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[ANA機]胴体着陸パーフェクトなランディングで成功!

2007-03-14 | 事故・事件・トラブル
<コメント>
 ANA1603便、大阪伊丹空港08:10発高知空港行きのボンバルディアDHC8-Q400型機の前輪が降りないトラブルがあり、タッチアンドゴーで前輪を衝撃で降ろす行動を起こしましたが残念ながら降りず、10:54分前輪が格納されたまま高知空港へ胴体着陸しました。火災などは起こらず、乗客乗員60名は全員ケガなく無事脱出しました。
 当該機の出発から着陸までは概ね以下の通り
前輪が出ない着陸については、申し分ないマニュアル通りの行動がキャビン含め行われたようです。

・08:20定刻より少し遅れて出発した当該機
・08:49頃前輪の異常に気づき、手動で前輪を降ろすが降りず
・機長から前輪が出ないアナウンスも平常通り落ち着いていた
・主翼付近(機の中央付近)のお客様を前後の席に移動(万一の火災に備え)
・高知空港上空約800メートルで管制の視認(前輪格納確認)
・タッチアンドゴー(主輪を接地させ、そのまま再度離陸する)を試みる
(放映された映像を見るとやや接地がソフトに思えたが・・・)
・胴体着陸を決断
・燃料を消費するため約2時間高知空港上空を旋回
・10:54胴体着陸、成功

 まずは機長と副操縦士のとった行動は、緊急時訓練の賜物だと思います。私の勝手な感想では、前輪が降りていない事を確認し、タッチアンドゴーを試みますが、ややソフトな、接地になったように見られました。もう少し強い衝撃があれば前輪が降りているかも知れませんが、そうすれば機に別なトラブルをもたらす危険もあります。最善の行動を機長はとったと思います。
 前輪が降りていない事を確認した機長は、胴体着陸を決断します。燃料消費のため約2時間旋回し、最初で最後のチャレンジを行います。
いつもより浅い進入角で入り、失速寸前でフレアー(機首上げ)をかけ、ソフトに主輪から接地。滑走路のセンターにピッタリ進んでいます。
 通常のボンバルディア機は、主輪接地後約2秒程度で前輪が接地しますが、今回は主輪が接地して約6秒後、約80キロメートルで機首が接地しています。半年に一度訓練をしているとは言え、パーフェクトな着陸だったと思います。
 機長の上手すぎた操縦は、滑走路のセンターラインを真っ直ぐ外す事無く機を誘導。その結果として、滑走路に埋め込まれたライト数十個を壊し、現在修復作業が行われています(21:00現在)。

 機長のスキル、CAの対応などは、申し分ないものと思います。が、ボンバルディア導入以来77件ものトラブルが起こっていながら、機を使い続ける企業姿勢は、いかがなものかと思います。現在ANAでは、当該機と同タイプの機材の使用中止を決定しておりますが、あまりにも遅すぎる対応と思います(過去の以下ブログをご覧ください)。
 効率と安全、採算面では相反するものかも知れませんが、安全の土台にビジネスがある事を忘れず、今回の事故、いえ事件を教訓として活かして頂きたいと思います。

<各メディアの動画>
胴体着陸で事故調 「機長の人為ミスと考えられず」 (ANN)
国交省 ボンバルディア社製のすべての機体点検せよ(ANN)
全日空機胴体着陸 事故調査委、前輪が下りなかった原因は人為ミスではないとの見解示す(FNN)
全日空機胴体着陸 国交省、同型機すべてについて緊急点検するよう航空会社に指示(FNN)
高知龍馬空港、22時間ぶりに再開(JNN)
事故機と同型の36機の緊急点検進(JNN)
ボンバル社「事故は新たな要因によるもの」(NNN)


<最近のボンバルディア機トラブル記事ブログ>
[ボンバルディア機]車輪格納庫突然閉まり整備士重傷!(2006-11-29)
[JAC]またボンバル機トラブル相次ぐ(2006-08-02)
[ANA]またボンバルディア機計器故障で引き返す(2006-05-29)
[国交省]カナダ政府にボンバル機の改善要請(2006-05-26)
[JAC]ボンバルディア機ドアロック異常表示で引き返す(2006-05-20)
[ANA]代替機含め2度も引き返す(2006-03-30)
[ボンバルディア]またトラブルで引き返す(2006-03-20)
[ANA]トラブル機種変更へ(2006-03-04)
[ANA]大阪-高知間減便へ(2006-03-03)

