●WEB版 ECOさんが帰る場所⑯
◆道南の森へ、ようこそ。(前編)
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
GWを迎え、北海道も桜の季節。
今回ご紹介するエコさんは、大口さんご一家。親御さん世帯と息子さん世帯、ふたつの家庭が仲良く暮らす、木の香りいっぱいの二世帯住宅です。
取材にうかがったときは、まだ雪が。晴れてはいたものの、とっても寒い冬の日でした。
おじゃましま~す!
…とメインの玄関を入ると、左手に親御さん世帯の玄関が。そして正面には…
うわ~!ご家族みなさんおそろいでお出迎え、ありがとうございます~!本日はお世話になります~!
おや?!冬なのに、みなさんハダシ…?!
★大口家のご長男・陽平さん(左)と、奥様の香織さん(右)。
「この床は道南杉の無垢板なので、ハダシでも冷たくないんですよ。スギは空気をたくさん含んでいるので、あったかいんです」
★
大口さんのお宅は、2005年に完成。柔らかな無垢のスギの木肌には、ヤンチャっ子たちの8年分のエネルギーが刻まれた、愛しい傷跡がいっぱい。
古くなるほど味わいが深まるのも、無垢の木の家の大きな魅力。この無垢材の床は大口ファミリーの歴史とともにみんなの素足に磨かれ、年々飴色に変化してゆくことでしょう。
★
「家の中に古民家のような日本的な空間がほしかったんです」とおっしゃる陽平さんのご希望通り、古材や地元の木をふんだんに使い、趣のある日本家屋デザインになっているこの玄関ホールは、親御さんご夫妻の住まいと陽平さんご夫妻の住まいをほどよい距離感でつなぐ“余白の間”。
お子さんたちにとっては遊びの間で、お友達と一緒にゲームをしたり、走り回ったり、なんと縄跳びまでしちゃうそう。
大人たちにとっては、訪れたお客さんと話し込んだり、暑い夏の日差しを避けてゴロンと横になり、高い天井の梁を眺めつつくつろいだり。また、玄関との間の引き戸を閉めてふとんを敷けば、お客さんの宿泊ルームにも早変わりするとのこと。フレキシブルな七変化ルームとして活躍しているのです。
★
日本的な建築デザインには、情緒や美しさだけでなく、風土に合った実利もいっぱい。
珪藻土の壁、木目と格子の障子、道南スギの無垢材床と天上…と、断熱性や調湿効果を備えた土・木・和紙がふんだんに使われているので、冬あたたかく夏涼しい、湿気がたまらず通気がいい、など、実用性もバッチリなのです。
家の顔である玄関スペースがこんなに充実しているなんて…!と、はじまりからビックリですが、ここはまだ序の口。さて、次はまず、陽平さんと香織さん世帯のお住まいから拝見してまいりましょう。
うわ~明るい!大きな窓!床も天井も広々として、なんて気持ちいいんでしょう!
「以前はこの手前の低いテーブルを食卓として使っていて、ここでごはんを食べていたのですが、子供たちも大きくなってきたので少しレイアウトを変え、奥をダイニングスペースにして、こっちはゆったりつくろげるリビングにました」
なるほど~
壁で仕切られていない広々としたデザインだから、レイアウト替えもしやすそうですね。
「このテーブルの木の板は、隣町に住むおじさんからもらった新築祝いなんです。地場の木で家を建てる、というぼくらの想いを聞いたおじさんが、そういうことならぜひ使ってほしいとプレゼントしてくれてね。
おじさんは山を持っていて、自分でも山の手入れをしている人なんです。一枚板に見えますが、そう見えるように丁寧に木を接いである板でね、西條さんに頼んでテーブルにしてもらいました。
この家ができて以来、みんなでごはんを食べたり、子どもたちもここで宿題をしたり、このテーブルを毎日フル回転で愛用させてもらっています。おかげでもう傷だらけだけど、家族みんなの思い出が刻まれている大切なテーブルです」
うれしそうに語る陽平さんの言葉に、山の手入れをするおじさんの姿が目に浮かびました。
この部屋の床や天井も道南スギ。陽平さんご一家は、道南スギの森の中に住んでいるようなものですね。空気がやわらかく澄んでいて、心も体もラクチンです。
「望みどおり明るく広々した空間になって、とても満足しています」
とおっしゃる陽平さんに「この家は100点満点で言うと何点ですか?」と尋ねると、「100点です!」と力強い即答が。う~ん、スバラシイ!
