鄭州鉄道日記

河南省鄭州市で働いています。中国鉄道交通の要衝であるこの街から、中国の鉄道の情報を発信していければと思います。

T128次 東莞東→成都 2011年10月28日

2011年11月02日 15時35分05秒 | 乗車記(寝台)
中国の長距離列車は一般的に寝台と座席双方を連結しているわけだが、その比率は概ね列車種別の格が上がるほど寝台が多くなる傾向にある。ただ実際はそれに加えて列車の運行区間による列車運行の目的も絡んでいる。
今回乗車したT128次はまさにその典型だ。特快という長距離列車では基本的に最優等の列車ではあるが、その編成は軟臥1両、硬臥5両に対し硬座9両と完全な運搬車編成になっている。工場地帯で出稼ぎの多い東莞における民工積出駅と言える東莞東を起点として、陝西省南部、四川省北東部を横断。四川や陝西省南部の民工を東莞へ送り込むために走っているのである。
この列車の性格に加えて東莞東駅発ということで、前々から気にはなっていたものの、チキンなので東莞東駅へ行くのが憚られたのだったが、今回、ボーゲン隊長との共同戦線を組むことでようやく実現の運びとなったのである。

28日10時過ぎ、広深線の東莞駅前で隊長と待ち合わせた。何度も乗っている広深線だか実は途中下車するのは初めてだった。
東莞駅から4路の路線バスで移動する。まっすぐ向かわずにぐるぐる回るので、直線距離ではそれほど遠くない東莞東駅まで20分以上かかった。そしていよいよ東莞東駅に到着。やはり景気の悪い雰囲気が漂っている場所だ。

しかも駅前広場にdicosがある・・・広東省で初めて見たな。マックやケンタッキーが減る河南や四川などだとハンバーガーチェーンでは最大勢力を形成するdicosだが、沿海部では非常に少ない。上海では1件しか目撃したことがない。

写真を撮ってから駅に入場するが、この駅の保安検査は3段構えだった。まずは切符のチェック、ここで改札を済ませてしまう。続いて乗客全員の身分証チェック。最後にようやく荷物検査で晴れて入場となった。年々入り口の検査が厳しくなるな。

駅舎は2階建て。T128次の待合室は2階だが、なんとあまり存在を期待していなかった軟席候車室がある!!しかもただの候車室ではなく、中国移動の全球通VIP会員ラウンジだった。こんな駅を利用する全球通のVIP会員がいるとは思えないのだが、案の定自分たち以外にはT128次の軟臥客4名しかいなかった。


発車約40分前に乗車が開始されたので、候車室目の前の1番線からT128次に乗車した。T128次は東莞東発成都行きの特快で、管轄は広梅仙鉄路公司(広州鉄路集団傘下の地方鉄道)東莞東客運段だ。使用車両は汕頭車両段の25K型で、同車両段の車両は白地に青帯と黄色の広梅仙鉄路公司オリジナルカラーとなっている。

東莞東駅1番ホームは邪魔な柱と小うるさい駅員が多いので、ホームでの撮影は自粛。隊長は先頭まで機関車を撮りに行ったが、撮るなと体よく追い払われた。なお牽引機はDF11だ。

基本的に満席なのだが、途中駅からの利用も多く、東莞東から乗ってきた軟臥客は10名強だった。コンパートメントは上段に安康で下車する品のいいおばさんが一人。もう一つの上段はとりあえず空席だった。(途中の贛州から乗ってきた)
そして12:02、列車は青島発広州東行きの特快と同時に定刻で東莞東駅を発車した。


発車後しばらくして食堂車へ昼食を食べに行った。ただ発車直後という営業時間からメニューは車内販売の弁当にスープをつけて30元という物のみ。仕方がないのでそれを食べる。広州客運段管轄列車に比べればマシだが、それでも貧相であることに変わりはない。広鉄集団は何でこんな飯ばかりなのだろう。