<ANA発表のコメント>
ANA1603便(伊丹発高知行き)の緊急着陸について

<参考情報>
ボンバルディアDHC8-Q400
 カナダのボンバルディア社製のプロペラ機。ジェットエンジンを使ってプロペラを回す「ターボプロップ機」。全長32.8メートル、全幅28.4メートル、高さ8.3メートル。座席数74席。巡航速度は時速650キロ。低騒音とジェット機に匹敵するスピードが特徴とされる。全日空は03年11月に運用開始。現在13機が運航している。


[全日空機 前輪が下りないまま着陸 高知空港]
(毎日新聞)3月13日17時17分配信

 無事着陸した全日空機に放水する消防車=高知県南国市の高知龍馬空港で13日午前10時55分、米山淳さん撮影

 13日午前8時10分に大阪(伊丹)空港を離陸し、高知空港(愛称・高知龍馬空港)に向かった全日空1603便(乗客56人、乗員4人、ボンバルディアDHC8-Q400型)が、同空港上空で車輪がある前脚を出せなくなった。同機は空港上空で数十回にわたり旋回し、車輪が出ないまま、二つある後輪だけで同10時54分に胴体着陸した。着陸の際に機体前方から少し火花も見えたが、火災や爆発などは起きなかった。けが人はなかった。消防車や救急車が数十台待機した。同機の前脚は、油圧装置で出し入れする仕組みで、故障の際には手動でも出せるようになっていた。しかし、今回は手動でも出なかったといい、国土交通省などが油圧系統の故障の可能性を含め調べる。
 同機を巡ってはこれまでにも、計器異常や車輪が出ないなどのトラブルが相次ぎ、国土交通省が昨年4月、同機を製造したボンバルディア社とカナダ政府に設計上の改善をするよう要求していた。
 同機はエアーセントラルが委託を受け運航。午前8時過ぎ、大阪空港を飛び立ち、同55分に高知空港に降りる予定で、操縦は今里仁機長(36)と、岸野安芳副操縦士(34)。今里機長は飛行時間は7978時間で、05年からボンバルディア機の機長を務めているという。
 国交省航空局によると、午前8時49分ごろ、今里機長から高知空港側に「ギア(車輪)トラブルがあった。燃料は残り3100ポンドある」と連絡。同9時17分ごろ、機長が地上職員に双眼鏡で機体を見てもらい、前脚が出ていないことを確認した。機長は空港近くの高度約1万メートルで待機すると連絡したうえで「手動で前脚を下ろしてみる」と話した。
 しかし前脚が出ないため、機長は同10時10分ごろ、「(滑走路にいったん後輪を接地させ、すぐに高度を上げる)タッチ・アンド・ゴーの衝撃で前脚が出る可能性があるのでやってみる」と連絡。挑戦したが前脚は出なかった。
 同空港上空で着陸を試みたが、着陸できず上空での旋回を繰り返した。空港の海上側から、やや機体が左右に揺れながら滑走路に着陸、数百メートルにわたり機首部分が滑走路の路面にこすれた。着陸後、消防車が放水などをした。
 このトラブルで高知空港は当面、閉鎖される見通し。各地の空港からの高知空港への便は運航を取りやめるとみられる。
 全日空広報によると、トラブルを起こしたDHC8-Q400は03年11月に運用開始、現在13機が運航している。トラブルがあった機体は、05年7月から使用している。総飛行時間は2966時間52分(10日現在)で着陸回数は4197回。
 同機種はトラブルが多く、全日空は昨年2月24日、プロジェクトチームを作り26項目を点検、5月4日まで点検作業を行った。さらに2回目は、別の26項目を作り、7月末に点検が完了したばかりだった。


[全日空機 現役機長「理想的な着陸」と評価]
(毎日新聞)3月13日14時9分配信

 全日空機が13日、高知空港で胴体着陸した事故で、テレビ中継を見ていたある大手航空会社の現役機長は「映像を見ている限りは理想的な着陸だったと思う」と全日空機の着陸方法を評価した。
 前輪が出ない場合の手順としては、
(1)着陸時の火事を招かないために出来るだけ燃料を減らす
(2)客室乗務員(CA)が着陸前に乗客を落ち着かせ、心構えを説明
(3)着陸する時はできるだけ主脚をハードランディング(強い衝撃を伴う着陸)させ、速度を落とす
(4)主脚接地後は、機首を落とさずに水平飛行
(5)機首を地面に落とす

