チェーンソー作業に携わっている女性に安全なチェーンソー技術を習得していただくことを目的とした研修会が平成27年7月27日・28日島根県中山間地域研究センターにおいて開催されました。(主催:島根県林業研究グループ連絡協議会)
参加者には、自伐林家や木質バイオマス事業を担当する市職員、森林組合職員など多方面からの参加がありました。主催者側としては、今回の研修を契機として、各自ステップアップされ、安全なチェーンソー技術を指導できるようになっていただくことを期待しています。
メイン講師には全国屈指のチェーンソー指導者であり、「安全なチェーンソーワーク」を全国各地で指導されている、NPO法人ジット・ネットワークサービス理事長の石垣正喜氏を迎え実施しました。
なお、この研修は「平成27年度高校生等に対する林業経営・就業体験等事業」(林野庁)の助成を受け開催しています。
初日は、安全なチェーンソー技術に関する講義、目立て実習、丸太切り実習が行われました。
石垣氏の話を熱心に聴きながらメモをとる参加者
目立て技術の理論を聴く参加者。
「刃物には切削角があり、チェーンソーのカッターには上刃と横刃がある。それぞれに目立て角度と切削角度があるんだよ!適正な角度に目立てしなければ、木は切れないし、体は疲れるばかり、燃料も消費し、振動障害を引き起こしてしまう。」(石垣氏)
講師の指導を素直に受け入れ、一所懸命に目立て実習に取り組む参加者。正しい目立てフォームが重要です。
石垣氏とともに、チェーンソーワークを指導する遠藤講師。
「正しいフォームを習得することで、楽に作業でき、体は疲れません。なにより事故の発生防止につながります。」(遠藤氏)
遠藤氏指導のもとチェーンソーを構える参加者。ポイントは腕だけ持つのでなく、体を上手に利用して保持すること。
フォームが悪いと自ら足を切ってしまうこともあるので注意すること。重心を下げすぎ、左足を前に出しすぎると非常に危険です。
石垣氏指導のもとチェーンソーを構えた姿がとても美しい。
目立てが良いと丸太にチェーンソーを載せただけで切り進み、チェーンソーが軽くなったような感触を体感していました。
参加者全員、見違えるようにフォームが綺麗になってゆきました。
2日目は受け口づくり、追いづる切り、伐倒実習が行われました。
受け口づくりのポイントを解説する石垣氏。石垣氏の説明を一言も聞き漏らさないよう食い入るように話を聞く参加者。
体でチェーンソーを保持し、伐倒方向に向け、確実な受け口づくりを目指す参加者。
追いづる切りによる伐倒実習。追いづる切りだと、刃先の動きを確認しながら、慌てず、落ち着いて、確実に前づるを作れます。
丸太でのチェーンソーワーク実習の効果が現れ、チェーンソーのガイドバーは水平に入っていました。
造材作業のポイントについて指導を受ける参加者。丸太切りのフォームの復習です。
石垣氏から「基本的な技術を体に覚え込ませるため毎日反復学習を行ってほしい」と参加者全員にアドバイスされ、研修は修了しました。
参加者からは「今までのフォームの悪いところを理論的に、わかりやすく説明していただき、大変勉強になりました。」、「安全なチェーンソーワークにおいて、基本的な技術の重要性を認識できた研修でした。」、「研修で学んだことを労働安全の研修会や現場指導に生かしたい。」などの感想が述べられていました。
参加者の感想等を踏まえ、島根県林業研究グループ連絡協議会では、確実な技術の普及・定着を目指し、今後も研修会を開催したいとの意向です。