ECOさんが帰る場所

(有)ビオプラス西條デザインのエコハウス♪
住宅誌『住まいネット北海道』内の連載のつづきです。

WEBでもECOさん!⑮ 石田さんファミリー

2014-01-11 | 日記
●WEB版 ECOさんが帰る場所⑮ 
◆どんな空気が、読めますか?

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お待たせしました! 

今年最初にご紹介するエコさんは、
ヤンチャ盛りの2人の男の子がいらっしゃる、石田さんファミリーです。


お、自然塗料のかわいいオレンジ色の扉と、
お庭の雰囲気がピッタリですね~

こんにちはぁ~(^O^)/

おぉ~ 木のい~い香りがしますね~
おじゃましま~す!

こちらの木材は、やっぱり国産材なんですか?

「ええ、国産というより道産材ですね。

 我家には、湿気に強いハルニレとか、
 この地域でとれた木材がふんだんに使われているんですよ」



なるほど~
西條さんのところで使っている天然木の道産無垢材は、
殺虫剤や消毒薬などが浸み込んでいる輸入材や、
薄くはいだ木を化学的な接着剤で張り合わせている合板と違って
安心ですし、雪国の厳しい環境に負けず丈夫に育った木
だと思うと、なんだか愛しいですね。



あら、おぼっちゃん、こんにちは。
ハダシなのね~ 気持ちよさそうだけど、冷たくないの?


ねぇ、そこで何してるの…?


何を持ってるの?

「息子が持っているのは、温度計です。
 床と天井の空気の温度を計ってるんですよ。
 
 ウチは空気の循環にこだわった設計をしているので、
 天井が暖かくて床が冷たい、ということがなく、
 家中どこでも常に温度が一定に保たれるように
 考えられているんです」


へぇ~ ほんとだ! 
床も天井も、20℃くらいですね。

ふつうはどうしても、床は冷たくなって、
天井の方に暖かい空気が行ってしまうものですが、
空気の流れを読んで設計すれば、
上も下も一定に保つことができるんですか~?!

それなら、冬の暖房や夏の冷房も、きっと節約できますね!




「そうなんです。ありがたいですよ~!
 
 これはペレットストーブで、
 実は、最初は、こことは反対側の階段の下に置こうとしていたんです。
 ちょうど、これを置けるくらいのスペースがあったんでね。
 
 でも、西條さんが頼んでいた空調に詳しい設備会社の方に、
 そっちに置くと空気の循環に反していて、
 いくらストーブを焚いても暖かくならないから絶対ダメ
だと反対され、
 窓の近くのこちら側に置くことになったんです。

 でもね、本当にその方の言うとおりで、こっちに置いて大正解でした。
 ちょっと焚くだけで部屋中あったかくなるし
 断熱と空調がしっかりしているので、
 パネルヒーターだけ微小につけておけば、
 真冬でもストーブはほとんど焚かなくていいくらいなんですよ」



「この家を建てて一番よくわかったことは、
 空気の流れを考えて設計することの大切さです。

 それまでは思いもよらないことでしたが、今は
 家づくりは、空気づくりなんだなぁと、つくづく実感しています。

 空気の流れを読んだ設計だと余分な設備もいらず
 快適性も段違いだと知ってビックリしました」



うわぁ~
換気や空調が大切なことは何となく知っていましたが、
そこまで重要だったとは…!

化学物質を極力使わない建物のクリーンな空気でも、
室内循環がスムーズでなければ、
くらしているうちによどんでしまいますものね。

空気が自然と室内をめぐっていれば、家の呼吸もスムーズで
湿気もたまらずイキイキ長持ち、というわけですね。

「実は以前はこの同じ場所に建っていた古い一軒家に住んでいたのですが、
 その時は湿気に悩まされましてね…

 カビもひどくて、ほんとうに大変だったので、
 この家の快適さが身にしみてありがたいんです」



なるほど、同じ土地でも、まったく違う家になったんですね!
それはビックリ。

空気の流れを考えた設計かどうかで、
くらしも気持ちも、大きく変わるものなんですね~!


さて、ではちょっと階段をのぼって、2Fを拝見してみましょう。

あら、2Fの3部屋は、一応壁で仕切られてはいるものの、
天井部分で一つにつながっているんですね。


こちらは、いちばん端の子ども部屋。
明るく広々シンプルで、使い勝手がよさそうですね。

天井部分に壁がないので、その下に仕切りがあっても
広々とした印象
で空気の流通も良さそう。

これも、空気循環のためなのですか?

