オショロコマの森ブログ5

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イトウ放流時代におもう  その壱

2020-07-20 20:46:41 | イトウ
イトウ放流時代におもう  その壱


イトウ放流に関する諸問題、道内外来種の概念からニジマス放流まで






イトウの保護活動(オビラメの会)が表彰された。







2020-1-31(金)の北海道新聞 朝刊 23P の左下に、ごく小さな新聞記事として紹介されていました。






同会は絶滅が危惧されていた尻別川水系のイトウ( オビラメ : Parahucho perryi  最近の研究で Hucho→Parahucho とされている )を20年前からの採卵・受精からはじめて、孵化した稚魚を育てて母なる尻別川へ放流し続け、ついに成長したイトウたちが遡上・産卵するまでにこぎつけた。






御尽力されてきた前会長草島清作氏が 2019-5-16 に亡くなられたばかりですが、この功績でオビラメの会が シチズン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたというものです。






現在、イトウの商業的な飼育増殖はけっこう盛んで、なかでも阿寒湖漁業共同組合や青森県鰺(あじ)が沢町イトウ養殖場、糸井川市のSKフロンティアなどが有名である。






特に青森県ではイトウの養殖が盛んで、生け簀での海中飼育実験も行われたが夏場に海水温が20℃を越えると併設生け簀のドナルドソンとともにすべて斃死したという。





阿寒湖のホテル、あかん悠久の里鶴雅のロビーの池には阿寒湖漁協が養殖したイトウ50-60cm がいつも数匹泳いでいて希望があればイトウのお造りなどイトウ料理として供される。











飼育・増殖されたイトウたちは種々食用に供されるが、ニジマスと同じく濃厚飼料で肥育されたイトウは野生のものとはまったくの別物でけっこうおいしいらしい。ネットでの通信販売も行われている。




海中飼育ニジマスと同じく、イトウの神戸牛版といったところでしょうか。





このほか各地の管理釣り場などに放され、近年大物釣りのターゲットとしてとりわけ人気が高い。






商業的養殖は意外と順調に軌道に乗っている一方で、オビラメの会では尻別川にもともと棲息していたイトウ(オビラメ)を復活させる(イトウの生態系そのものを復活させる)という壮大なロマンに挑戦し、20年をかけて、行政にも働きかけて河川環境まで大幅に改善させ、それらが成功しつつあるところが素晴らしいと思う。





また、イトウの産卵光景が観察される場所をあえて公表して、ドラマチックな産卵光景を多くの人々に見てもらうことにより、引っかけ針やヤスで突くなどして捕獲する密漁者から、遡上イトウを守るという手法に踏み切ったところも英断だとおもいます。





ちなみに私が子供のころは北見市の近くの利別川源流に産卵のため遡上する大型イトウを現地の酪農家たちは牧草用フォークでブッスリ刺して貴重な食料として捕獲していました。






このほか同様に朱鞠内湖淡水漁業共同組合でも朱鞠内湖の流入河川の一部に、この水系の親魚に由来する発眼卵や稚魚の放流を続けてその効果が明らかになりつつある。





一方、朱鞠内湖ではイトウのエサになるべき生き物たちや棲息環境に対する影響も種々考えなければならず、単にイトウだけを沢山放流すればそれでよいというわけではないといった深刻な問題も明らかになってきている。エサ不足でやせほそったイトウは見るに耐えないかもしれません。





婚姻色で下半身赤くなった朱鞠内湖のイトウ♂。



現在、北海道でイトウが自然状態で産卵し比較的安定して再生産が行われている水系としては尻別川水系、天塩川水系、猿払川水系、斜里川水系、風連川水系、朱鞠内湖とその流入河川などが知られるが、DNAや生態的に差異のある水系毎の個体群を大切にしようという各保護団体の意気込みは強い。





すなわち、本州においては過去に漁協による養殖イワナの無思慮な大量・持続放流によって、これらが在来のイワナと交雑し、各渓流独自のイワナの遺伝的・生態的・形態的特性がことごとく失われてしまったことの轍を踏むことないよう細心の注意が必要と考えられている。





イワナなら何でも良いから沢山釣れればよいという多くの釣り人の要求に漁協が安易に迎合したことが、今となっては悔やまれています。





同様にイトウなら何でもいいからとにかく釣れれば良いといった発想での勝手気ままな養殖イトウの放流は好ましくなく、今のうちに議論を尽くしておくことが望ましいと思う。





ニジマスと同様に非常に魚食性の強いイトウを放流すると、今ある生態系に多大なる混乱を与えることは容易に考えられます。





もしイトウを放流した場合、その水系に将来どのような事態が起こりうるかをも十二分に想像し検討しておく必要があると思います。





この際、イトウの放流とは、成魚放流のみならず、発眼卵、稚魚、幼魚、若魚 などすべてのステージを含みます。



イトウ稚魚。




イトウ若魚。



       この項、続く。







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