 などが考えられるといい、この機長は「教科書的な手順に沿っていたと思う」と話した。パイロットはシミュレーターを使って、脚が出ない場合の訓練を行っているという。
 また「主脚が出ない場合は、機体がバランスを崩して滑走路から飛び出す恐れがあるが、前脚の場合はその可能性は小さい」と指摘。前脚が出なかった理由については「脚を作動させる作動油のトラブルなどが考えられるが、実際どうだったかは分からない」と話した。
 ◇前輪は油圧で操作
 航空関係者によると、前脚はブレーキも兼ねる重要な装置。方向の変更だけでなく、収納したり前脚を出す際も油圧によって操作する。操作不能になった場合は、今回の「タッチ・アンド・ゴー」のように、他の車輪を接地させた衝撃で車輪を出すのが操縦の基本。しかし、今回はそれでも車輪が出なかった。
 ◇同メーカー製でトラブル多発は問題
 航空評論家・前根明さんの話 事故は大事に至らなかったが、同じメーカー製の航空機で、これだけ多くのトラブルが続くのは問題だ。事故は航空会社の整備だけでは防ぎきれず、メーカーによる品質管理体制の見直しなどが必要になるだろう。
 ◇油圧系統故障か
 航空評論家の秀島一生さんの話 国内のローカル線で使うには効率的な機種だが、トラブルを繰り返しているだけに全日空は反省すべきだ。前輪が下りない事故では、不十分な角度で降りる例が多いが、今回のように全く下りないことは珍しい。前輪は操縦席のレバーで格納部分に油圧をかけて下ろすが、この油圧系統が故障した可能性がある。

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5 コメント

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とにかく良かったデス (f_sim)
2007-03-13 22:35:01
 大事に至らず、何よりでした。誰もケガさえしなくて済んでとにかく良かったデス。

 今日はテレビもこのニュースで持ちきりですね。とりあえずコクピットとか衝撃的なLDGの映像が繰り返し流れるので、ただ見てるぶんにはいいのですが、現実問題として考えてみると、とても恐ろしいことですね。

 この事故を教訓として、各航空会社は、今度こそ徹底的に安全対策を再検討し、即実施して頂きたいものですね。
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ナイスランディング (flight2005)
2007-03-14 09:14:56
f_simさん、こんにちは!
昨日は所要で山口まで行っておりまして、このニュースを見たのは夕方になってでした。着陸動画を見て「うまい!」とまず思いました。TVの解説者によると、機首が接地した速度は、おおよそ80Km、すなわち約43Ktです。主輪接地後も前後のバランスをとるため、操縦桿をめいっぱい引いていたのでしょうね。

しかし、着陸が上手すぎ、センターラインに真っ直ぐ進んだため、埋め込まれたセンターランプが数十個破損したとか・・・

アメリカで、前輪が横向いて着陸した事がありましたが、そのパイロットが「10センチセンターからズラしてランディングするのが難しかった」とジョークで言っていたのを思い出しました。

ともあれ、このボンバルディア、どうにかしてもらいたいものです。
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早期リタイア (POCO)
2007-03-14 10:41:54
この機は、もはや設計と質の問題です。ANAも
ダメなお荷物買ったもんですね。
定期整備もライン組み立て時のようにどこまでも診れるもんじゃないし(正確には時間やranding回数で診るとこがメーカー指示で決まってる。)
許せないのはバックアップのマニュアルでもギアが降りなかった点でこれは構造欠陥です。
そしてもっと怖いのは、この機はそっと修理されて当然のように
また飛ぶのです。(事故によるアンダークラックラインは診得ない)
実は自身もたまに乗る機なのでしっかり
JAナンバー控えました。

途上国では時には搭乗予定の機材も選択します。
○○型なら次の便にする。
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安全性と採算性 (flight2005)
2007-03-14 11:49:49
POCOさん、こんにちは!
まさに書かれているとおりの『欠陥機』ですね。導入初期のトラブルはどの機でもあるようですが、『同じ原因でない』故障が多いのがこの機の特徴。
次に何が起こるか解らないのですから、これ以上恐い機は他にないでしょうね。
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Unknown (joysun)
2007-03-15 22:05:19
こんばんは。

今回の事故、本当にけが人など出ずに良かったと思います。胴体着陸の技術もすごいと思いました。


私のブログにもこの事故の感想を書いています。お暇があれば覗いてください。
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