イエスはガリラヤ湖のほとりを歩いておられた。(マルコ伝1-16)
イエスは彼らと一緒に、平らな所にお立ちになった。(ルカ伝6-17)
イエスはこの群衆を見て、山に登られた。(マタイ伝5-1)
マルコ伝のイエスは好んで湖のほとりに立ち、ルカ伝のイエスは平野に立ち、
マタイ伝のイエスは山に立つ。
エルサレム原始教団の権威主義に反対するマルコにとって、
麗しき田舎のガリラヤ、及び、ガリ . . . 本文を読む
人にしてもらいたいと思うことは何でも,
あなた方も人にしなさい。(マタイ伝7-12/新共同訳)
この箇所(黄金律)でマタイが言わんと欲していることは,何なのだろうか?
自分が他人にしてもらいたい,自分が他人に期待するようなことを,
自分が率先して為せ,というような教えなのだろうか?
私は,福音書記者マタイの本心からすれば,
このような解釈は大きな間違いであると思う。
原文を直訳す . . . 本文を読む
神の国はあなた方のただ中にある。(ルカ伝17-21/新改訳)
「ただ中に」と訳されている原語は,εντοσ(エントス)であって,
「~の中に」とも「~の間に」とも訳される語である。
新改訳聖書のように「~の中に」と訳せば,
神の国は我々の心の中にある,という意味になる。
新共同訳聖書のように「~の間に」と訳せば,
神の国は人々(記事中の聞き手)の間にいる者,
すなわち,イエスそ . . . 本文を読む
そして,自分は石を投げて届くほどの所に離れ,跪いてこう祈られた。
「父よ,御心なら,この杯をわたしから取り除けて下さい。
しかし,わたしの願いではなく,御心のままに行って下さい」
(ルカ伝22-41・42/新共同訳)
福音書を研究する際,重要なことは,福音書記者の意図を本文から読み取ることである。
これ,確かに難しいことではあるが,決して不可能なことではない。
ルカ伝であれば,ルカが資料 . . . 本文を読む
ルカ文書(ルカ伝と使徒行伝)を読了する。
今年に入ってから始めたルカ文書研究であるが,
途中,3・11の大地震や身内の不幸・災難の連続で,
聖書研究も随分と遅れがちになった。
今はやっと落ち着き,聖書研究にも集中できるようになった。
ルカ文書の原典研究が終わり,幾多の神学者と対話しつつ,
現在はルカ文書全体の構成及びメッセージの本質を探りつつある。
その中で,気づいたことを一つ。
. . . 本文を読む
二人または三人がわたしの名によって集まるところには,
わたしもその中にいる。
(マタイ伝18-20/新共同訳)
この箇所の原文は,「二人または三人が集まる」という文と,
「わたしがそこにいる」という二つの文が並置されている。
しかし,どちらが時間的に先行する文であるかは,明確に規定されていない。
つまり,訳し方には二通りあるということだ。
日本語訳聖書のように,
「二・三人が集まる . . . 本文を読む
異邦人たちはこれを聞いて喜び,主の言葉を賛美した。
そして,永遠の命を得るように定められている人は皆,信仰に入った。
(使徒行伝13-48/新共同訳)
「定められている」と訳されている語は,
τασσω(タンソー)という語の完了分詞であって,
受動にも中動にも訳せる表現である。
受動に訳せば「定められている」であって,現行訳のようになる。
中動に訳せば「自分で決心した」であって,訳し直 . . . 本文を読む
使徒行伝を16章まで読了する。
この文書全体の執筆動機や全体の構想はまだ明確ではないが,
気づいたことを一つ。
使徒行伝は通常,使徒の福音宣教の記録だと思われている。
記者ルカはペテロやステファノやバルナバ,パウロ等々によって,
如何にして福音が世界の果てまで広がったか,それを記述したいのだと。
そして,ペテロやパウロが同じような行動をするのは,
(足なえを癒したり,死人を生き返らせ . . . 本文を読む
そこでペテロは,「私たちと同様に聖霊を受けたこの人たちが,
水で洗礼を受けるのを,一体誰が妨げることができますか」と言った。
そして,イエス・キリストの名によって洗礼を受けるようにと,
その人たちに命じた。
(使徒行伝11-46~48/新共同訳)
聖書,特にルカ文書において,水の洗礼とは何を意味していたのだろうか?
救われるべき条件なのか?それとも,救われたことのしるしなのか?
キリスト . . . 本文を読む
人々はこれを聞いて激しく怒り,ステファノに向かって歯ぎしりした。
ステファノは聖霊に満たされ,天を見つめ,
神の栄光と神の右に立っておられるイエスとを見て,
「天が開いて,人の子が神の右に立っておられるのが見える」と言った。
人々は大声で叫びながら耳を手でふさぎ,
ステファノ目がけて一斉に襲いかかり,都の外に引きずり出して石打ちにした。
(使徒行伝7-54~58)
使徒行伝を8章まで読了する . . . 本文を読む