本当に、他人事ではないのだよ……。
「アリスのままで」71点★★★★
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高名な言語学者として知られ、
NYコロンビア大学で教鞭を執るアリス(ジュリアン・ムーア)は
夫(アレック・ボールドウィン)と
立派に育った子どもたちに囲まれて
最高の50歳の誕生日を迎える。
彼女の心配の種は、女優を目指して大学にも行っていない
次女(クリステン・スチュワート)だけだ。
そんなある日、アリスに異変が起きる。
大学での講演中に、いきなり言葉が抜け落ちてしまったのだ――。
アリスは神経科で脳の検査を受けるが……。
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ジュリアン・ムーアが
今年の第87回アカデミー賞主演女優賞を獲得した作品。
若年性アルツハイマーに冒された
50歳のアリスの話で
公私ともにパートナーという
リチャード・グラッツァー&ウォッシュ・ウェストモアランドが監督。
グラッツァー自身が2011年に
突然ALS(筋萎縮性側索硬化症)に冒され、
その闘病体験を、アリスに投影させたそう。
そして彼は、アカデミー賞受賞のニュースを聞いたあと
3月10日に63歳で亡くなっています。合掌。
そういうワシも
認知症も、若年性アルツハイマーも
本当に他人事じゃないと、マジで日々実感しているんで(ヤバイですね)
観たら
相当に打ちのめされるかと思ったけど
非常に優しい風合いの映画で、
アリスの生き様を、すうっと受け入れられた。
それにですね
けっこう実用書として見入ってしまったですよ(苦笑)
「こういうふうに進行するのか……」って。
アリスが病院で受けるテストを
観ながら一緒にやったり、
症状の進行チェックにiPhoneを有効に使うとかも
「使える……。」とか
さらにこの病気が「遺伝性」だという点も描かれ、
本人の辛さだけでなく、子どもたちにも……という現実も
グッとのしかかる。
でもこの作品、次女との関係のよさが
とても救いになるんですね。
演じるクリスティン・スチュワートのぶっきらぼうさが
ナチュラルでとてもよい。
ただ
誰にも起こりうる悲劇なだけに、
大学教授という職に就き、いい家に住み、
地位にも家族にも恵まれた主人公の設定が、やや綺麗すぎるのは否めない。
ラストも「え?これで終わり?」という感じではあるし
あとね、旦那役のアレック・ボールドウィンは
ジュリアン・ムーアの推薦だったそうですが
ちょーっと合ってないような……。惜しい!
★6/27(土)から新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国で公開。
「アリスのままで」公式サイト
発病して、かわってしまう部分がたくさんあるはずなのに、
アリスのままで
って。
自分が認識できなくなる病気ですから
認識してくれる
まわり、がいなければ
ぽつおのままで、は成り立たんということですよね。
大丈夫かなあ……。