こちらはキッチンスペース。すっきりしていて、使いやすそうな対面式です。
「月に2回くらいはこのキッチンの向こうのダイニングスペースで2世帯一緒にジンギスカンをするんですけれど、珪藻土の壁のおかげか、翌日にはすっかり匂いが消えてるんですよ」
と香織さん。
「壁に油がハネても跡が残らないしね。西條デザインの専務が『オレも塗るのを手伝うから珪藻土の壁にしましょう!』とススメてくれた意味が、住んでみてよくわかったねぇ」
と、静枝さん(陽平さんのお母さん)も大満足のご様子。
珪藻(藻類の一種)の殻の化石を原料とする珪藻土の壁材は、天然成分より混ぜ物が多い商品などもたくさん出回っていて品質はピンキリだそうですが、大口家では上質な天然素材だからこその結果が、バッチリ出ているのですね。いや~これぞ自然エネルギーです!
「キッチンにいても和室の様子をうかえるので安心」と香織さん。客間のはずが、今はすっかりお子さんたちの遊び部屋になっているそう(笑)。
地元のもの、北海道のもの、日本のものに愛着を感じるという陽平さんに、「家づくりで西條さんに特に注文したことは?」と尋ねると、「“地場材”を使うことですね」という答えが。
階段を上がったところに本棚が。1階のダイニングスペースは、吹き抜けで2階につながっています。
希望通り構造材も床も天井も地場材が使われましたが、実は大黒柱は、当時はふさわしいものが北海道産では手に入らず、やむなくカナダ産のものを使用することに。
「大黒柱が地場材じゃないのはショックでしたね。日本語が通じない!って(笑)。でも、この柱ももう8年もウチで暮らしてるから日本語を覚えたかな(笑)」
と陽平さん。
今では、日本の植林の森の活性化や、輸送エネルギーの節約を念頭に、まるごと北海道産の木の家づくりを実現している西條デザインさんですが、社長いはく、「昔は北海道産だけではなかなか理想的な材がまかなえず、安全基準を満たしている外国産の無垢材も使っていたんだよ」とのこと。
西條デザインも、大口さんのようなお客さんたちに育てられながら進化してきたのですね。
ビオプラス西條デザインと大口さんとの出会いのきっかけは、雑誌とホームページ。家のことを調べていた香織さんが見つけたのだそうです。
「問合せたら、遠いのに札幌から道南の我が家へ社長と専務がすぐ訪ねて来てくれて、伊達の専務の家や、設計士の山田さんの家を見せてくれたんです。
建てるなら木の家がいいと思っていろんなモデルハウスを見に行ったのですが、ピンとくるのがなくてね。
そんなときに西條デザインさんを知って、実際に人が住んでいる家をいくつか見せてもらって、見るたびにピンと来て、どんどんハマッていきました(笑)。
家と一緒に西條デザインの方たちの人柄も見て、やっぱりここだ!と決めたんです」
と陽平さん。
2階の子ども部屋。勉強机も、西條デザインによるオーダーメイド。
スライド式の木の扉を開くと、作り付けのタンスや棚が内臓された収納スペース。扉を閉めればお部屋スッキリです。
「最初はそれほど自然素材にこだわっていたわけではないのですが、いろんなモデルハウスを見に行くとイヤな匂いで頭が痛くなることもあり、自然に越したことないな、と思うようになりました。
西條デザインさんが建てた家は木の匂いがして、本当に気持ちよくて…。見せてもらうたびに『やっぱりこういうのがいいな』という想いが募りましたね。子どもたちを育てるのにも安心だし、自然素材の家にして本当によかったです」
と香織さん。
強力な子育てサポーターの母上、静枝さんも、
「赤ちゃんがいるから、ハイハイして床に口をつけたり、どこをナメても安心なのが助かりましたね」とのこと。
ナメても安全な家、という静枝さんの言葉に、自然素材の家の恩恵をリアルに実感。
化学物質がしみこんだ家が多いという現状は、考えてみれば恐ろしいことですね。
では、ひとまずここらで一区切りつけ、後編へ続くことにいたしましょう。後編では、静枝さんと治さんのお住まいを拝見します。
どうぞお楽しみに…!
