天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

小説と音楽~我的1997

2008-09-05 22:44:21 | 
千年の祈り (Shinchosha CREST BOOKS)
イーユン・リー
新潮社

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明日、上段の読書会に参加するために読みました。読んだのはひと月ほど前で、芥川賞「時の滲む朝」と続けて読んだのですがまた違いますね。著者イーリン・ユーは1972年生まれでほぼ私と同じ。大学卒業後渡米して英語で書いたのがこの作品だそうです。
舞台はアメリカだったり、中国だったり、主人公は男性だったり、女性だったり、若かったり、年がいってたり、集団だったり・・・、それぞれです。抑えた文体が湿り気をわずかに漂わせつつも、ドライな感じがするのは英語からの翻訳ということもあるのでしょうか。

それで、ここのところ記憶が喚起して口ずさんでいるのが艾敬「我的1997」90年代前半、日本で報道されていたのが香港の住民たちが97年の返還を不安に感じて海外に移住したり(当時はジャッキー・チェンさえも日本のTVで移住の考えを口にしていた!)、暗いイメージの報道ばかりでした。そんな時、香港返還の三年前に日本で紹介されたのが彼女の「我的1997」、くすくす笑いながら「香港に行ってみたいわ、早く1997年が来てほしい!」と歌うインパクト。報道されていなかった中国の一市民、若い女の子の感情を素直に表現しているこの歌に衝撃を受けたのです。あ、私が見ている世界はひとつじゃないんだ、と思った瞬間だったのでした。調べていたら、昨年、返還から10年を記念したセルフカバーが出ていたようです。

我的1997 (私の1997)

我的1997和2007 (私の1997と2007)

いや~、香港人をびびらせたこの歌、10年以上経つと香港のプロモになるんですね。時の流れを感じます。それにしても艾敬ももう41歳ですか。MTV見る限り相変わらず可憐ですね。
時が滲む朝
楊 逸
文藝春秋

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書きたいことを持っている作家、と選考評がありましたが多分受賞理由はそれも含めた将来性なんだろうなあ、と。物足りないような部分はありますが、読ませる作品でした。私が艾敬の歌に出会ったような知らない世界がもっと書かれてあれば、と思います。
それに関連して残念だったのはテレサ・テンの使い方。テレサが中国語歌曲の歌う甘い声は日本語のそれとは比較になりません。テレサ・テンと書くと日本人は演歌歌手のテレサを想像するので麗君という表記にして欲しかったなあ、というのは瑣末なことですが。
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