狷介不羈の寄留者TNの日々、沈思黙考

多くの失敗と後悔から得た考え方・捉え方・共感を持つ私が、独り静かに黙想、祈り、悔い改め、常識に囚われず根拠を問う。

「生命倫理」について・・・(1)出生前診断、代理出産、人工妊娠中絶

2013-02-06 23:50:38 | 予防医療の危険性と生命倫理
 「『たかじんのそこまで言って委員会』~2013年1月20日(日)付け」(読売テレビ(日本テレビ系)、13:30~15:00放送)分において、出生前診断、代理出産、殺人の犯罪・不可・禁止理由等の「生命倫理」についての討論が有りました。
 出生前診断の内の着床前診断(受精卵診断)は、受精卵が8細胞~胚盤胞前後にまで発生が進んだ段階でその遺伝子や染色体を解析し、将来起こりうる遺伝疾患流産の可能性を診断する事で遺伝病染色体異常、性別等を発見する事が出来るものです。胚が子宮内膜上皮を通って内膜内部に侵入して子宮壁内に着床して胚の発育の準備を始め、着床の確定をもって妊娠が開始します。通常は胚が子宮に侵入すると直ちに着床します。受精日=排卵日から始まり、7日後~11日後(「妊娠前1~2週」)で着床=妊娠となります。
 この着床前診断を日本産科婦人科学会は指針として、重い遺伝病(重い筋ジストロフィー症)習慣性流産の一部の患者などに限定し、男女や障害・疾患の有無による産み分け等は認めていません
 妊娠後の出生前診断として、羊水検査や最近研究が始められた血液検査等の方法が有ります。羊水検査は「妊娠15 ~18週」の妊婦のお腹に針を刺して採取した羊水に含まれる代謝産物、或いは浮遊する細胞の染色体や遺伝子を検査して、胎児の遺伝病、代謝疾患、染色体異常などを調べるものです。この検査には流産のリスクが伴います。一方、血液検査は妊娠10週目以降の早期に採血によって検査をする為に比較的安易に行なう事が出来、流産のリスクも発生しません。
 代理母出産はある女性が別の女性に子供を引き渡す目的で妊娠・出産することで、これを規制する法制度は現在まで未整備となっていますが、日本産科婦人科学会により自主規制が行われている為に日本国内では原則として実施されていません。其の為、不妊夫婦がこの選択肢を採用する場合に、アメリカ内の代理出産の認められている州においてや、米国よりも安い費用で依頼する事が出来て政府が認め法案が準備されつつあるインドイにおいて行っています。
 代理出産の種類には、代理母とは遺伝的につながりの無い受精卵を子宮に入れ出産する方法と、代理母が人工授精を行い出産する方法が有り、前者には夫婦の受精卵を、第三者提供の卵子との精子との体外受精卵を、第三者提供の精子との卵子との体外受精卵を、第三者提供の精子と卵子との体外受精卵を、それぞれ代理母の子宮に入れて出産する方法が有ります。
 「妊娠12週頃まで」の人間としての形ができるまでの器官形成期未形成胎児として胎芽と呼ばれ、「妊娠12週以降」を胎児と呼びます。
 厚生労働省の省令では「妊娠12週以上」を「死産」として届ける様に規定し、此れに基づいて墓地・埋葬法では12週以上の中絶された胎児を死体として扱う様に定め火葬・埋葬する事になっています。「妊娠12週未満」の場合は法的な定めが有りません。又、中絶胎児の体性幹細胞は移植や難病の治療薬の為等の再生医療に利用される事も有りますが、12週未満の大部分の中絶胎児は医療廃棄物(感染性廃棄物)として廃棄されます
 一般的に「流産」は「自然妊娠中絶」のことを指す場合が多く、日本産科婦人科学会では「妊娠22週未満」の妊娠中絶を「流産」と定義しています。「妊娠22週以降」の場合の妊娠中絶は「死産」と定義しています。日本産科婦人科学会の定義ではさらに、「妊娠12週未満」の「流産」を「早期流産」「妊娠12週以降22週未満」の「流産」を「後期流産」と言い、「後期流産」については法令上、死産の場合と同様の死産届が必要となります。
 日本産科婦人科学会が「流産」と定義する「妊娠22週未満」の人工妊娠中絶に法的問題は有りませんが、胎児と母体の生命、及び身体の安全等の理由で原則禁止であり堕胎罪となります。しかし例外として女性本人・配偶者・親類について遺伝的精神疾患・遺伝的障害・その他重篤な遺伝病の予想からの女性の身体的理由や、経済的理由、強姦などの犯罪被害の結果妊娠した場合の倫理的理由で中絶を容認しています。
 着床前診断の問題として、染色体異常の有無を調べて正常な場合だけ受精卵を子宮に戻して妊娠・出産させて妊娠中絶を避けられる一方、異常のあった受精卵は廃棄される為に、ダウン症等の「障がい者の生存権」を脅かす事に繋がる事が有ります。又、妊娠後の出生前診断においても同様の問題が有ると同時に、人工妊娠中絶の増加に繋がる懸念が有ります。
 又、出生前診断は一定の条件をクリアした生命にしか誕生を許さない為に、どの様な姿であれ命を受け入れると言う「無条件の愛」が失われ、親が求める条件を満たす事によってのみ子供は愛されると言う事になってしまいます
 代理母出産の問題として、インド等の貧困層における人身売買やそれから発展した臓器売買、障がいを持って生まれた子の引取拒否や出産リスクを冒して産んだ子の引き渡し拒否等の契約不履行、自然状態の出産では無い子の精神的影響、代理母の子として扱われる法的親子関係、養子制度等の家族関係等が有ります。
 着床前診断・出生前診断・代理母出産・人工妊娠中絶それぞれには、宗教的な問題を含めた、人間の尊厳・生命の尊厳の生命倫理の問題が有ります。
 以上は現在の其々の状況ですが、私の考え等は後日。