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◆photographer:蘒野孝行(GINO PHOTO WORKS)
(★の写真は、はらみづほ撮影)
◆designer:森川瞬(寺島デザイン制作室)
◆writer:はらみづほ(旅するはらっぱ)
◆道南の森へ、ようこそ。(前編)
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GWを迎え、北海道も桜の季節。
今回ご紹介するエコさんは、大口さんご一家。親御さん世帯と息子さん世帯、ふたつの家庭が仲良く暮らす、木の香りいっぱいの二世帯住宅です。
取材にうかがったときは、まだ雪が。晴れてはいたものの、とっても寒い冬の日でした。
おじゃましま~す!
…とメインの玄関を入ると、左手に親御さん世帯の玄関が。そして正面には…
うわ~!ご家族みなさんおそろいでお出迎え、ありがとうございます~!本日はお世話になります~!
おや?!冬なのに、みなさんハダシ…?!
★大口家のご長男・陽平さん(左)と、奥様の香織さん(右)。
「この床は道南杉の無垢板なので、ハダシでも冷たくないんですよ。スギは空気をたくさん含んでいるので、あったかいんです」
★
大口さんのお宅は、2005年に完成。柔らかな無垢のスギの木肌には、ヤンチャっ子たちの8年分のエネルギーが刻まれた、愛しい傷跡がいっぱい。
古くなるほど味わいが深まるのも、無垢の木の家の大きな魅力。この無垢材の床は大口ファミリーの歴史とともにみんなの素足に磨かれ、年々飴色に変化してゆくことでしょう。
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「家の中に古民家のような日本的な空間がほしかったんです」とおっしゃる陽平さんのご希望通り、古材や地元の木をふんだんに使い、趣のある日本家屋デザインになっているこの玄関ホールは、親御さんご夫妻の住まいと陽平さんご夫妻の住まいをほどよい距離感でつなぐ“余白の間”。
お子さんたちにとっては遊びの間で、お友達と一緒にゲームをしたり、走り回ったり、なんと縄跳びまでしちゃうそう。
大人たちにとっては、訪れたお客さんと話し込んだり、暑い夏の日差しを避けてゴロンと横になり、高い天井の梁を眺めつつくつろいだり。また、玄関との間の引き戸を閉めてふとんを敷けば、お客さんの宿泊ルームにも早変わりするとのこと。フレキシブルな七変化ルームとして活躍しているのです。
★
日本的な建築デザインには、情緒や美しさだけでなく、風土に合った実利もいっぱい。
珪藻土の壁、木目と格子の障子、道南スギの無垢材床と天上…と、断熱性や調湿効果を備えた土・木・和紙がふんだんに使われているので、冬あたたかく夏涼しい、湿気がたまらず通気がいい、など、実用性もバッチリなのです。
家の顔である玄関スペースがこんなに充実しているなんて…!と、はじまりからビックリですが、ここはまだ序の口。さて、次はまず、陽平さんと香織さん世帯のお住まいから拝見してまいりましょう。
うわ~明るい!大きな窓!床も天井も広々として、なんて気持ちいいんでしょう!
「以前はこの手前の低いテーブルを食卓として使っていて、ここでごはんを食べていたのですが、子供たちも大きくなってきたので少しレイアウトを変え、奥をダイニングスペースにして、こっちはゆったりつくろげるリビングにました」
なるほど~
壁で仕切られていない広々としたデザインだから、レイアウト替えもしやすそうですね。
「このテーブルの木の板は、隣町に住むおじさんからもらった新築祝いなんです。地場の木で家を建てる、というぼくらの想いを聞いたおじさんが、そういうことならぜひ使ってほしいとプレゼントしてくれてね。
おじさんは山を持っていて、自分でも山の手入れをしている人なんです。一枚板に見えますが、そう見えるように丁寧に木を接いである板でね、西條さんに頼んでテーブルにしてもらいました。
この家ができて以来、みんなでごはんを食べたり、子どもたちもここで宿題をしたり、このテーブルを毎日フル回転で愛用させてもらっています。おかげでもう傷だらけだけど、家族みんなの思い出が刻まれている大切なテーブルです」
うれしそうに語る陽平さんの言葉に、山の手入れをするおじさんの姿が目に浮かびました。
この部屋の床や天井も道南スギ。陽平さんご一家は、道南スギの森の中に住んでいるようなものですね。空気がやわらかく澄んでいて、心も体もラクチンです。
「望みどおり明るく広々した空間になって、とても満足しています」
とおっしゃる陽平さんに「この家は100点満点で言うと何点ですか?」と尋ねると、「100点です!」と力強い即答が。う~ん、スバラシイ!
