中秋節以降は一時帰国までどこも行かないなどと言っておきながら、結局は出かけてしまった。相変わらず意志が弱いな。
さて、どれも同じように見える中国の列車もそれぞれ「格」と言うものがあって、基本的には省都と北京を結ぶ優等列車が各鉄路局の花形列車となっている。ただ高速鉄道の普及でそういった花形列車の存在も、かつての東海道線東京口の1列車だった寝台特急富士が消滅したように霞みつつある。(もっとも7月の高速鉄道事故の影響で風向きが再び変わりつつあるが)
なので最近は努めてそういう列車に乗るようにしている。4月にT8次(成都→北京西)へ乗車したのもその一環だ。
今回乗車したのは北京西と重慶を結ぶT9次。成都鉄路局重慶客運段の花形列車だ。この列車は買うのが難しい北京西発着長距離特快でも一二を争う混雑ぶりだが、さすがに閑散期は空席が出るようである。そして数日のあいだ空席検索をチェックしていたところ、北京西発車時刻(15:19)を過ぎると鄭州乗車で買える事がわかったのだった。そんなわけで金曜日の午後に切符を購入。喜び勇んで21時半に家を出たのだった。
この時間、西広場行きの66路はすでに運行を終了しているので102路で行こうとしたのだが、ちょうどY807路が来たので初めてそれに乗車して行った。
小雨の降る鄭州駅に降り立ち、そのまま駅舎へ入場した。そして軟席待合室へ行く前に何気なく売店を覗いたのだが、驚くべきものを発見。
く、9月版全国時刻表がぁぁ~
ここ数年、中国の全国版鉄道時刻表は1月、4月、7月、10月の年4回発行(それでも発売時点で内容が古かった)となっていたわけだが、7月の事故に伴う8月末の減速化ダイヤ改正であまりにも変わりすぎたので、急遽発行したのだろう。とりあえず1冊購入した。
その後は軟席待合室で待つ。天津発広州行の特快が遅れているのはいつものこととして、今日は南寧行きのT5次まで遅れている。この列車は自分の乗るT9次を途中で追い抜いてくるダイヤなのでT9次も遅れるかと思ったが、結局は10分ほどの遅れで済んだ。ホームに降りてしばらくすると、SS8に牽引されたT9次が入線。なお鄭州から隴海線に入るため進行方向が変わる。
自分のコンパートメントにはその時点で上段のおじさん一人しかいなかった。この人は保定から十堰までの乗車。最終的には向かいの下段に重慶まで、もう一つの上段には襄陽までの客が鄭州から乗車し満席となった。
そして15分遅れの22:55に鄭州を発車。列車は隴海線へ向けて走り出した。次の停車駅は湖北省の襄陽。およそ6時間ノンストップとなる。発車後さっさと消灯して就寝した。
早朝5時頃、隴海線、焦柳線と経由して湖北省の襄陽に到着。あまり聞き覚えのない駅名だが、昨年襄樊市が襄陽市に改称されたのに伴い、元々の襄樊駅も今年になって襄陽駅に改称されただけである。ここで上段のお兄さんが下車。その後またすぐ寝た。ここからは終点まで襄渝線を走行する。
7時前、今度は十堰に到着。ここで保定から乗っていたという上段のおじさんが下車。早くもコンパートメントは下段のみ2名となってしまった。ただこの向かい若い男がまたよくしゃべる男で、こっちは聞いているつもりなどないのに延々としゃべり続ける。(もっともこの時点ではまだ寝ていたが)
7時半ごろに本格的に起床し、顔を洗って寝癖を直してから食堂車へ朝食を食べに行った。さすが成都鉄路局重慶客運段の管轄だけあり、中国食堂車朝食の定番お粥セット以外に麺が5種類もあった。酸菜肉絲麺を頼む。あっさりしていて美味しかった。
食後はコンパートメントに戻ってコーヒーを飲んでくつろぐ。この瞬間が個人的には一番落ち着くな。
