マティス、アルト=ノーマン・プロクターの歌唱も魅力的である。またバックのバイエルン放送合唱団の響きも透明感があり美しい。またこのシリーズのジャケット・デザインも気に入っている。
 

準・メルクルのメンデルスゾーン「交響曲第2番<讃歌>」(NAXOS新録音)

2011-06-24 14:51:16 | 交響曲

 メンデルスゾーンの「交響曲第2番変ロ長調作品52」は「讃歌」と呼ばれ3人の独唱者と混声合唱を要する演奏時間約70分前後の大作である。しかし1840年ライプチッヒの「聖トマス教会」における初演は好評であったようだが現在の人気度はそれほどでもない。とりわけ国内でのコンサートでこの作品が演奏される機会は滅多にないためレコードやCD演奏での鑑賞ということになる。筆者のこの作品の一番の愛聴盤は以前にも紹介済みのカラヤン/ベルリン・フィル盤である。(DG/1972-73年録音)しかしカラヤンでさえこの交響曲を実際のコンサートで演奏したことはなかった。(因みにカラヤンが実演でも取り上げたメンデルズゾーンの交響曲は「第3番<スコットランド>」のみである。)
 そして今回久々にCDで筆者好みの演奏に巡り合うことができた。写真は日本でもファンが多い準・メルクルが「MDR交響楽団」他と「NAXOS」に2008年8月に録音した新譜である。(NAXOS/8.572294)彼はこの大曲の管弦楽の部分(シンフォニア)と後半の大カンタータ(声楽部分)を実に巧みに美しくまとめあげている。オーケストラの「MDR交響楽団(中部ドイツ放送交響楽団)」はかつの「ライプチッヒ放送交響楽団」と「ライプチッヒ放送フィル」が1991年に合併して発足したものである。メルクルはフランスの「リヨン国立管弦楽団」音楽監督と共に2007年よりこの楽団の首席指揮者を務めている。

 

バイエルン放送・自主制作盤(BR KLASSIK)から

2011-06-23 12:28:29 | 協奏曲

 今日は「バイエルン放送・自主制作レーベル」-「BR KLASSIK」から写真のマルタ・アルゲリッチが弾くベートーヴェンとモーツアルトのピアノ協奏曲ライヴ盤を取り上げてみたい。このCDはこの「レーベル」が発足した2009年にリリースされたものである。CDには「バイエルン放送交響楽団」のコンサート・ライヴ録音からマルタ・アルゲリッチのベートーヴェン「第1番ハ長調作品15」(指揮/小澤征爾)とモーツアルト「第18番変ロ長調K.456」(指揮/オイゲン・ヨッフム)の2曲が収録されている。前者のベートーヴェンは1983年7月17日の演奏でこれは以前に映像としてDVDで発売されたことがあるが「CD」としては初登場である。また後者のモーツアルト(1973年6月22日ライヴ)も正規盤としてはこれが初登場と思われる。
 アルゲリッチのベートーヴェン、モーツアルトの録音はこれまでもレコード・CD録音が極端に数少ないため大変貴重である。因みにベートーヴェンの協奏曲録音はスタジオ録音で「第1番」と「第2番」がシノーポリの指揮、フィルハーモア管弦楽団(1985年録音/ドイツ・グラモフォン)と「第2番」を自らの指揮とピアノで1980年の「ロンドン・シンフォニエッタ」と録音が思いつく。またモーツアルトも確か1990年代「独テルデック」録音の「第20番ニ短調K.466」(アレクサンドル・ラビノヴィチ指揮/パドヴァ・エ・デル・ヴェネト管)と「2台のためのピアノ協奏曲K.365」(アレクサンドル・ラビノヴィチとの共演/イェルク・フェルバー指揮/ヴュルテンブルク室内管)があるぐらいだと思う。このような過去の貴重なライヴ名演盤を集めることも筆者の楽しみの一つでもある。

"MEMORIES"のレア音源によるミュンシュ/「ベートーヴェン交響曲全集」

2011-06-22 14:21:18 | 交響曲

 先頃、”MEMORIES”レーベルからシャルル・ミュンシュの「レア音源」による「ベートーヴェン交響曲全集」(写真-5CDセット/MR2165-2169/モノラル)が発売された。筆者も興味津々で早速買い求め全曲を聴いてみた。全般的に音質について言えば全く難点がないとは言いがたいが筆者には想像以上に鑑賞に耐えうるものだった。音源が1947年から1961年の広範囲なため録音状態のムラは致し方あるまい。全集の音源はミュンシュの「ボストン交響楽団」時代のものが中心だが「第1番」は1950年12月のスタジオ録音、また「第8番」は唯一オーケストラが異なり1947年9月の「パリ音楽院管弦楽団」とのスタジオ録音とありこれはおそらく「SP音源」から起こしたものと思われる。この他は全て「ボストン響」とのライヴ音源であるが何故か「第6番<田園>(1956年12月録音)」のみ演奏終了後の拍手がカットされている。また「第9番」は1958年8月の「タングルウッド音楽祭」におけるライヴ音源で因みにミュンシュは1951年から60年まで「タングルウッド・バークシャー音楽センタ」ーの音楽監督も務めていた。
 全てを聴き終えミュンシュの巧さを特に感じた演奏は「第1番~第4番」と「第6番」であった。これらの演奏は速めのテンポで押し進めていくミュンシュの棒の切れの良さが印象的だった。また「ミュンシュ・ファン」や「ライヴ音源ファン」にとっても興味はつきないだろうが同時に資料的価値もある「全集盤」ではないだろうか。

