どんぴ帳

チョモランマな内容

交換王(その26)

2010-07-20 23:55:46 | できるかな

 今回のタイトルは厳密には『調整王』です(笑)

 NHKのネイチャー物の放送以外では何のメリットも感じない地デジ化ですが、気付けばあと一年と迫って来ました。

 我が家は某電力会社の送電鉄塔の影響でアナログ放送難視聴エリアに指定されており、地元のケーブルテレビ局からアナログ放送を受信している状態です。それ故でしょうか、今一つ緊張感もなく、三台あるテレビの内、地デジを視聴できるのはPanasonicの液晶テレビ一台のみです。
 しかし、さすがにやる気の無い地元のケーブルテレビ局も、あと一年に迫った地デジ化にようやく対応したらしく、気付けばパススルー(簡単に言うと右から左に電波を素通しする状態)で地デジを放送し始めていたらしい。
「よし、とりあえず地デジを受信してみよう!」
 地デジが見たいと言うことよりも、単なる機械的好奇心でやってみることにしました。

1. お約束だけど映らない…

 パススルーで放送しているのなら、テレビのリモコンで『デジタル』と記されているボタンを押せば良いはずです。
「電波が受信できません」
 お約束どおりテレビは何も映してくれません。
「何でやねん、パススルーとちゃうんかい…」
 仕方がないので、デジ物師匠のTさんにスカイプで訊いてみます。
「地デジ、映らないんですけど…」
「テレビはどこのメーカーですか?」
「Panasonicです」
「いつ頃のテレビですか?」
「うーん、たぶん七年前かなぁ」
「ああ、その頃のテレビだと、同軸ケーブルの接続場所がアナログとデジタルに別れてることが多いですよ」
「え、そうなの?」
「一度確認してみて下さい」
 すぐにテレビの裏側を覗いて見ると、確かに接続端子が二つどころか三つに別れています。
「アナログ、地デジ、それからBSと110°CSか…」
 同軸ケーブルを地デジの端子に接続し、準備は完了です。

2. それでもやっぱり映らない…

 まずは地デジチャンネルの地域設定をして、チャンネルスキャンを掛けてみます。
「えーっと、まずはUHF帯域で…」
 スキャン完了。
「おいおい、ただの一つも放送局を認知してないよ…」
 私も身に覚えのない子供の認知はしないつもりですが、放送局は認知してもらわないと困ります。
「じゃ、全帯域で…」
 再度スキャン完了。
「おいおい、映ってるのは『テレビ○○(テレビ東京系列)』と、怪しいケーブルテレビ監修の超地元チャンネルだけじゃねえか…」
 何度スキャンしても結果は同じです。
「ふぅううううう…」
 異常に脱力します。

3. 原因はなんだ?

 色々とネットで調べてみると、
「同軸ケーブルがF型接栓じゃないとダメだ!」
 とか、
ブースターが対応していないとダメだ!」
 とか、
「分配器が対応していないとダメだ!」
 とか、色々と言われています。
「屋内の同軸ケーブルの配線自体が古いとダメだ!全てを配線しなおすと約10万円ほど費用が掛かる!」
 なんてことまでも言われています。
 この前まで粗大ゴミのテレビでも観られていたテレビ放送が、テレビは買い換えなきゃならないわ、屋内の配線まで全交換しなきゃ観られないとか、正直ふざけるなと思う状況です。
 仕方が無いので、テレビに繋がっている同軸ケーブルを新品にしてみたり、ブースターに接続している同軸ケーブルの接続部を剥き直してみたりしましたが、一向に改善しません。
「まずいよ、このままじゃ我が家の地デジ番組は、旅行とグルメと古物鑑定だけになっちまうよ…」
 せめて『探偵ナイトスクープ』と『タモリ倶楽部』くらいは観たいものです。

4. 師匠登場

 さすがに私的には万策が尽きたので、一緒に遊びに行った帰りにデジ物師匠のTさんに寄ってもらいました。
「テレビ○○は入るんだ、じゃあブースターかも知れませんね」
 さっそくブースターを再度チェックします。


