ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

第83回アカデミー賞を勝手にランキング☆

2011-02-27 23:41:43 | た行
いよいよ明日、
第83回アカデミー賞発表!

その前に
作品賞ノミネート作品を
おすすめ順に勝手にランキングしてみました。
(予測はしません。会員とはセンス違うからね(笑)

衝撃度と単純におもしろかった順です。
※「ウィンターズ・ボーン」は未見なので(くやし~!)9位までです。


1位「ブラック・スワン」(5/13公開)

衝撃度が期待以上!

ナタリー・ポートマンがすごいことになってる。
けっこうホラーでもあるし
デートで行くと、ちょっとヤバイかも。


2位「ソーシャル・ネットワーク」(公開中)

もはや説明不要?
アップル創立話も早くやって欲しいぞ!


3位「キッズ・オールライト」(4/29公開)

アネット・ベニング×ジュリアン・ムーアの
レズビアンカップルが、まあリアル(笑)

別にレズだうんぬんがリアルってだけじゃなく
家庭の中における「男役」「女役」だったり
どこの家にも起こる問題としてリアルなんで
偏見なく観て欲しいぞ。


4位「ザ・ファイター」(3/26公開)

これが実話だってところが
めちゃくちゃ衝撃。
エンドロールを観ると
クリスチャン・ベールのすごさがわかります。

5位「インセプション」(昨年公開)

正直、期待がでかすぎたけど
観客に支持された&がんばったで賞。

6位「英国王のスピーチ」(2/26から公開中)

コリン・ファースの演技は
やっぱり一見の価値ありかも。


7位「トイ・ストーリー3」(昨年公開)

悪くないけど
まあアニメ部門でいいんじゃない?

8位「127時間」(6月公開)

衝撃のラストまで
ちゃんと目を開けて観ましたよ。
でも結末がわかっちゃってるからねえ。

9位「トゥルー・グリット」(3/18公開)

この映画の魅力は
この凜とした14歳、
ヘイリー・スタインフェルド(写真中央)

助演女優賞、あげてもいいんじゃない?

以上、勝手にランキングでした!
さあ明日は祭りだ~!
コメント (2)
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シリアスマン

2011-02-26 10:46:01 | さ行

今年のアカデミー賞候補にあがってる
「トゥルー・グリット」よりは
おもしろかった。

私も相当に、屈折しております。


「シリアスマン」63点★★★

コーエン兄弟が
「自分が撮りたいものを撮った」
監督主義シリーズ第2弾。

昨年のアカデミー賞作品賞にも
ノミネートされてます。



1967年、アメリカ中西部。

大学教授ラリー(マイケル・スタールバーグ」は
中年のユダヤ人。

実直でマジメな彼は
日々を誠実に生きているが

実はさまざまな問題を抱えていた。


家には、ひきこもりの兄が居候中。

大学ではアジア系の学生(あきらかに中国系。笑)から
単位のために
賄賂を渡されそうになる。

長年連れ添った妻からは
突然、離婚を切り出されてしまう。


そんなトラブル続きのラリーを
さらにサイアクな事態が襲うことに……。



冒頭の
不思議な寓話に目が釘付けになり

「なにが始まるんだろう?」と
ワクワクしていたら

続く本編とは全然関係なかったりと
(暗示ではあるんですが)

とにかくコーエン兄弟らしいというか
珍妙で屈折した作品でした。


登場する郊外のユダヤ人コミュニティーは
監督たちのルーツでもあるそうで

「ああ、こういうところで
もやもやとしてたんだ」と
しのばれるような。


そんななかで
な~んにも悪いことをしていないのに
どんどん悪い方に転がり落ちていく男の悲惨を
なんか楽しそうに描いてる、
という感じでした(笑)。



ただ
言いたいことは
はっきり伝わった。


主人公の叫ぶ
「神は困難を与え、考えさせておいて
答えを与えないのですか?」が

ずばり
作品のテーマではないかと。


マジメなユダヤ教信者である主人公が
度重なる災難に耐えかね

教えを求めてラビを頼り
そのたんびに肩すかしをくらう描写とか


衝撃のラスト(?)も
それを表していると思います。


こんな時代に
「神はいるのか」「宗教とは」という
けっこう壮大なメッセージかも。


しかし正直
「ノーカントリー」以降のコーエン兄弟作品は
どれもピンとこない。

「ブラッドシンプル」とか「バーバー」とか
好きだったんだけどなあ。


試写室から出たとたん
映画会社の人に「眠くなっちゃった?」と
言われちゃいました。

……バレてる(笑)