食事をしている間に恵州に到着。その後も河源、龍川とほぼ定刻通りの運行だ。この辺りの駅は特に寝台の乗下車が少なく、各駅停車時は隣の硬臥車と乗車口を供用していた。龍川で厦門方面の路線と分岐する。



龍川が広東省最後の停車駅で、しばらく走ると江西省に入る。この辺りもまだ中国では南国だが、龍川付近まで見られたバナナの木は姿を消し、代わりに松の木などが増えてくる。しかしこの辺りをゆったりと昼間通るのは初めてだが、思った以上に険しい山並みだ。
京九線は97年の香港返還に間に合わせるために既存路線と新路線を組み合わせて突貫工事で建設されたのだが、龍川以北は新路線のようで、上下線を揃えた複線の高架やトンネルが続く。


17:30、定刻通りに江西省最初の停車駅であるカン州に到着。山岳地帯が続いていたので、久しぶりの大きな都市だ。ここから夫婦が乗車してきた。おばさんは自分たちのコンパートメント上段、おじさんは隣のコンパートメントの上段だったが、今更「変わってくれ」などというふざけたことは言ってこないまともな人たちだった。彼らは武昌までの乗車で深夜の1時半に降りることになる。軟臥で成都まで乗る人って少ないんだろうな。


カン州発車後に営業開始したばかりの食堂車へ行く。ただ普通ならこんな時間は空いている食堂車だが、9両もつないでいる硬座は無座客で溢れかえっており、そのために食堂車も座席難民で混んでいた。加えて服務員と厨房の手際の悪さで料理が出てくるまで45分もかかったのだった。そして料理は写真のような感じ。

念のため解説すると、「回鍋肉」と「ジャガイモ細切りと肉炒め」である。実態は「ニンジン炒めとジャガイモの炒め、ちょっとしたお肉を添えて」と言ったところ。味付けはまあまあ普通だった。なお缶ビールは珍しいチベット製でしかも冷えていた。これだけは褒めてあげよう。
しかし硬座は写真を撮るのも憚られる混みよう。

車両間の短い幌を抜けると、そこは無座だった

カン州、吉安と列車は停車。ほぼ定刻。この辺りまで来ると列車は平地を快走する。

そして向塘で滬昆線と交差。京広線の鄭州や株洲と違い、土地をふんだんに使用した向塘の交差は壮大そのものだ。例えれば鄭州や株洲が美女木なら、向塘は三郷である。(わかりづらい例えだな)

向塘の手前から遅れだしたため、江西省の省都である南昌には20分弱の遅れで到着した。南昌は初めて中国で乗った寝台車で着いた場所だが、それは6年半前の話。南昌での乗下車はそれが今のところ最後だし、南昌自体4年半来ていない。まあ特に用もないのだが。


ここで機関車付け替えのために15分ほど停車し、南昌駅を発車。ところがしばらくして停車すると全く動かなくなった。30分以上停車し続け、南昌発車時刻で考えると1時間も遅れて動き出す。しかししばらくしてからまた急停車。気にしてもしょうがないのでここで就寝した。


深夜2時半、武昌で降りる上段の人が動き出したので目が覚めた。あきらかに1時間以上遅れているな。武昌到着を見届けてからまた寝た。この先も時折目が覚めたが、武昌から襄陽にかけては列車は快走していた。

早朝6時、襄陽に到着。定刻では5時前について5時ちょうどくらい発だから1時間20分程度遅れている。ここで機関車をまた付け替えするだけでなく進行方向が変わる。6:20ころ発車した。

その後明るくなってきたので、起床した。朝食は食堂車が座席難民で相変わらず混雑していたので、酸辣粉を持ち帰ってコンパートメントで食べた。10元。東莞東客運段ということもあってか大して辛くもなく、卵も入っていてそれなりのボリュームだった。