八木アンテナの『PSD33(電源部)』
 十数年前の代物。


古くても地デジの周波数帯域をきっちりとカバーしています。
「木田さん、こいつの親機はどこですか?」
「うーん、それが分らないんですよ。なんか二階の屋根裏にあるとか無いとか…」
 仕方が無いので屋根裏を点検口から覗いてみますが、一向に見当たりません。
「あの、僕の記憶では一階の分電盤の辺りにあった気が…」
 突然Tさんが言い出します。
「…そうでしたっけ?」
 以前Tさんは、我が家の電話線が入っている電線管に、LAN配線を押し込む工事を行ったことがあります。
「下に行って見ましょう」
 どっちがこの家の住人か分りません。

5. ついに判明!

 恥ずかしい話ですが、赤の他人のTさんの指摘どおり、一階の分電盤の下にブースターの親機がひっそりと鎮座していました。


ブースター親機『UVSB33』
 手前を横切っている白い線は、NTTの光ファイバーです。
「あ、やっぱりなぁ、ここのケーブルテレビ会社って全チャンネルをVHF帯域で送信してますよね」
「ええ、そうですね」
「ブースターの入力がVHF帯域に絞られちゃってるんですよ」
「え?あ、ああ!そっか、そういうこと?」
「そうなんですよ」
「うわぁ、そうだったんだぁ…」


最大のポイント
 多くのケーブルテレビ局は、アナログ放送の中のUHF帯域を、VHF帯域に変換して送信しています。そしてこのブースターを電気屋が取り付けた当時、まさか十数年後に地上波がデジタル化するなんて思ってもいなかった筈です。
 当然アンテナからの同軸ケーブル入力は右側の『VHFアンテナへ』という接続端子に繋がれていました。
「こいつをこっちに移して…」
 Tさんは同軸ケーブルを左側の『UHFアンテナ又はU/V混合入力へ』と記されている方へ移設します。
※ 地デジはUHF帯域の電波を使って送信されています。


U/V入力切換
 このスイッチも『混合』を選択します。


利得調整
 最後は『CH13~62(UHF帯域)』のダイヤルを調整して、『利得』を調整します。
「本当は20万円くらいする機械を持って来てやるんですけどね、今日は持ってないんでテキトーです、スミマセン」
 Tさんは申し分けなさそうですが、映れば問題ありません。
 地デジの場合は、あまり利得を上げすぎると、逆に映らなくなることもあるので注意が必要なんだそうです。
「最終調整はアンテナを上げる時でイイですかね?」
「もちろん、それで十分です!」
 以前、仕事帰りのTさんに20万円の測定器で受信強度を計測してもらっているので、我が家はベランダにパラボラアンテナを設置すれば十二分に地デジが映ることは判っています。
「今日の工賃はいくらですか?」
 冗談でTさんに訊いてみます。
「ウチはテレビの設置調整は5,000円なんですけど、でもこれって単にブースターを調整しただけだもんなぁ」
「あははは、なるほど、非常に微妙な所なんですね」
「そうですね、でも悪い電気屋だと、『これはブースターを交換しないとダメですねぇ』とか言って、無理やりブースターを売り付けますからね」
「そうなんだ、結構いるんですか?」
「残念ながら一部にはいるみたいですよ」

6. 霞ヶ関に蠢くモノ…

 ちなみに地デジ化の裏側には、総○省の利権が蠢いているというのがTさんの持論です。
「地デジの難視聴エリアは、BS衛星で電波を送るそうですよ」
「ふーん、じゃあ面倒だから全世帯に衛星で送った方が早くないですか?」
「もちろんですよ。でもそれをすると総○省の利権が無くなっちゃうし、地方局が潰れちゃう可能性がありますからね」
「じゃあわざとお金の掛かる地デジ化を促進してるんですか?」
「ええ、大量に税金を投入して。衛星なら○○タワーなんて必要無いし」
「なんかイイようにもてあそばれてますね、日本国民って」
「地デジなんか要りませんよ」
「あははは、ス○パーだけで十分ですね」

 多少画面の横が切れようと、格安地デジチューナーを装着するのも一つの手段です、はい。

 



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