ECOさんが帰る場所

(有)ビオプラス西條デザインのエコハウス♪
住宅誌『住まいネット北海道』内の連載のつづきです。

WEBでもECOさん!⑧ 伊藤さんファミリー

2012-03-26 | 日記
●WEB版 ECOさんが帰る場所⑧ 
◆“安心安全”ができるまで。

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●あなたはこれまでに、“電磁波”を意識したこと、ありますか?


パソコン、ケータイ、電磁調理器……

ほんの30年前にはほとんど普及していなかったのに、
それらの電化製品がまるで不可欠であるかのようなライフスタイルが
当たり前になっている昨今、

実はそれらの製品やアンテナが放つ“電磁波”
心身の不調を訴える人々もゾクゾクと出現している、
という事実があります。


「電磁波過敏症」と称されているその症状の出方は様々。

日常生活で微小ながらも日々蓄積され続けている人体との不調和が
その人にとって飽和状態になったとき、

体力の弱り=抵抗力の低下 をきっかけにして、
ある日突然 症状として現れるという この現代病は、

見えない電磁波に満ちた現代社会で生きる
全ての人に発症の可能性があるとのこと。

まだ、癌や糖尿病のように広く知られている病気ではありませんが、
「化学物質過敏症」と並び、
生体への影響検証が充分にされぬまま推し進められている
現代文明の副作用
として発生した、深刻な問題の一つなのです。


●今回のecoさんは、
そんな 「電磁波過敏症」 に悩んでいたという奥様、則子さん。

いったい、どんなおうちで、どんな暮らしをすることによって、
安全と安心を得られたのでしょう……?



●札幌市内に息づく原生林のすぐそばに建てられたお宅は、
 電気を通す金属の使用を極力押さえ、
 外側にも内側にも、ふんだんに道産材を使用。

 新築にもかかわらず背景の森にも溶け込んでいて、見た目も自然。
 アクセントの赤い屋根がステキですね!


●玄関を開けて……

 おじゃましま~す。


 WOW♪ 土壁に無垢材のシンプルデザインで、すっきり、あっさり。

 でもそれが、とってもオシャレ!


 アンティークな雰囲気のステンドグラスと、
 ギャベ(イランの遊牧民が手織りした草木染ウールマット)でお出迎えとは、
 ニクイ演出ですね~!(笑)


●ダイニングキッチンの扉を開けると、薪ストーブのいい香り。

「このステンドグラスは、
  いつか使いたいと思って買っておいたものなんです。

  西條デザインさんにご相談して、
  オリジナルの扉や窓に加工していただきました。

  ステンドグラス以外にも、
  古くて味のあるガラスや、ドアノブや、小さな家具や雑貨など、
  自分で買っておいたお気に入りを
  希望に合わせて内装用にアレンジしていただけて、
  とてもよかったです」

  と、則子さん。

  電磁波過敏症に強い家、というから、
  実質優先で、オシャレはガマンしなきゃならなかったのかな…
  なんて想像していましたが、大ハズレ。

  こんなにオシャレで、
  しかも電磁波や化学物質の不安もない家なんて、
  いや~最高ですね!


●「でもね、やっぱり必ずしも順調なことばかりではなく、
  手間やお世話は、申し訳ないくらいおかけしたんです(笑)。

  ステンドグラスをドアに加工するときなども、
  寸法をピッタリ合わせるには
  けっこうなお手数をおかけしましたし、

  “オールアース住宅”を目指して、
  表には見えない床下や壁の中を通っている電気配線を
  シールドする加工を取り入れていただいたり、
  
  床暖房もできるという薪ストーブを
  取り寄せていただいて試してみたものの、
  それに付いているモーターの電磁波がダメで
  お返しすることになってしまったりね。

  薪ストーブだけじゃ不便だろうからと
  エコなガス暖房も提案してくださったんですけれど、
  私の場合はそれも体調にも合わなくて……

  結局、暖房は薪ストーブだけになったんですが、
  この家は魔法瓶みたいに断熱がしっかりしてて
  冬も充分暖かく過ごせたので、
  今のところ、薪ストーブだけで満足しています」    


 なるほど、そうだったんですか~!

●このキッチンにも、


●このお手洗いにも、


●この洗面所にも、

オシャレな内装とともに、

電磁波を避ける設計上の対策や施工、
電気を通さない自然素材の使用など、
表立って見えない部分にも、
たくさんの配慮と工夫が施されているのですね。


●ここは、未完成のお風呂場。
 まだ湯船がありません。

「木の湯船にしようか とか、
 薪で焚く五右衛門風呂にしよう とか、
 いろいろ迷っていて保留にしてあるんです(笑)」 



 なーるほど。
 今後どんな湯船が付くのか、楽しみですね~。

 もし、薪で焚く五右衛門風呂になったら、
 個性的なこのお宅のユニークさが また一つ際立って、
 お風呂体験したい訪問者が増えるかも(笑)
 


●こちらは2Fの子ども部屋。

 明るくのびやかで ステキな お部屋ですが、
 実は、則子さんにとっては、鬼門空間とのこと。

 ここは、近隣に立つケータイのアンテナから放たれている
 電波の通り道に位置しているらしく、残念ながら、
 長時間いると具合が悪くなってしまうそうなのです。

 建物の位置や設計にも工夫を凝らし、
 無垢材の木材や自然の断熱材をたっぷり使って、
 土・植物珪藻土など自然の浄化力に満ちた自然素材を使用して
 ナチュラルな暮らしを目指していても、
 
 どこかにいつの間にか ケータイのアンテナが建てられてしまえば、
 電磁波に関しては防ぎ切ることが難しい、という現実……

 もし目で見ることができたとしたら、
 私たちの何気ない日常には、
 いったい どれほどの電磁波が張り巡らされていることか……


 「電磁波過敏症」 という言葉が一般語化してきているほど
 不調を訴える人が増えているにも関わらず、
 それらの人々の声よりも 圧倒的に便利やお金が優先され、
 地域の人々への相談もなくアンテナが建てられて行く世の中って、
 考えてみれば、なんとも恐ろしいことですね……!