列車は漢水沿いに橋梁とトンネルの連続する区間を走り抜け、9:20、定刻通り陝西省の安康に到着した。安康も雨模様である。
安康は襄渝線と陽安線、西康線が交わる鉄道交通の要衝で、広大なハンプヤードもある。8分停車で定刻通り9:28に発車。ここまで西進した襄渝線はここから南下しだす。
しかし天気が悪い。鄭州からずっと雨模様だ。このあたりもなかなか景色のいい場所なので残念である。
襄渝線はすでに複線化が完了しているが、やはりこの辺りは山岳路線で時折ノロノロ運転となる。なお元々あった単線に別線で付け加えた区間が多いので、上下線が逆になることもある。11:14到着予定の万源には20分の遅れで到着した。万源は中国では珍しくカーブ上にある駅だ。硬座車に吸い込まれていく民工の姿は何年たっても変わらないな。
万源発車後、食堂車へ昼食を食べに行く。SMAPが好きだという回鍋肉と麻婆豆腐を頼んだ。やはり重慶客運段だけあっておいしい。
しかし途中駅から軟臥に乗車してくる客が全くいない。最近の状況からして現時点なら安康や万源乗車で買えるはずなのだが。乗って来るのは身分証提示で列車員に招かれる「偉い人」ばかりである。
達成線と分岐する達州にもおよそ20分遅れで到着。
ここから先は襄渝線、達成線共に動車組運行区間である。ここでT9次の後追いで東莞東発成都行きのT125次がやって来ていることに気づく。T125次は来月ボーゲン隊長と共同戦線を組んで乗車しようと企んでいる列車だ。ただT9次の発車後に入線なので見物することはできなかった。
達州を出るとしばらくの間は、複線化の際に複線直線化新線が建設された区間を進む。途中13:37頃に上り重慶発北京西行きT10次とすれ違う。鄭州~襄陽でもすれ違っているはずだから2回目の顔合わせだ。
四川盆地東部の丘陵地帯を抜け、最後の途中停車駅広安にも20分遅れで到着。ここから重慶までは約2時間半。達州や広安で下車する人が多かったこともあり、この辺りまで来ると車内も閑散としてくる。
ここでT9次の服務状況を記しておく。食堂車は成都客運段のT7次/T8次(北京西~成都)ほどではないが、やはり重慶客運段だけあっておいしい。軟臥車はごく普通の25Kだが、洋式トイレが使用可能だったという点でT8次(一貫して使用不能)よりは上か。田舎の列車は洋式トイレが封鎖されていることが多いのですよ。
また珍しくコンセントが通電状態だった。トイレも洗面所も列車員がマメに清掃していたのできれいだった。全体的にボーゲン隊長が乗車した2006年当時よりはまともだろう。
16時ころになると高層ビル群が丘陵の中に点在するようになり、客も到着かと色めきだす。でも遅れ時間から見てまだ1時間はあるはずだ。
案の定その通りで、列車は重慶西駅経由で長江沿いの成渝線に合流、延々と長江沿いを走り続ける。高層マンション群や橋を見るたびに中心部かと思うがなかなか着かない。そういえば途中の駅の側線で胡散臭い工事が行われていた。放置されたYZ22Cを解体しているのかと思ったら、内部をコンパートメント化改造中だ。硬座車を硬臥車にでも改造するのだろうか。
そして16:57、定刻より24分遅れで重慶駅に到着したのだった。重慶駅は中国では珍しい頭端式の駅だ。駅舎まで歩くと既に牽引してきたSS7Cは外されていた。
なお定期列車の大半は重慶北駅発着となり、ここから出ているのは貴陽方面や成渝線方面の始発列車くらいなので、駅前は本当に重慶かと思うほど空いている。切符売り場など2~3人待ちだな。
このあとは皇冠エスカレーターに乗って7月開業の地下鉄1号線試乗へ向かったのだった。
つづく