こちらはキッチンスペース。すっきりしていて、使いやすそうな対面式です。
「月に2回くらいはこのキッチンの向こうのダイニングスペースで2世帯一緒にジンギスカンをするんですけれど、珪藻土の壁のおかげか、翌日にはすっかり匂いが消えてるんですよ」
と香織さん。
「壁に油がハネても跡が残らないしね。西條デザインの専務が『オレも塗るのを手伝うから珪藻土の壁にしましょう!』とススメてくれた意味が、住んでみてよくわかったねぇ」
と、静枝さん(陽平さんのお母さん)も大満足のご様子。
珪藻(藻類の一種)の殻の化石を原料とする珪藻土の壁材は、天然成分より混ぜ物が多い商品などもたくさん出回っていて品質はピンキリだそうですが、大口家では上質な天然素材だからこその結果が、バッチリ出ているのですね。いや~これぞ自然エネルギーです!
「キッチンにいても和室の様子をうかえるので安心」と香織さん。客間のはずが、今はすっかりお子さんたちの遊び部屋になっているそう(笑)。
地元のもの、北海道のもの、日本のものに愛着を感じるという陽平さんに、「家づくりで西條さんに特に注文したことは?」と尋ねると、「“地場材”を使うことですね」という答えが。
階段を上がったところに本棚が。1階のダイニングスペースは、吹き抜けで2階につながっています。
希望通り構造材も床も天井も地場材が使われましたが、実は大黒柱は、当時はふさわしいものが北海道産では手に入らず、やむなくカナダ産のものを使用することに。
「大黒柱が地場材じゃないのはショックでしたね。日本語が通じない!って(笑)。でも、この柱ももう8年もウチで暮らしてるから日本語を覚えたかな(笑)」
と陽平さん。
今では、日本の植林の森の活性化や、輸送エネルギーの節約を念頭に、まるごと北海道産の木の家づくりを実現している西條デザインさんですが、社長いはく、「昔は北海道産だけではなかなか理想的な材がまかなえず、安全基準を満たしている外国産の無垢材も使っていたんだよ」とのこと。
西條デザインも、大口さんのようなお客さんたちに育てられながら進化してきたのですね。
ビオプラス西條デザインと大口さんとの出会いのきっかけは、雑誌とホームページ。家のことを調べていた香織さんが見つけたのだそうです。
「問合せたら、遠いのに札幌から道南の我が家へ社長と専務がすぐ訪ねて来てくれて、伊達の専務の家や、設計士の山田さんの家を見せてくれたんです。
建てるなら木の家がいいと思っていろんなモデルハウスを見に行ったのですが、ピンとくるのがなくてね。
そんなときに西條デザインさんを知って、実際に人が住んでいる家をいくつか見せてもらって、見るたびにピンと来て、どんどんハマッていきました(笑)。
家と一緒に西條デザインの方たちの人柄も見て、やっぱりここだ!と決めたんです」
と陽平さん。
2階の子ども部屋。勉強机も、西條デザインによるオーダーメイド。
スライド式の木の扉を開くと、作り付けのタンスや棚が内臓された収納スペース。扉を閉めればお部屋スッキリです。
「最初はそれほど自然素材にこだわっていたわけではないのですが、いろんなモデルハウスを見に行くとイヤな匂いで頭が痛くなることもあり、自然に越したことないな、と思うようになりました。
西條デザインさんが建てた家は木の匂いがして、本当に気持ちよくて…。見せてもらうたびに『やっぱりこういうのがいいな』という想いが募りましたね。子どもたちを育てるのにも安心だし、自然素材の家にして本当によかったです」
と香織さん。
強力な子育てサポーターの母上、静枝さんも、
「赤ちゃんがいるから、ハイハイして床に口をつけたり、どこをナメても安心なのが助かりましたね」とのこと。
ナメても安全な家、という静枝さんの言葉に、自然素材の家の恩恵をリアルに実感。
化学物質がしみこんだ家が多いという現状は、考えてみれば恐ろしいことですね。
では、ひとまずここらで一区切りつけ、後編へ続くことにいたしましょう。後編では、静枝さんと治さんのお住まいを拝見します。
どうぞお楽しみに…!
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◆photographer:蘒野孝行(GINO PHOTO WORKS)
(★の写真は、はらみづほ撮影)
◆designer:森川瞬(寺島デザイン制作室)
◆writer:はらみづほ(旅するはらっぱ)