橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

音楽ファンじゃない方にこそ贈りたい「ワールドハピネス2010」よかった~レポート その1

2010-08-12 11:42:00 | 書評/感想
この前の日曜日、8月8日。8並びで末広がりのハッピーだらけの日、夢の島で行われ
た夏フェス「World Happiness2010」に行った。
いや~、めちゃめちゃよかった~。
夏フェスなんて何年ぶり?いや十何年ぶり。急にキャンセルが出てチケットが余ってる
という知人からの誘いに、「YMOも出るし」、と気軽に出かけたのだが、なんか狐につ
ままれたみたいに良かった。ライブに行った前と後では空の色が別物に見えた(大げさ)。

空の色だけじゃない。
ライブは昼の12時半から夜8時すぎまで約8時間。そのうち半分くらいは年甲斐も無く踊ったり飛び跳ねていて、腰痛がある私は、帰る頃には腰はぎしぎし、足はガクガク。
やっとのことで家にたどり着き、明日はどうなることかと40代になった自分を呪ったが、なんとなんと驚いた事に、翌朝目覚めると、そのぎしぎしガクガクはすっきり消えていた。もちろん基本の腰痛は残っているけれど、あんなにヒドかった夕べの痛みはなくなっている。音楽に乗って身体動かして、毒が抜けたっていうのかなあ、足腰の痛みだけじゃなくて、心の痛みも抜けたような爽快な気分だった。

ほんと大げさなんだけど、久しぶりに行った野外フェスは、YMOの生演奏が凄かったのは言うまでもなく、もうどのミュージシャンのパフォーマンスも思った以上で、私の眠ってた音魂を揺り起こした。YMOもムーンライダースも、オヤジたちなんだかすごく進化してやがる。置いてかれたーって感じ。オレもがんばらにゃあって感じ。
でも、一方で、「まあいっか、のんびり行こ」と思えるような、看板に偽りなき「Happiness」なフェスだったのだ。

というわけで、前置きがこんなに長くなってしまいましたが(ホンッとなげーよ!)、
早速、今回のライブを紹介。

参加ミュージシャンは以下の通り
○ にほんのうた楽団(小池光子+高田漣+ASA-CHANG+鈴木正人)
○ LOVE PSYCHEDELICO
○ 清 竜人
○ MONGOL800
○ 大橋トリオ
○ Cocco
○ カヒミ・カリィ 
○ RHYMESTER 
○ □□□(三浦康嗣、村田シゲ、いとうせいこう)
○ pupa(高橋幸宏+原田知世+高野寛+高田漣+堀江博久+権藤知彦)
○ 安藤裕子
○ ムーンライダーズ guest 小島麻由美
○ サカナクション
○ 東京スカパラダイスオーケストラ
○ プラスチックス
○ Yellow Magic Orchestra with 小山田圭吾・高田漣・権藤知彦
 
みなさん、この中のどれだけ知ってる?
ここのところずーっと音楽と疎遠だった私は、つーか、YMOファンというだけでここに来た私は、恥ずかしながら、安藤裕子、□□□(三浦康嗣、村田シゲ、いとうせいこう)サカナクション、大橋トリオ、清 竜人の5組は知らなかった。もう、ニュースキャスターと同姓同名? ん?四角四角四角? さかなくん?って感じ。
ちなみに□□□は「くちろろ」と読む(正式表記は□(四角)を三個書く)。
ほかのミュージシャンも詳しいわけじゃなくて、最近どういう活動してるかはほとんどチェックしていない。

こんな私なので、音楽を批評するなんておこがましい。
もちろんそんな私でも分かるほど、今回のフェスの音楽性の高さは特筆ものだったんだけれど、それについてはいろんな人が語るだろうと思うので、私は、ここであえて別の点を挙げたい。

私が、このフェスでいいなあと思ったのは、人と人の関係性の気持ちよさなのだ。
ズギュンときたのは、我がサブカル世代の星、いとうせいこうをめぐる関係性。

いとうせいこうは□□□にラッパーとして参加している。
しばらく彼ののラップって聞かないなあと思っていたが、復活してこんなことになってるとは! まず、彼のパフォーマンスの凄さに舌を巻いた。腹筋鍛えてんだろうなあと思わせる声の良さと滑舌。お客を煽るあの目つき、間の取り方も完璧。ちょっと怖いくらい(笑)。ファンの方には当然じゃないスカ!そんなことも知らないんすかと怒られそうだが、なにぶん素人なもんで・・・。
そんでだ。そのパフォーマンスで、あと二人のメンバー、息子のような年代の三浦くんと村田くんを、もうグイグイひっぱってるのだ。ライブパフォーマンス的には、いとうせいこうは若い2人より格段に上なのは明らか。ステージ上でなんか黒光りしてたもの。
だから、最初は私も、この若い2人ダメだなあ・・・と思いましたよ。
でも、聞いているうちに、ふと気付いたのだ。
「この楽曲良いわ」。