●こんなに緑あふれる場所ですらそうなのですから、
 都心ではいかばかりかは、押して知るべし、です。

 こりゃ、原発問題同様、大事に至る前に、
 大いに現実を見直す必要がありそうですね。


●これは、ビオプラス西條デザインの若手ホープ
設計士の山端(やまはた)さんが、
則子さんのイメージや想いを聞いて描き起こした、家の内装デザイン図。


「美容院で希望の髪型を伝えるみたいに、
 憧れのイメージ写真を雑誌の切り抜きなどで伝えると、

 次回の打ち合せ時には山端さんが
 それを図面やイラストにしてきてくださって、

 それがね、『どこかで私の話を聞いてたの?!』 
 と思うほど的確で、本当にビックリでした。

 私の好みや望みの理解が早くて感激したし、安心できましたね。

 
 職人さんや業者さんも皆さんいい笑顔で、
 マナーもきちんとしていらして、
 ご近所の評判も良かったんですよ。


 私たち家族が見ていない時も、
 誠実にお仕事してくださっていると感じました。

 完成後、皆さんにお礼を言いに行きたかったくらい、
 ほんとうに感謝しています」





「私の場合は、主人の転勤による引越しと、
  3人の子ども達を生んで育てて……を繰り返しているうちに、
  だんだん具合が悪くなっていって、

  特に、暖房便座に座ると気分が悪くなる、と気づいたのがきっかけで、
  電磁波過敏症なんじゃないか、って気づいたんです。


  辛くて、悩んでいて、
  もう山の中で暮すしかないのかも、
  と主人と話したりしていたのですが、

  ある日、雑誌で西條さんの会社を知り、
  伏古のモデルハウスに行ってみたんですね。

  それでお話して、もうビックリ!

  自然素材のことやら、電磁波対策のことやら、
  ものすごくこだわって やってらっしゃるじゃないですか!

  こんな人がいたんだな~!と思って感動して、
  ここに頼むしかない!と、心が決まりました。



  西條さんご自身が、娘さんのアトピーをきっかけにご苦労されて
  研究を重ねられたからこその賜物だと思いますが、

  本当にすごい知識と情報をお持ちですよね!
 

  そんな反面、西條さんはいつも、
  オヤジギャグでみんなの雰囲気を和らげてくれて(笑)、

  一見クールで、すごく誠実にお仕事してくださる山端さんは、
  そのギャグには同調せず、テキパキ仕事を進める、という感じ(笑)。
  絶妙コンビでしたね(笑)。


  お二人のおかげで、打ち合わせはいつも、本当に楽しかった!


  『あぁ、このトイレの壁は山端さんが塗ってくれたよな~』 とか、

  『このドアを作ったときは、みなさんにご苦労をかけたな~』 とか、

  『居間のこの壁は、西條さんの息子さんが塗りに来てくれたっけ…』

  とかね、家のあちこちを見るたびに思い出すんですよ」



●少女のようなキラキラの笑顔でそう語る則子さんを見て、
 私は何だか、胸がいっぱいになってしまいました。


 電磁波や化学物質の弊害に悩んでいらっしゃる方のご苦労を、
 私はこれまで折に触れて、何度かお聞きしたことがあります。

 「過敏症」 と名づけられた不調をお持ちの方々の辛さは、
 「過鈍症」 の人々が大多数の今、
 
 なかなか理解されにくく、身体的不調のみならず、
 精神的にも追いやられていく方が少なくありません。

 けれど、則子さんは、西條さんや山端さんをはじめ、
 理解ある西條デザインの皆さんと出会えたことで、

 物理的にも、精神的にも、ご自身本来のチカラを、
 取り戻されたのだと思います。


3・11の震災後、ひときわ問われるようになった、
 安心と安全への対策。


 その第一歩として必要なのは、

 しっかりとした知識や知恵に基づく誠意ある説明であり、
 相手の不安に寄り添いつつの交流なんだ。


 今回の取材で、その基本に あらためて気づかされた気がします。



(↑ご家族みんなで土壁に刻んだ、おうちの完成記念手形)

●電化製品をはじめとする文明の利器を最小限に抑え、
 土壁や、和紙の天井や、北海道で生まれ育った木々の息吹が
 ゆっくりと呼吸する、薪ストーブの温もりに包まれた伊藤さんのお宅。

 古いちゃぶ台の上で折り紙を始めたお子さんたちの笑い声を聞き、
 出していただいた和菓子とお茶を味わいながら、

 お仕事で訪問しているにもかかわらず、
 「落ち着くな~」 と、しみじみしてしまいました(笑)。


「今は、手に入れようと思ったら、
 いろんなものが手に入る世の中だけれど、
 それが本当に必要かどうか、考えるようになりました」


 最後にお聴きした則子さんの言葉が、今も胸に響いています。

 
◆photographer:蘒野孝行(GINO PHOTO WORKS)
◆designer:森川瞬(寺島デザイン制作室
◆writer:はらみづほ(旅するはらっぱ

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