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さて、どれも同じように見える中国の列車もそれぞれ「格」と言うものがあって、基本的には省都と北京を結ぶ優等列車が各鉄路局の花形列車となっている。ただ高速鉄道の普及でそういった花形列車の存在も、かつての東海道線東京口の1列車だった寝台特急富士が消滅したように霞みつつある。(もっとも7月の高速鉄道事故の影響で風向きが再び変わりつつあるが)
なので最近は努めてそういう列車に乗るようにしている。4月にT8次(成都→北京西)へ乗車したのもその一環だ。
今回乗車したのは北京西と重慶を結ぶT9次。成都鉄路局重慶客運段の花形列車だ。この列車は買うのが難しい北京西発着長距離特快でも一二を争う混雑ぶりだが、さすがに閑散期は空席が出るようである。そして数日のあいだ空席検索をチェックしていたところ、北京西発車時刻(15:19)を過ぎると鄭州乗車で買える事がわかったのだった。そんなわけで金曜日の午後に切符を購入。喜び勇んで21時半に家を出たのだった。
この時間、西広場行きの66路はすでに運行を終了しているので102路で行こうとしたのだが、ちょうどY807路が来たので初めてそれに乗車して行った。
小雨の降る鄭州駅に降り立ち、そのまま駅舎へ入場した。そして軟席待合室へ行く前に何気なく売店を覗いたのだが、驚くべきものを発見。
く、9月版全国時刻表がぁぁ~
ここ数年、中国の全国版鉄道時刻表は1月、4月、7月、10月の年4回発行(それでも発売時点で内容が古かった)となっていたわけだが、7月の事故に伴う8月末の減速化ダイヤ改正であまりにも変わりすぎたので、急遽発行したのだろう。とりあえず1冊購入した。
その後は軟席待合室で待つ。天津発広州行の特快が遅れているのはいつものこととして、今日は南寧行きのT5次まで遅れている。この列車は自分の乗るT9次を途中で追い抜いてくるダイヤなのでT9次も遅れるかと思ったが、結局は10分ほどの遅れで済んだ。ホームに降りてしばらくすると、SS8に牽引されたT9次が入線。なお鄭州から隴海線に入るため進行方向が変わる。
自分のコンパートメントにはその時点で上段のおじさん一人しかいなかった。この人は保定から十堰までの乗車。最終的には向かいの下段に重慶まで、もう一つの上段には襄陽までの客が鄭州から乗車し満席となった。
そして15分遅れの22:55に鄭州を発車。列車は隴海線へ向けて走り出した。次の停車駅は湖北省の襄陽。およそ6時間ノンストップとなる。発車後さっさと消灯して就寝した。
早朝5時頃、隴海線、焦柳線と経由して湖北省の襄陽に到着。あまり聞き覚えのない駅名だが、昨年襄樊市が襄陽市に改称されたのに伴い、元々の襄樊駅も今年になって襄陽駅に改称されただけである。ここで上段のお兄さんが下車。その後またすぐ寝た。ここからは終点まで襄渝線を走行する。
7時前、今度は十堰に到着。ここで保定から乗っていたという上段のおじさんが下車。早くもコンパートメントは下段のみ2名となってしまった。ただこの向かい若い男がまたよくしゃべる男で、こっちは聞いているつもりなどないのに延々としゃべり続ける。(もっともこの時点ではまだ寝ていたが)
7時半ごろに本格的に起床し、顔を洗って寝癖を直してから食堂車へ朝食を食べに行った。さすが成都鉄路局重慶客運段の管轄だけあり、中国食堂車朝食の定番お粥セット以外に麺が5種類もあった。酸菜肉絲麺を頼む。あっさりしていて美味しかった。
食後はコンパートメントに戻ってコーヒーを飲んでくつろぐ。この瞬間が個人的には一番落ち着くな。
列車は漢水沿いに橋梁とトンネルの連続する区間を走り抜け、9:20、定刻通り陝西省の安康に到着した。安康も雨模様である。
