ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ストラッター

2013-09-10 23:41:09 | さ行

この感じ、初めてジム・ジャームッシュを
観たときに似てる!


「ストラッター」79点★★★★


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L.A.在住のロッカー、ブレット(フラナリー・ランスフォード)は
最愛の恋人にいきなりフラれてしまう。

しかも元カノが自分がリスペクトする
地元のミュージシャン、デイモン(ダンテ・ホワイト=アリアーノ)と
付き合い出したらしい。

怒りに震えたブレッドは
デイモンの経営するレコード屋に乗り込むのだが――?!

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――これは好きだ!

タランティーノ、モンテ・ヘルマン、
ガス・ヴァン・サント、イーサン・コーエン――と
名だたる監督たちの支援と協力を得て、250万円で作られたという作品。

監督は
アリソン・アンダース(1954年生まれ)と、
ミュージシャンでもあるカート・ヴォス(1963年生まれ)。


モノクロの映像、個性的な登場人物たち(主演はともにミュージシャン)
キメキメでないセンスのよさ、フッと脱力させる笑い
そして
映像と映像の間に挟まる黒み――

などなど
ジム・ジャームッシュの初期作品に通じるものがありました。

実際、「ダウン・バイ・ロー」を思わせるシーンもあるし(笑)

『週刊朝日』ツウの一見でお話を伺った
倉本美津留さんも「昔のジャームッシュみたいだと思った」とおっしゃってて
やっぱ、みんな思うんだなア!(熱くなってるワシ。笑)

まず
女にフラれてやるせない若者の日々・・・といっても、
ありがちな暴力などとは一切無縁ってとこがいいし、

アートに、映画作りに、音楽に走る
健全な(いいね!)若者たちの青春の、
なんとも微笑ましく、懐かしく、かったるく、美しいことよ!(笑)

パンケーキがクマちゃんだったり、
カクッと膝折らせる笑いのセンスも好き。

音楽もグー。

それにですね
主人公ブレッドはふにゃふにゃだけど、
義理の父フランク(やはりミュージシャンのクレイグ・スターク)も主人公の恋敵(?)となるデイモンも
めちゃくちゃカッコイイんすけど!(笑)

特にデイモン、マジで好みかも(笑)

若すぎない監督たちだからこそできる
はしゃぎすぎることない、
鮮やかなモノトーンの“青春”ムービー、

ぜひ試していただきたいです。

★9/14(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。

「ストラッター」公式サイト

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