★2/26からヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開中。

「シリアスマン」公式サイト
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死にゆく妻との旅路

2011-02-25 14:59:00 | さ行
死とか妻とか病気とか
もういいよ、って思うんですが

これは観てよかったと思いました。


「死にゆく妻との旅路」76点★★★★


実話に基づく話。

1999年、石川県七尾市。


清水(三浦友和)は
経営していた工場が傾き
多額の借金を負ってしまう。


11歳年下の妻・ひとみ(石田ゆり子)は
大腸がんになり
手術を受けたばかりだった。


にっちもさっちも行かなくなった清水は
なけなしの50万円を手に
ワゴン車で職探しの旅に出ようとする。

病み上がりのひとみも
清水についていくと言う。

こうして夫婦の旅が始まった――。


序盤しばらくは
三浦友和と石田ゆり子が
夫婦に見えず

正直、入り込みにくかったんです。

妻が夫を「オッサン」と呼ぶのに
違和感があったし

石田ゆり子はどう見ても
若すぎて
20代の子持ち娘のいる母親には見えない。

でも。


夫婦が
観光地をまわって職を探し、
ときにはSATYで買い物をし、
ワゴン車のなかで時間を紡いでいくうちに

なんだか気にならなくなってきた。


次第にこの“はかない”ロードムービーに
引き込まれていったんですねえ。


いかにも暗~く悲壮な話なのに
雰囲気がほの明るいのもいい。

なにより
がんに冒された妻役の石田ゆり子が
どんどんやせてゆき

本当に空気に溶け込んでしまいそうな
壮絶な透明感を見事に醸し出す様に
見入ってしまいました。


実話の重みもずっしり。

行く先々のハローワークで
断られ続ける50歳過ぎの清水が

「どうして助けてくれないんだ!」
窓口の係員を前に
悲痛に叫ぶ姿は他人事ではない。


死の間際の様子も
リアルでした。


それに、これ
自分にとってかなり
理想の死にかただった。

いままでのベストはフランソワ・オゾンの
「ぼくを葬る」なんですけど。

まあしかし
誰も付き合ってくれないだろう……迷惑すぎて。


それにいい映画だけど
両親には、ちょっと見せたくないなあと
思っちゃいました。

切なすぎる。


★2/26からヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。

「死にゆく妻との旅路」公式サイト
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英国王のスピーチ

2011-02-23 19:43:46 | あ行

コリン・ファース、
オスカー受賞は堅そうだなぁ。

「英国王のスピーチ」70点★★★☆


1930年代。
英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)の
次男ジョージ6世(コリン・ファース)は

幼いころから吃音に悩んでた。


妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)が
様々な言語療法士を連れてくるものの
一向に改善せず

式典などのスピーチは
いつも失敗。


あるときエリザベスは
専門家ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとに
夫を連れて行く。


しかし
型破りなライオネルの治療法に
ジョージは反発を繰り返し――。



これは完全に
“役者劇”でした。


難しい役を
大げさでなく自然に演じきった
コリン・ファースが
確かに際立っているし


ヘレナ・ボナム=カーターも
気さくで明るく、感じのいい
のちの王妃役を好演。
(こんなに“いい人”な役、久々じゃないか?)


ジェフリー・ラッシュも
“彼でなくてはならなかった”
格別の存在感です。


ユーモアあるセリフも多く
全体に「クスリ」笑いがありました。


ただ
主人公がヒトラーの演説を見て
「うまいな」と呟くように

ストーリーの後には
深刻な時代背景があるんだけど

あくまでも
それはわきに置き

己の弱さに向き合う男と
それを支える家族のドラマに
テーマを絞っている。


ゆえに
役者のガチンコは魅せるんだけど
映画としてはちょっと「ライト級」というか
小さい感じがしてしまった。


まさしく
タイトルどおりの作品
というんでしょうか。


演出も正調で
それも物足りなかったのかも。


ジョージ6世が
スピーチを読み上げるクライマックスでは

読まれている内容の深刻さと
「ちゃんと原稿を読めるのか――?」
というハラハラが
解離していくという

奇妙な感覚を味わいました。


まあ
アカデミー賞で
話題になることは間違いナシ。

高レベルは確保しているので
気になるかたは一見をおすすめします。


★2/26から全国で公開。

「英国王のスピーチ」公式サイト
コメント (2)
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恋とニュースのつくり方

2011-02-22 13:09:32 | か行
気難しく手強い
キャスター役の
ハリソン・フォードに笑いました(笑)


「恋とニュースのつくり方」73点★★★☆


地方TV局で働く
ベッキー(レイチェル・マクアダムス)は

ある日、突然リストラの憂き目に遭う。

だが採用試験を受けまくり
奇跡的に
ニューヨークのTV局の
プロデューサーに採用!


しかし
彼女が任されたのは
局の“お荷物”朝の情報番組。

ベッキーは番組を立て直すため
伝説のキャスター(ハリソン・フォード)を
招聘しようとするが――?


「ノッティングヒルの恋人」監督と
「プラダを着た悪魔」脚本家という
最強タッグによる
ワーキングムービーです。


過剰にはしゃぎすぎることなく
でも元気をもらえる作品で

「この手の映画」で想像するものを
ちょい裏切る意外性が
おもしろかった。


主人公のベッキーは
若くみえるけど
20後半~30歳くらいの設定らしく

ペイペイのヒラではない。

なので
人を使う苦労や、会議のさばきかたなど
より突っ込んだ「お仕事」ぶりが
披露されます。


そして
大御所キャスター役のハリソン・フォード。
こういう映画では
主人公を導き、成長させる
よき導師でありそうなものの

これが
ぜんっぜん違う(笑)。


さらに先輩キャスター役の
ダイアン・キートン。


さぞや
主人公をいじめるおっかない先輩かと思いきや
これも
ちょっと違うんですよ。


ときどきちょっと
陳腐な展開もあったりもするんですが
けっこう笑っちゃいました。


この系統に飢えてた人には
満足できると思います。


に、しても。

ハリソン・フォード演じるキャスターが
なぜか筑紫哲也さんに見えて
しょうがなかった(笑)

いや、ご本人の人格や行動は
まったく知りませんし
もちろん魅力的だからですよ。

て、
フォローすんなら
言わなきゃいいのに。(失笑)


★2/25から全国で公開。

「恋とニュースのつくり方」公式サイト
コメント (4)
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