 

「第3楽章」が裏面にまたがらない1枚もの「第9LPレコード」

2011-06-20 19:35:43 | 交響曲

 「CD」が登場する前の「LPレコード」全盛時代、ベートーヴェン「第9」の1枚ものLPのほとんどは「第3楽章」が裏面にまたがり筆者は鑑賞中に楽章の途中でレコード面を変えることに時には鬱陶しさをよく感じたものである。そんな中でも今回紹介する3枚の「1枚もの第9」のレコードは「第3楽章」が裏面にまたがらない数少ない存在だった。
 先ず写真(上)は「日本ビクター」が1960年代末頃に「RCAレーベル」発売記念特別新譜としてリリースしたアルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団ー1952年録音モノラル盤/SX-2019(M)でこのLPはレコード第1面の冒頭に「コリオラン序曲」を収録その後に「第1楽章」・「第2楽章」、「第2面」に「第3楽章」・「第4楽章」が収録されている。因みにトスカニーニの同録音の「第9」のこれ以外の1枚ものLP盤は「第9」のみ収録だが「第3楽章」は裏面にまたがってカッティングされていた。今改めて「モノラル専用カートリッジ」で再生してみると音質の違和感はほとんど感じられなかった。

 次ぎに写真(中)はヘルベルト・フォン・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団による1955年EMI録音の当時の「東芝音楽工業ーエンジェル・レコード盤」(AA-7382/1960年代中期発売)である。このLPは「第1面」の冒頭に「エグモント序曲」を収録、「第3楽章」と「第4楽章」はトスカニーニ盤と同様「第2面」に収録している。オリジナルはモノラル録音だがこれは電気的にステレオ化した「擬似ステレオ盤」であった。

 最後のアンドレ・クリュイタンス/べルリン・フィル盤は「独エレクトローラ」の外盤でこれは「第9」のみが収録された1枚ものとしては珍しく「第3楽章」・「第4楽章」が「第2面」にカッティングされたLPである。(独Electrola/7 69394 1)こちらは1957年録音のオリジナル・ステレオ盤だがクリュイタンスの棒が全体的に遅いため全曲の演奏時間も約72分を要している。従って「第1面」(第1楽章・第2楽章)が約30分、「第2面」(第3楽章・第4楽章)が約42分)の収録になっている。この写真のLPがリリースされた1988年は世はすでにCD時代、LP盤のプレスもヨーロッパが中心でその生産量もCDに押され減少傾向にある中、「第2面」の長時間収録もカティング技術の進化よるものかレコード内周の音質劣化は気にならない1枚であった。

 

シューマン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」

2011-06-19 02:42:18 | 協奏曲
 
 ロベルト・シューマン(Robert Schumann/1810~1856)の「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」は作品番号が付されていない。この作品はヨーゼフ・ヨアヒムの要請でシュマーンの晩年1853年にわずか半月程度で作曲されたものと言われている。しかしどういう理由かヨアヒムはこの作品を取り上げることなくシューマンの自筆楽譜を封印してしまう。そしてこの「手稿」は作曲者の死後80年余りが経過した1937年にベルリンの「プロイセン図書館」で発見されるまで陽の目を見ることがなかった曰くつきの作品でもあった。
 その後今日に至るまでこの「協奏曲」のレコード、CD録音は数多くなされているが筆者好みの演奏になかなかめぐり合うことができなかった。そんな中で今回紹介する写真のCDは今筆者が一番気に入っている1枚である。演奏はロシアのヴァイオリニスト、イリヤ・カーラー(Ilya Kaler)と1980年生まれのフィンランド出身の新鋭指揮者ピエタリ・インキネン(Pietari Inkinen)のコンビによる「NAXOSレーベル」から2008年にリリースされたものだ。(NAXOS/8.570321)オーケストラはイギリスの「ボーンマス交響楽団」との2007年の録音である。指揮者のインキネンも元はヴァイオリニストなのでこの作品のツボをよく捉えた二人の息があった見事な演奏に仕上がっている。ヴァイオリンのカーラーは1963年生まれなのでこの録音当時は44歳、まさに脂に乗った溌剌とした演奏が実に心地よい。さすがに「パガニーニ」(1981年)、「シベリウス」(1985年)、「チャイコフスキー」(1986年)と世界的なコンクールに優勝した経歴がその卓越したテクニックを証明している。このCDのメインに収録されたブラームスの協奏曲も勿論秀演である。