天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

有吉佐和子『一の糸』

2013-06-04 08:10:04 | 
一の糸 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


へえ~、文楽の世界を描いた小説なんや!と、前知識ないまま読み始めました。
『きのね』と同じく女性の作家による女性を通して伝統芸能を描いた作品です。
大正時代からはじまる物語。酒屋の一人娘が目を病んでいるときに出会った文楽。
その三味線の音に狂わしく惚れて…。
「一の糸」とは三味線の糸のこと(いろいろ省略しすぎ)
物語は3部構成ですが、大きく分けると娘時代と結婚後のふたつに分かれます。
娘時代は「あんたそりゃ無謀やで」の暴走お嬢さんなんで、痛い目に合うでと思うほどは
痛い目に合わず。
後半はかつての男だっ、でもないな、かつて一度契った男との再会から後妻に入り、
9人のお母さんになっての肝っ玉展開。また、この主人公の母親も娘を放任の結果行かず
後家になっていたというのによぉできた人なんですわ。
のぶりんさんは虐げられた奥さんに読んでいてムカムカしと言うておられましたが、
『きのね』は、DVまであったので、まあまだましかな←ましって。
それに、主人公もたいがい気が強いし。

後半になるとどっぷりと文楽の世界が描かれるのですが、これが興味深い。
空襲警報により、劇場の地下に避難している中でお客さんが大夫さんに「どこどこのあの場面は
どこで息を吸ってるんですか?」と尋ね、大夫がそれに答え、その場でお客さんが試してみる
という描写が印象に残りました。
義太夫を聞くだけでなしに語って楽しんでいた時代。
それから、若い大夫に芸を二年も時間をかけ命をかけて仕込む場面の迫力は息を飲むほどでした。
文楽の芸の奥深さを改めて感じたのでした。
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4 コメント

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Unknown (のぶりん)
2013-06-04 20:23:22
奥さんって、苦労が多いですね…。(^_^;)
DVて…(^_^;)

re:のぶりんさま (faye-y)
2013-06-04 21:04:03
『きのね』は、実在の人がモデルなのに暴力ふるいまくりです。
私は梨園には入れないと思いました。
Unknown (toshi)
2013-06-05 21:12:43
一の糸、読まはりましたか!
私自身、有吉佐和子の作品の中で「香華」と並んで大好きな小説
高校生の頃より有吉佐和子の大ファンで、高校を卒業後、絵描きの修行のために上京
その時の研究所の講師が有吉徹と言いまして、有吉佐和子と同じ姓ですね~と申しますと「私の叔母です!」との解答
えらい世界へ飛び込んできてしもうたとわくわくいたしましたが・・・

風庵寄席最終楽章、お疲れ様でした
その時の模様と、昨年、風庵寄席に出演された写真
YahooBoxに上げてありますので、ダウンロードしてお楽しみください
少々ファイルサイズが大きいので縮小してありますが、落語会等のチラシくらいには使えると思います
ダウンロードは下記URLよりどうぞ
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-dhfwb66fgjhthrhxo66k3l3g34-1001&uniqid=595b5f6e-1995-479a-955e-6e28cc46236a
何時の日かカメラスケッチでもご一緒できますればよろしいな~
re:toshiさま (faye-y)
2013-06-06 13:05:22
遅ればせながら有吉作品は初めてで、今後もいろいろ読んでみたいなあと思いました。
大ファンでしたら甥っ子先生での出会いは驚きとともにテンションあがりますよね~。
今は、宮尾登美子を読んでいます。これくらいの女性作家の描く世界にいろいろ感じるお年頃でございます。

風庵での写真ありがとうございます!!
ブログも拝見しました。楽しい二日間でした。
ずっと見守っておられたtoshiさんはさらに感慨もひとしおですね。
みなさん、そんな想いで伊賀を後にして、ほんとの最終章はもっと先かも知れませんね。

ちょうど新しいカメラを買いたいかも~と思っていたところだったので、
あれからパワーショットの最新か一眼レフか欲しいなあとカタログを眺めています。
またカメラについても教えていただく機会があればいいなあ!
この度はお世話になりました。

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