自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆煙突が立った日

2007年01月06日 | ⇒キャンパス見聞

 私の自慢のオフィスは創立五十周年記念館「角間の里」。 白山ろくの豪雪地帯で築300年の養蚕農家を移築、いわゆる古民家を再生したものだ。去年4月に完成。黒光りする柱や梁(はり) のどっしりとしたたたずまいに、訪れた人は「和みますね。田舎の実家に来たようです」と好印象を述べてくれる。その記念館に先日、ストーブの煙突が立った。

  この建物はかつて村の文化財だったものを譲り受けたもので、なるべく本来の姿を生かすという建築思想のもと、冷暖房の設備は最初から取り付けてなかった。このため、夏はスタッフ一同でクールビズを徹底した。また、土間を通る風は天然のクーラーのような涼しさがあり、扇風機を緩やかに回すだけで十分にしのぐことができた。問題は冬である。今度はウオームビズで着込んではいるが、さすがに冷えるので事務室だけはエアコンを入れ、板の間の部屋には持ち運び式の石油ストーブを置いた。残るはこの建物の最大の空間である土間の暖房対策となった。

  環境ベンチャー企業の方から「この建物にふさわしいのはバイオマス・ストーブではないでしょうか」と提案があり、半ばボランティアでストーブを設置していただいた。バイオマス・ストーブは廃材や木炭など木質系を燃料とするもの。実は、大学ではモウソウ竹が繁茂しコナラを枯らすので頭を悩ませていて、市民ボランティアに竹林の整備をお願いしている。竹用の炭焼き窯もあり、結構この炭焼きが学生にも人気がある。整備と燃料の確保、消費のサイクルがキャンパスの中で循環すれば研究にも広がりが出来る。

  また、タインミングよく、学生サークルに炭を焼く「クラブ炭焼き」が誕生した。現在、メンバー8人が「角間の里」の背戸の山で炭窯を製作中だ。自分で焼いた炭で暖をとる学生たちの姿も目に浮かぶ。この館が持つ、どこか懐かしい里山のイメージがなければ企業の方からのストーブの提案がなかったわけで、その意味では「角間の里」に感謝しなければならないと思っている。今月10日、正式に火入れして完成を祝う。これはいわば、金沢大学における「木質バイオマス記念日」なのだ。

 ⇒6日(土)夜・金沢の天気   雷雨

コメント
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