ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

トイ・ストーリー3

2010-05-27 13:34:02 | た行
試写会で、前の席にいたAKBの女の子たちが
「カワイ~!!」を連発して大喜び。

第1作からすでに15年。
小さいころ、見てたんだろうなあ。

「トイ・ストーリ3」71点★★★


オモチャたちが人間の見ていないところで
話し、笑い、冒険を繰り広げるという
アイデアと独創性で

いまだ色あせない名作アニメ―ションの第3弾。


今回も
カウボーイ人形のウッディや
宇宙戦士姿のバズら
おなじみのメンツが大活躍です。


持ち主のアンディが大学に進学することになり
いよいよお役ご免のときがやってきたかと
ビクビクのオモチャたち。

ひょんなことから
保育園に引き取られた彼らは
新たな人生を始めようとするが・・・・・・。


毎度、一定レベルを必ずキープし
掴みも展開も飽きさせず
笑いたっぷり
最後にはすすり泣き、という
ピクサーの手腕には本当に感心します。


アンディの家から保育園、そしてゴミ焼却場まで
舞台をまたいだ大冒険で
スケール感も大幅アップ。

濃い新キャラも登場するし、しっかり楽しめるでしょう。

ただ
「オモチャはいずれ飽きられてしまう」という
ストーリーの根幹も

乱暴な子どもというエピソードも

前に使った手ではあり
ちょっとパターン化している感じはしました。


あと、コレに限っては
3D吹き替え版で見たかった!

もう唐沢寿明さんのイメージしかなく
英語の声に一瞬「え?誰?」なんて違和感がありました。


★7/10から全国で公開。

「トイ・ストーリー3」公式サイト
コメント (2)
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SEX AND THE CITY 2

2010-05-25 03:20:06 | さ行
心待ちにしているみなさん
間違いなく、楽しめますよー

「SEX AND THE CITY 2」80点★★★☆


キャーキャー&キャピキャピしてて
ちょっと苦手だった「1」より
地に足着いたドラマとして楽しめました。


NYに暮らす
ライターのキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)
超肉食女のサマンサ(キム・キャトラル)

お嬢様なシャーロット(クリスティン・デイビス)
弁護士のミランダ(シンシア・ニクソン)


4人の赤裸々な恋愛と友情を描き
テレビシリーズ&映画で社会現象を巻き起こした「SATC」。

今回は、キャリーが結婚して2年後のお話。


新刊も出て公私ともに順調なキャリー。
でも実は夫との生活に
小さな違和感を抱き始めていた。

同じころ
サマンサは更年期対策に必死。
また
シャーロットは育児に、ミランダは仕事に
それぞれ行き詰まりを感じていた。

そんな4人はサマンサの仕事がらみで
アラブ首長国連邦(UAE)
タダでゴージャス旅行に出かけることに。


しかし旅先でもハプニングが待ち受けていて・・・?


冒頭、いまやすすけたイメージのNYを
キラキラ輝かせて見せる映像に
それだけで血圧、急上昇(笑)。

さらにファーストクラス&超スイートルーム滞在という
これ以上ないほどに豪華でセレブな
UAEへの旅行シーンは
ほんっとに目の保養でした。


現実では味わえないリッチを味わったり
出来ない経験をする。
これも映画の王道ですよ。


しかも今回は
話にめちゃくちゃ共感できたのが重要ポイント。

いままでどうもノリきれなかった
ガールズトークも
40過ぎてなんだか身近になってきたのか・・・


家でまったりしたいダンナと
出かけたがりの妻のすれ違いなど
かなりリアルで笑わせてくれました。

キャリーと夫の「二人だけの」人生設計にも
心底、共感できましたしね。


そう、お宅と違ったってウチはウチ。人は人。
ほっといてください!って(笑)

そんな大事なメッセージも込められてますが

とにかくもう
いやなこと忘れて
絶対パーッと楽しめますから。おすすめ。


★6/4から丸の内ピカデリー1ほか全国で公開。

「SEX AND THE CITY 2」公式サイト
コメント (2)
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ぼくのエリ 200歳の少女

