ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

カンパニー・メン

2011-09-22 13:00:36 | か行

キャストで選んで、間違いナシ。

「カンパニー・メン」76点★★★★


米、ボストン。

企業のエリート社員、ボビー(ベン・アフレック)は
ある日突然、解雇を言い渡される。

リーマンショックを受けて
株価を上げる必要に迫られた会社が、
大量リストラを敢行したのだ。

年収12万ドル、ポルシェを乗り回す
いわゆる“勝ち組”だったボビー。

「仕事なんて見つかるさ」と思ったものの、
職探しは難航してしまう。

上司(トミー・リー・ジョーンズ)に泣きつくものの、
その上司たちの首さえ危うくなって――?!


クリス・クーパー、トミー・リー・ジョーンズ、
ベン・アフレック、
さらにケビン・コスナーという

超そそる配役で

サラリーマンの悲哀を等身大に描く
良質なヒューマンドラマです。


特に自意識過剰ぎみで、
状況になかなか対応できない主人公ボビーの苦労は、

今の日本でとても他人事でなく、
リアルな共感があります。

ベン・アフレックの芝居も自然でいいし。


仕事は生きがいだけど、人生じゃない、と
シンプルなことを、いまいちど見直そうよという映画ですね。


また
リストラされた後の流れを
けっこう細かく描いていて「へえ」だらけでした。


再就職に向けて
ボビーは「就職支援センター」というところに行くんですが、
ちゃんとオフィスのような個々の机とスペースがある。

日本のハローワークとはえらい違いだワン。


まあ仕事がなかなか見つからないのは
おんなじですけどね…。

しっかし
「米の会社は非情だ」っていうのはよく聞きますが、
発売中の「週刊朝日」(9/30号)「ツウの一見」で
国際ジャーナリストの
堀田佳男さんにお話を聞き、

ホントに恐ろしいと思いました。

アメリカの会社って
本当にその日の朝言われて、2時間で出てけ、みたいな感じで
電話帳すら持ち出せないんだそう。

なので、引き継ぎはおろか
得意先に事情説明もできないんですって。


ありえなくないすか!?


ほうけるボビーの横で、
奥さんのほうが現実的なのもうんうんという感じ。

やっぱ女性のほうが、適応能力高いんだなア。


この映画で番長が一番印象に残ったのは
冒頭のシーン。

朝、クビを言い渡された人々が、
呆然としながら駐車場にワラワラと出てくるんだけど、

まるで、静かなゾンビ映画か、
SFホラーの一場面のようです!

コワイ!


★9/23からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

「カンパニー・メン」公式サイト
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