自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★完結・「真偽の攻防」を読む

2006年02月23日 | ⇒メディア時評
  結局、残念な結果に終わった。ライブドアの堀江前社長が自民党幹事長の二男に3000万円の送金を指示したとするメールをもとに国会で追及したが、本物である証拠を示せずに辞意を示している民主党の永田寿康議員のことである。別に肩を持つわけではない。国会の「爆弾」が不発に終わり、自滅したことに対する惜別の辞である。

  不思議に思うのは、永田氏にガセネタをつかませた「フリー記者」なる人物である。今後のマスコミの話題は当分その点に集中しそうだ。というのは、永田氏をヤフーで検索すると、公式ホームページ以外はほとんどが彼を批判する、あるいは攻撃するホームページであふれている。つまり、いかに「敵」が多いことかと実感できるはずだ。永田氏は普段から容赦なく相手を攻撃するタイプの人物なのだろう、その分「敵」も数多くつくってきた。もしかして、今回の「偽メール騒動」はけっこう根の深い、「永田落とし」の謀略ではないかと、私の嗅覚は働く。

  この後は、民主の前原代表の責任問題に当然シフトする。辞任となれば、後継は小沢一郎氏以外に人物はいないだろう。もう「脇の甘い」若手に党をゆだねることはできないからだ。小沢氏が代表になれば、旧・社会党系などが拒絶反応を起こし、ひと波乱起きることは目に見えている。6月30日の国会の会期末までゴタゴタが続き、その後は一気に自民党の総裁選が耳目を集める。9月にはそれも決着し、新総裁、新総理へと政治は流れる。長い長い政治の季節が続きそうである。

(写真:ミケランジェロ作「最後の審判」から)

⇒24日(金)朝・金沢の天気  はれ 
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☆続々「真偽の攻防」を読む

2006年02月23日 | ⇒メディア時評

  民主党は「穴蔵戦術」に入ったのだろうか。22日15時からの党首討論で、民主党の前原代表はライブドア前社長の堀江貴文被告が武部自民党幹事長の二男への送金を電子メールで指示した証拠として示すとしていた、送金元などの金融機関名を提示しなかった。

  党首討論で前原氏は「口座名や口座番号を提示する。元帳を出してほしい。後ろめたくないなら国政調査権に応じて、白日の下に明らかにすればいい」と求めた。これに対して小泉総理は「本物か偽物か分からない情報を元に、具体的な個人を非難中傷している。(具体的な証拠を)出す出す出すといっていまだに出していない」「確かな証拠があれば(国政調査権を)行使することにやぶさかではないが、その前に本物だという証拠を出せば分かる」と述べた。

   問題は、前原氏が「新しい証拠を出せば、国家権力がその証拠を握りつぶしてしまう。そうなればわれわれの追及のカードはなくなる」との一点張りで証拠を出さないことだ。果たしてそうだろうか。マスメディアほか衆人環視の中で、これほど注目されている証拠(銀行口座など)を国家権力が握りつぶすことはできるのか。逆に握りつぶせば国家のスキャンダルになり、一気に政局となる。

   うがった見方をすれば民主は、自民党が国政調査権の発動に応じないことを前提に「出さない」「責任は自民側にある」と言い続け、前に出ない「穴蔵戦術」に入ったのだ。

   よく考えれば、武部幹事長の二男は民間人である。仮に二男が3000万円を受け取っていたとして、二男からその金が武部氏の銀行口座や政治資金に流れていたということならば政治問題である。民主が国政調査権を発動せよという場合は二男から武部氏への金の還流についてであろう。二男が金を受け取っただけだと、武部氏の関与の度合いや道義的な責任問題となる。

   この党首討論のやり取りは衆院ホームページで動画で公開されている。上の写真はその画面のひとコマである。討論46分間のうち、最後の7、8分がメール問題をめぐる攻防である。普通に考えれば、前原氏は時間切れになることを想定して、あえてこの問題を最後に持ってきた。それほど民主自身がこの問題の処理に困っているということだろう。

 ⇒23日(木)朝・金沢の天気  くもり

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