緑皮車の客車区

ある大学生の非日常、旅行記、Trainz、FS、その他ゲームとの戯れなどなど・・・

【ハンガリーからセルビアへ】ブダペスト→ベオグラード【341列車】

2013年08月14日 23時38分26秒 | 2013年春 中欧
ブダペストの次は、なんとなくセルビアに寄ってみる予定だった。セルビアというと、元ユーゴスラビアで、15年ほど前には戦争をしていたところだ。ちなみに、GTA4の主人公のニコ・ベリックの出身地は、実はセルビアなのである。ニコはボスニア戦争で仲間の裏切りによって自分のいた部隊が全滅し、その復讐も目的の一つとしてリバティシティにやってきたのだ。

話がずれたが、僕のなかのセルビアのイメージはそんな感じだった。戦争のイメージがどうしても強いが、サークルでセルビアに行ったことがある先輩によると、そんなイメージが嘘なぐらい平和で穏やかな国だという。僕は基本、鉄道があまり発達していない地域には興味がないのだが、いろいろと縁があるような気がしていってみることにした。

ベオグラードまで、昼の列車で行くのか、夜行で行くのか迷っていたが、昼の列車に乗ると、夜の9時ぐらいにベオグラードに着くことになる。ユーゴの列車はよく遅れると聞くし、夜の東欧の街は歩きたくない。結局、時間の節約もしたかったし、夜行で行くことにした。前述したかもしれないが、東欧の夜行列車は治安が悪く、コソドロから列車強盗の巣窟となっていると聞いた。ハンガリーあたりからロマの人口も多くなってきて、差別的なことを言うのは本当は好きじゃないけど、彼らが夜行列車で切符も持たずに乗り込んできて、旅行者から金品を盗む、と言う話は渡航前にも聞いていたことだ。1等は金があると思われて狙われる、クシェットは完全開放なので被害が一番多い。だからといって、個室寝台は高すぎる、ということで、普通に2等座席の切符を買うことにした。だいたい、寝台にしても、国境でどうせ起こされるし、二等もコンパートメントが空いてたら、横になれる可能性はあるのだ。

切符は、ブダペスト東駅で前日に購入した。国際列車の値段は常に不明で、いつも値段を聞くまでヒヤヒヤする。だが、ブダペストからベオグラードまでの2等の切符は、今回はたったの15ユーロで済んだ。380キロの距離を、15ユーロで移動できるのは安い。やはり、ハンガリーに入ると、途端に列車の料金が安くなるようだった。ちなみに、地球の歩き方には、「国際学生証を提示すると学割がきく」と書いてあるが、僕が聞いたところ、「No」と無愛想に即答されてしまった。ここでも切符は投げてよこされたが、切符は手書きだった

アンダンテの人たちと別れの挨拶をして、夜のブダペストを歩いていくことにした。平日でも9時過ぎには人通りがほとんどなく、背後にスリがいないかどうか、たしかめながら早足で歩く。ブダペスト東駅はガラガラだった。東京や中国の駅が深夜でも人でごったえがえしているのと対照的だ。


夜のブダペスト東駅。20分前でも既にベオグラード行きの列車は入線していて、乗り込むことができた。なんとなく、右側のハンガリーの普通列車の客車の塗装が好き。


ここでも、列車は東欧デフォのコンパートメント。一人だと強盗にあったときにどうしようもないので、若い男性と女性が座っているコンパートメントに入れてもらった。どうでもいいけど、女性は前髪ぱっつんのブロンドだった。


列車は、ブダペスト22:20発、ベオグラード6:32着の341列車。サボを見る感じ、昼間はECとして運用されることがあるようだ。

列車はゆっくりと、黄色い明かりがともった無人に近いブダペスト東駅を発車していった。すぐに車掌が検札にまわってきて、手書きで検札サインをされる。若い男性の乗客はiPodをずっと聞いていて、前髪ぱっつんの若い女性のほうは、ずっとパソコンをやっていた。それ以外は、窓の外は真っ暗闇で何も見えなかったということぐらいしかない。

途中の駅で、若い男が降りていった。時刻は0時をまわっていたと思う。地元の人にとってはなんてことないのかもしれないが、旅行者の僕にとって、深夜の東欧の真っ暗な田舎町を歩くなんて怖すぎて、降りていった男性をなんとなく尊敬する目で見ていた。いっぽう、そのあと、前髪ぱっつんの若い女性のほうは、僕の前で普通に、堂々とコンパートメントの3列座席に横になって眠ってしまった。この人ノートパソコンもiPadも持ってたし、女性だし・・・。東欧の夜行列車は怖いと聞いていたが、案外そうじゃないのかもしれないな、と考えてた。ちなみに、出発前は、僕はツイッターで

「寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる寝たらパクられる(以下略

とpostしていた。


列車が停車し、国境の駅に着いた。ドアが開き、査証の職員が乗ってくる。同室の前髪ぱっつんのお姉ちゃんは眠ったままだ。

コンパートメントのドアを開ける音がだんだん近くなってきて、やがて僕達の番がきた(女の子はまだ寝ている)。大柄なスキンヘッドの、くりくりとした目をした国境の職員が姿を現し、ガラガラガラッ!っとドアを開けた。職員は僕を見て「パスポート、プリーズ」と言い、用意してあったパスポートを差し出すと、ぱらぱらとしばらくめくったあと、ポン、とEU圏出国のスタンプを押した。前髪ぱっつんの女の子のほうを目を覚まし、職員のほうを見て「Ticket...?」と言った。

かわいいいいいいいいwwwwwww声かわいいいいいいいいいwwwwwwwww

ブロンドのポニーテール前髪ぱっつんといい、声優みたいな声といい、もうめちゃめちゃ萌えた。ちくしょう、一言ぐらい会話してればよかった。

話を戻すと、国境の職員は、「Passport,or your ID^^」と言い、前髪ぱっつんの女の子は、ハンガリーの国旗がデザインされた身分証明書みたいなのを取り出し、職員に渡した。職員はそれを軽くチェックして終わりだった。どうやら、ハンガリー人は、国境通過の際に、パスポートがいらないみたいだった。

セルビア側のスタンプもハンガリー側のEUのスタンプも残っているのだが、人生初の列車での国境越えの体験の記憶はこれしかない。とりあえず、列車はハンガリー側でいっかい停まったあと、セルビア側にも停まり、夜のセルビアをベオグラードに向かって走り続けた。

あれだけ寝たらパクられる!死ぬ!と言っていた僕も、睡魔に耐えられず、コンパートメントの横になって爆睡した(笑)念のため、パックセーフをかけておき、座席にワイヤーをくくりつけておいた。腕に肩ひもを通しておいた状態で寝た。

朝目が覚めると、広い平原のなかを走っていた。ところどころ駅があり、列車を待っている乗客がたくさんいるのが見える。ベオグラードが近いようだった。途中の駅で、労働者風の手ぶらの男が乗ってきた。なんとなく怪しかったが、降りるときのためにパックセーフを外す作業をした。男は、「なにやってんだこいつ?」というように、ちらっとこちらを見たが、あとは早朝で眠いのか、眠ってしまった。

車窓を見ていると、強烈な落書きだらけのロシアのエレクトリーチカ風の車両が目立った。


写真撮れなかったので引用:http://djleekee.wordpress.com/2013/02/15/graffiti-trains-in-belgrade/

やはり、東に行けばいくほど落書きが強烈になり、列車のスピードが遅くなっていく。


やがて、今までのヨーロッパ風の街並みとは一変し、平壌を彷彿させる無機質な団地群が見えてきた。ベオグラードだ。


サヴァ川を渡り、ベオグラード旧市街に入る。朝日に映るベオグラードのシルエットは、なんだか近代的そうだった。


今までの首都とは違い、ペンペン草の生えた線路が目立ち、サヴァ川を越えてベオグラード駅まではなんと単線だった。鉄道があまり発達していないようだ。

ユーゴ圏の列車はよく遅れると聞いていたが、意外にも、定刻ぴったりに到着した。セルビアはまだちゃんとしているのかもしれない。コンパートメントの二人は最後まで爆睡していたので、「We have arrived!」と言って起こす。前髪ぱっつんの女の子は、「Thank you :)」と言って支度をはじめた。うん、やっぱり声が萌えるわ。前髪もだけど。


右側が乗ってきたハンガリーの車両。


セルビア鉄道の一般的な電気機関車、441型。セルビアの鉄道車両については、英語でも文献が少ない。


一国の首都にしては、非常に小さい駅だった。僕が住む松戸駅よりも小さい。


セルビアではキリル文字が使われている。といっても、街中に出ると、けっこうローマ字も併用されてる。


駅を出ると早速、「ハロー、ジャパン、タクシー?」と客引きに声をかけられる。早朝だからか人があまりいない。


日本のODAで贈られたというバス。こんなところで日本国旗を目にするのは意外だった。


今回の宿は、写真中央のアパートにある「Jasmin Hostel」というところに泊まろうとしていた。


こんな社会主義時代の匂いプンプンの階段を登っていく。このワンちゃんは、踊り場でひっくり返ったりしてよく遊んでいた。

アパートのドアに、小さく「Hostel Jasmin」と書かれたシールが貼ってある。呼び鈴を押すと、ボウズの大柄の若い男が出てきた。一晩泊まりたい、と言うと、「10ユーロ」とだけ言われ、中に通された。薄暗い宿のなかは、液晶テレビにサッカーの試合が映されているだけで、ほかに客はいないようだった。レセプションのドアをひとつ隔てたところが6人用のドミトリーだった。

う~ん、ホステルワールドの写真とだいぶ違う気がするんだが・・・。あんま儲かってないのかな?何よりも、早朝なのに客が俺だけってのが不安。レセプション目の前だし。でも、こういうのもアリだろう、ということで、さっさと布団にくるまって寝てしまった。夜行の移動では4時間ぐらいしか寝てなかったから疲れた。

セルビア編、続く。



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