安康は襄渝線と陽安線、西康線が交わる鉄道交通の要衝で、広大なハンプヤードもある。8分停車で定刻通り9:28に発車。ここまで西進した襄渝線はここから南下しだす。
しかし天気が悪い。鄭州からずっと雨模様だ。このあたりもなかなか景色のいい場所なので残念である。
襄渝線はすでに複線化が完了しているが、やはりこの辺りは山岳路線で時折ノロノロ運転となる。なお元々あった単線に別線で付け加えた区間が多いので、上下線が逆になることもある。11:14到着予定の万源には20分の遅れで到着した。万源は中国では珍しくカーブ上にある駅だ。硬座車に吸い込まれていく民工の姿は何年たっても変わらないな。
万源発車後、食堂車へ昼食を食べに行く。SMAPが好きだという回鍋肉と麻婆豆腐を頼んだ。やはり重慶客運段だけあっておいしい。
しかし途中駅から軟臥に乗車してくる客が全くいない。最近の状況からして現時点なら安康や万源乗車で買えるはずなのだが。乗って来るのは身分証提示で列車員に招かれる「偉い人」ばかりである。
達成線と分岐する達州にもおよそ20分遅れで到着。
ここから先は襄渝線、達成線共に動車組運行区間である。ここでT9次の後追いで東莞東発成都行きのT125次がやって来ていることに気づく。T125次は来月ボーゲン隊長と共同戦線を組んで乗車しようと企んでいる列車だ。ただT9次の発車後に入線なので見物することはできなかった。
達州を出るとしばらくの間は、複線化の際に複線直線化新線が建設された区間を進む。途中13:37頃に上り重慶発北京西行きT10次とすれ違う。鄭州~襄陽でもすれ違っているはずだから2回目の顔合わせだ。
四川盆地東部の丘陵地帯を抜け、最後の途中停車駅広安にも20分遅れで到着。ここから重慶までは約2時間半。達州や広安で下車する人が多かったこともあり、この辺りまで来ると車内も閑散としてくる。
ここでT9次の服務状況を記しておく。食堂車は成都客運段のT7次/T8次(北京西~成都)ほどではないが、やはり重慶客運段だけあっておいしい。軟臥車はごく普通の25Kだが、洋式トイレが使用可能だったという点でT8次(一貫して使用不能)よりは上か。田舎の列車は洋式トイレが封鎖されていることが多いのですよ。
また珍しくコンセントが通電状態だった。トイレも洗面所も列車員がマメに清掃していたのできれいだった。全体的にボーゲン隊長が乗車した2006年当時よりはまともだろう。
16時ころになると高層ビル群が丘陵の中に点在するようになり、客も到着かと色めきだす。でも遅れ時間から見てまだ1時間はあるはずだ。
案の定その通りで、列車は重慶西駅経由で長江沿いの成渝線に合流、延々と長江沿いを走り続ける。高層マンション群や橋を見るたびに中心部かと思うがなかなか着かない。そういえば途中の駅の側線で胡散臭い工事が行われていた。放置されたYZ22Cを解体しているのかと思ったら、内部をコンパートメント化改造中だ。硬座車を硬臥車にでも改造するのだろうか。
そして16:57、定刻より24分遅れで重慶駅に到着したのだった。重慶駅は中国では珍しい頭端式の駅だ。駅舎まで歩くと既に牽引してきたSS7Cは外されていた。
なお定期列車の大半は重慶北駅発着となり、ここから出ているのは貴陽方面や成渝線方面の始発列車くらいなので、駅前は本当に重慶かと思うほど空いている。切符売り場など2~3人待ちだな。
このあとは皇冠エスカレーターに乗って7月開業の地下鉄1号線試乗へ向かったのだった。
つづく
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