「いえいえ、これは、息子たちが大きくなって家を出て行ったら、
 壁をとっぱらって一つの空間にしようと思っているからなんです。
 友人たちを大勢呼んで、みんなで盛り上がれるようにね(笑)」


おやおや、なんとも楽しそうな計画ですね!

地域交流や、福島の子ども達を受け入れ保養してもらう支援など、
人と人をつなぐいろいろな活動をされている英人さんですから、
きっとお友達も多いのでしょうね。

みなさんが集まっている楽しそうな様子が、
もうすでに目に浮かぶようです(笑)

時の流れやお子さんたちの成長とともに、
この家もまた、進化を遂げてゆくのですね。

なるほど、そんな未来の住まい方を見通した設計も、
家を建てるときの大切なポイントかもしれません。


こちらは、廊下を挟んでお向かいにある、英人さんの書斎。
壁の珪藻土は、ご自身で塗られたそうです。

窓の向こうからは外が見晴らせ、男の隠れ家、という感じ。
足元に小さなパネルヒーターがあるだけですが、
冬も充分、暖かいとのこと。

「夜、この部屋で酒をチビチビやりながらレコードを聴くのが、
 至福のひと時なんです」


…と英人さん。
なるほど、棚の片隅にターンテーブルを発見。
この空間はオーディオルームにもなる、というわけなのですね~


2Fの一番奥にあるこちらのお部屋は、奥さまの智子さんの和裁部屋。
着物の「裁ち板」や桐の箪笥が、凛とした空気をかもしだしています。

お子さんたちが生まれる前までは、
和裁のプロとして呉服店から注文を受けていたという智子さんは、
なんと、息子さんたちの肌着や服などもお手製だそう。
いや~さすがです!

もちろん、衣類のみならず、食品も手づくり派で、
智子さんのたっての願いは、「食料庫を持つこと」だったのだとか。

1Fのキッチン横にある扉を開けると…

念願叶って、そこは、食品庫。

電気を使っているわけでもないのに、
北側に配置していることや、
この空間だけ断熱材を使わない仕様にしたこと
などで、
空気がヒンヤリしています。


梅干し、お味噌、お漬物…など、お手製の保存食がズラリ。
おいしいお宝部屋ですね!


何を使ってどう作られたかわからない商品を買ってくるより、
 自分で作る方が気がラクなんです。


 子育てって“食べさせること”だな~ってつくづく思うんですね。

 今はとにかく、少しでも安心なものをきちんと食べさせることが
 私の仕事だと思っています。

 和裁は、子育てが終わってからのお楽しみですね(笑)」





そんな智子さんに影響を受け、
結婚前は全く関心がなかった草木染めや畑作業
智子さんとともに始めたことがきっかけで、
だんだんエコライフに目覚めてきたという英人さん。

お庭にももちろん家庭菜園があり、
草木染め用の藍も育てているそうです。


西條さんのことも、
「自然染料作り講座」の主催者から紹介されたのだとか。

知り合ってすぐ自然素材のタンス作りを依頼したことがきっかけで、
前の家のリフォームから今回の新築に至るまでの
おつきあいが始まったそうです。


「西條さんの会社に家づくりをお願いしてよかったことは、
 何といっても、“ほんものの家づくり”
 身近で見れたことですね。

 家にかかわるいろんな分野の職人さんたちの手仕事や技量
 を目の当たりにし、感動しました。

 それぞれのプロが、一生懸命つくってくれた家に住んでいる。
 そのことが誇らしく、とても嬉しいです」


と英人さん。

地産の天然木材や、ほたて漆喰など、
自然から生まれたさまざまな建材たちの息吹、
大工さんや設備屋さんなど、それぞれの職人たちの呼吸、
それらの資質を一つの空間に結実させる、設計士の手腕…。


活力あふれる様々な息遣いと手仕事エネルギーが溶け込むこの家の空気は、
ここで呼吸を重ねる石田家のみなさんにも、
きっと影響していることでしょう。

「空気の流れを読む」大切さが、新しく胸に刻まれた気がします。

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◆photographer:蘒野孝行(GINO PHOTO WORKS)
(★の写真は、はらみづほ撮影)
◆designer:森川瞬(寺島デザイン制作室
◆writer:はらみづほ(旅するはらっぱ























 

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