2010-05-23 03:00:46 | は行
血まみれの衝撃よりも
最後に“切なさ”が勝つかどうかが、この映画の鍵。

私には、切なさが勝ちました。


「ぼくのエリ 200歳の少女」70点★★★



主人公は12歳の少年オスカー。

いじめられっ子で友達のいない彼は
ある夜、隣に引っ越してきた
同い年の少女エリと
次第に心を通わせるようになる。

が、そのころ町では
おぞましい殺人事件が起こり始める。

被害者はいずれも逆さ吊りにされ
のどを掻き切られ、血を抜かれていた・・・・・・

そしてある日
オスカーはついに
エリの正体を知ることになる――。


スウェーデンのスティーブン・キングといわれる作家の
ベストセラー小説が原作だそう。

まあストーリーのモチーフ自体は
さほど目新しいものではありませんが


北欧という舞台装置
少年少女のピュアな恋・・・という世界に

相当にあっけらかんと
残酷な血まみれシーンを同居させた
その斬新な表現方法が
すごく目をひきます。


同じ血でも
純白でフカフカな毛布の上に飛び散る鮮血は
より生々しさとエグさが際立つわけで

そんなふうに終始、心臓を揺さぶってくる
新しい感覚のホラーです。


まあかくいう私も相当に血に弱い部類。

しかし
物語の冒頭で
エリと一緒に暮らしている年配の男がおりまして

物語が進むにつれ彼の役割がわかってきて

そこにオスカー少年の未来が
ループすることが見えたとき

その切なさが
すべての血みどろを凌駕しました。


最近スウェーデンのミステリー界は
映画化された「ミレニアム」を始め「キテる」と評判。

その勢いを感じさせる
“恐るべき映画”ですね。

ちなみに
「クローバーフィールド」の監督による
ハリウッドリメイクもすでに決定。
今年10月上旬米公開予定だそうです。


★7月上旬から、銀座テアトルシネマほか全国順次公開。

「ぼくのエリ 200歳の少女」公式サイト(coming soon)
コメント (6)
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FLOWERS フラワーズ

2010-05-22 01:38:36 | は行
資生堂のシャンプー「TSUBAKI」のCMに出てる
6人の女優が主人公を演じる


「FLOWERS(フラワーズ)」66点★★☆


正直、観る前は「なーんかあざとそう」とか
思ってたんですが
意外に「ウルッ」ときちゃたんですねえ。


蒼井優、竹内結子、仲間由紀恵に
田中麗奈、広末涼子、鈴木京香という豪華6女優

昭和から平成にかけての
三世代を生きる女性を演じ

それぞれが母になり
子に命を継いでいくというストーリー。


6つのエピソードのなかには
ありがちなものもあり

まずは豪華美女たちを使って
いい「シャシン」を撮りたかったんだなあと
いう感はあります。


しかし、それでも本作が
“映画”として立っているのは
「ニッポンの凜と美しい女性を描きたい」という
企画コンセプトにブレがなかったからだと思う。


CMであっても映画であっても
そこって重要ですもんね。


6人のなかでは
田中麗奈の元気のよさと
仲間由紀恵→広末涼子にいたるエピソードがよく

特に広末さんは光ってました
彼女のセリフにじわり泣かされましたもん。
「おくりびと」より格段に進歩してた。


また
「三丁目の夕日」の制作スタッフらしく
懐かしさや世代感覚をくすぐってくる
映像もポイント。


昭和11年が舞台の蒼井優のエピソードは
モノクローム映像に低いアングルで
完全に小津安二郎ふう


続く昭和44年の田中麗奈のエピソードは
銀座を舞台にした
テクニカラーふうだったり。



若い女性や、子育て中の女性、母親世代に
おすすめできる映画だと思います。


ただ子ナシ&アラフォー(自分)にはどうだろう。

身もフタもない言い方をしてしまえば
「生めや育てや」の推奨映画と
受け取れなくもなく(苦笑)

我が身に照らし合わせ
「いや~命を繋がずに、すみませんね」
と、すこーし肩身狭うございました。



★6/12から全国東宝系で公開。

「FLOWERSフラワーズ」公式サイト
コメント (2)
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サイタマノラッパー2 女子ラッパー★傷だらけのライム

2010-05-19 10:50:18 | さ行

これ観てから、ボーッとしてるとき
気がつくと頭ン中で
女子ラッパーのゆるーいラップが回ってんです。

♪シュッシュッシュ~♪ ハートのエース♪

・・・自分に「ギョッ」としますわ(苦笑)。


「サイタマノラッパー2 女子ラッパー★傷だらけのライム」67点★★☆



昨年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞し
いまだリバイバル上映が続いている
伝説の(?)前作「サイタマノラッパ-(SR)」。

その続編です。


舞台は埼玉から群馬へ。

いまは亡き“伝説のラッパー・タケダ先輩”に憧れて
高校時代に女子ラッパーユニットを組んだ
アユム(山田真歩)。

あれから約10年。

27歳になったアユムは実家のこんにゃく屋で
くすぶっていた。

そんなある日、アユムは
“タケダ先輩”詣でにやって来た
埼玉のラッパーに出会う。

「やっぱもう一度、ラップをやりたい!」

アユムは同級生のみっつー(安藤サクラ)らに声をかけ
女子ラッパーの再結成ライブを目指すが・・・・・・?


最近多い「田舎でもがく若者」テーマといえますが

いや~
アラサー田舎女子たちが
「ヨー!ココからは・じ・ま・る~」
と奮起する様子は

かつてない寒さと痛さ(笑)。

「川の底からこんにちは」
オバチャンたちを若くしたような女子たち、といったら
ひどすぎだけど
目指すところはそんな感じか。


そんな女子たちに
長回しで延々とラップの掛け合いをさせたり
いきなり水着を着せたり

なにより“映画的大逆転”を奪った展開も
徹底して痛い。


しかし
1979年生まれの入江悠監督は
その演出センスに目をひくところがあり
目が離せず、見守ってしまうんですねえ。


痛しかゆし、じゃないけど
けっこう笑えるし
歌も回るし

「川の底から~」の岩松了さんが出てて
オーラ満点だし。

最近モヤモヤ~としてるかた、いかがでしょうか。

ちなみにcoming soonは「栃木」だそうです(笑)


★6/29から新宿バルト9ほか全国順次公開。

「サイタマノラッパー2」公式サイト
コメント (2)
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