たしかに、若い2人はライブパフォーマンスは負けている。いとうせいこうがいなかったら、へなちょこだ。しかし、「この曲結構いいじゃん。作ったの若い人たちだよね」、そう思ったら、いとうせいこうが、彼らのそんな才能に惚れて、このバンドに参加したんじゃないかということがステージからなんとなく見えてきた(勝手な想像)。
だって、めちゃめちゃ楽しそうなんだもんいとうさん。

最初、年長のいとうせいこうに寄っかかってるだけに見えた若い2人が、実はいとうせいこうにも刺激を与えている。徐々にそれがステージから伝わってきて、こっちまでドキドキして、身体が自然に動いてた。

老いも若きも一緒になって、歌い踊ればさあ楽し。
客席では、80年代サブカル世代と、
00年代がごちゃごちゃになって跳ねている。
ステージ上では、親子ほど年の違う3人がお互い刺激し合って、STEP UP
なんてかっちょいいんだ。
年上だから年下だからとか、遠慮や気兼ねなんてない。
年寄りには年寄りなりの経験と築き上げた技術があるだけで、
見栄や勘違いのプライドを振りかざす下品さは無い。
下の世代も、自信もって、勇気持って先輩世代に立ち向かってる。

こう書くと、なんだかキレイゴトみたいだけど、今の私にはストレートに書く技術しか無い。くそーくやしい、この人間関係のかっこよさを、ステージの□□□のかっこよさみたいな文章で表現できないのが残念無念はげちょびんでござる。

多分、私が、この口ロロのパフォーマンスにこんなことを感じたのは、先日このブログに書いて大反響をいただいた朝まで生テレビ「若者不幸社会」のことが頭にあったからだと思う。番組では「世代間格差」が話題にされた。たかが私のブログに1日で4万PVものアクセスがあったのは、多くの人が多かれ少なかれ「世代間格差」を感じているからではないかと思う。

でも、このステージ上には「世代間格差」なんてないじゃんか。
それとこれとは話は別と言われるだろうし、才能ある人たちの集まりだからと言われるかもしれない。にしても、本当に才能あるところには「世代間格差」なんて生まれないんだということを見せつけられた。

若いもんの意見に耳を貸さないおじちゃんは、いい歳こいて、自分に自信がないんだということを自覚すべしではないんじゃろか。上の世代にアイディアを伝えられない若いもんは、自分の努力と勇気が足りない事を自覚すべきじゃないんじゃろか。
お互い歩み寄れ。

夢の島のグラウンドで跳ねながら、こんなことを考えさせてしまう音楽ってすごいな。
一体お前は何者なのじゃ。

いい感じの関係性を見せてくれたのは、□□□だけではない。
今回初めて知った「サカナクション」も衝撃だった。
なんだか新しいバンドの形を見た気がした。
ボーカルの一郎くんが飛び出してきた時は、コミックバンドかと思ったが(ゴメン)、プログラムの紹介文には「文学性の高い歌詞・・・」なんて書いてある。
一瞬、骨太の「スピッツ」かとも思ったが(髪型も似てるし)、ベースとキーボードの女の子を見て、これはまた違うなと思った。

サカナクションは同世代の男3人女2人のバンドだ。
そんで、見た感じ女の子2人のほうが、腹が据わってるように見える(実際にどうかは知らないが)。お調子者でリリカルな男の子ボーカルを、冷静な女の子がバックで支えてる感じ。あとの男子2人も実は彼女らに頭が上がらない。この座組はそんな情景を彷彿とさせる。何度も言うようだが、ほんとにどうかは知らない。でも実際がどうかは重要ではない。
これまで、男女混成バンドで、こんな風に女が強く見えるバンドってあっただろうか?

私の素人知識の範囲なので、間違っていたらご指摘いただきたいのだが、間違いを恐れず言えば、これまで女性は、バンドの花としてボーカルをとるか、バックで支えるにしても、例えばサザンの原由子のように女房役のようなポジションだったり、マドンナ的な存在として支えることが多かったんじゃないだろうか。
サカナクションの二人は、女房やマドンナとしてではなく、あくまでも同僚として、男のボーカルを支える。しかし、2人とも大人の女として、お洒落で、かつ自分の雰囲気を持っている。

誇大妄想癖のある私は、この「サカナクション」に新しい時代の男女の関係性を見てしまった。若い人は、もう一歩も二歩も私たちの世代の先を行ってるのかもしれないなあ。
「男女間に友情は成り立つのか?」みたいな古典的な命題を軽々と超えていく。実際に恋愛関係にあるかどうかは関係ない。そう見せるか見せないかが重要なのだ。

「音楽」が、世代の壁、男女の壁を超えさせてくれるのだろうか。
それとも今回このWorldHappinessに集まったメンバーが、ピースフルな人たちだったのか。どっちにしろ、音楽ってすげーと思ったのである。
なんだか、勝手な想像がふくらんで妄想気味にいろんなこと書いちゃってるけど、これって私の願望が反映してんだろうなあ・・とか思いながら、再び音楽の力を思う。
もしかして、私って今まですごく抑圧されていた??なんて思っちゃいました。

ちょっと感想を書くつもりがものすごく長くなっている。
なのに肝心のYMOの事がまだ一言も書けてない。それはマズい。
なので、一旦この辺で章を分けて、YMOのことは次回書きたいと思います。
everyday is a symphony

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