霧が出ている中、列車は武当山を通過して8:15に十堰に到着した。ここは定刻だと6:45発。1時間20分は遅れているな。ここで結構な数の客が下車した。9月に乗ったT9次も終点(重慶)まで行く客より襄陽〜達州にかけての下車客が多かった。閑散期は皆こんな感じなのだろう。


十堰を出てしばらく走ると列車は漢水沿いを走る。トンネルが続くため聯通の3Gは電波が受信できず、隊長は文句を言ってまた寝た。


安康の案内放送が始まったので隊長を起こす。安康は西康線、陽安線と交差する陝西省南部の交通の要衝だ。行きかう貨物列車は大半が和諧1Cの牽引だった。広大な貨物ヤードの脇を抜け1時間15分遅れで安康に到着。

ここで東莞東から乗っていたおばさんが下車し、コンパートメントは2人だけになった。停車時間が長いので先頭へ機関車を撮影に走る。と言っても進行方向が変わって前方には硬臥車5両と電源車しかないので意外と近いのだ。和諧3型の牽引だった。


安康からは襄渝線は進路を南へ変える。この辺りはT128次走行区間で一番山深い場所だ。複線化されてはいるものの、襄陽方面を新規に建設したようで、重慶方面の線路は旧線だった。深い谷を大規模なΩカーブで高度を上げていく。
そしてその後は逆に下がっていく。旧線に別の新線を追加した関係で上下線の位置が逆転している所も多かった。



1時間10分の遅れで万源に到着。いつも万源では1番ホーム到着なのだが、今日は初めて2番ホームだった。2番ホームには屋根がない。


万源発車後、食堂車へ昼食を食べに行く。ここで服務員のおばさんと隊長が大げんか。原因は写真撮影。隊長は一眼レフだから非常に目立つのだ。列車のサービスの悪さが特に際立つ食堂車での写真撮影は慎重に、目立たないようにするのが鉄則だ。今後は車内用にコンデジを用意しようと心に決めた隊長であった。

料理は肉の含有量など昨日よりはまともだった。



隊長はまた昼寝する。そしてしばらく走り、達州に到着した。達州では嵩上げされていない1番ホームに到着。到着と同時に成都東行きの動車組が発車して行った。達州は襄渝線・達成線・万達線の3路線が乗り入れている。

重慶発北京西行きT10次の到着と入れ替わりで達州を発車。いかにも環境に悪そうな工場を眺めながら達成線へと入っていく。が、しばらくの間9月のT9次乗車時に眺めた景色が続く。おかしいなと思っていたら達州で襄渝線と達成線が分岐しているわけでなく、しばらく走ってから分岐しているということが分かった。


達成線に入ると複線電化の直線路線を快走する。達成線はかつて達成鉄路公司という地方鉄道扱いだったが、複線電化の大規模工事のために成都鉄路局直轄となり、2009年に全線の複線電化が完了した。険しい山岳地帯を抜ける襄渝線と違い、新たに複線電化の直線路線が建設されたのだった。そのため旧線は遂寧〜達州間に関しては廃線となり既にレールは撤去されている。
しかし牽引機がSS7Eとかだったら25K型客車の最高時速である140キロで走れるのだが、牽引機は最高時速120キロの和諧3なのでそれが生かせない。170キロ対応の準高速タイプの電気機関車は希少なのだから、もう少し機関車の運用をどうにかしてほしいものだ。

達成線に入って最初の停車駅は営山。直線上にあるうえ本線を中央に通過線として設けているため、見通しのいい駅だ。ちょうど達州方面へ向かう和諧1C牽引の貨物列車が通過して行った。この駅は動車組は一切停車しないようでホーム嵩上げは行われていなかった。


営山を出ると30分ほどで南充に到着。昔、この駅前で関口智宏が生中継をしている時に通過したことがある。現在ここは動車組停車駅で成都行きの始発もある。


最後の停車駅である遂寧には1時間遅れで到着。ここは定刻だと37分停車なのだが、わずか3分停車で発車となった。このまま行けば遅れは30〜40分で済むことになる。

遂寧を走ってしばらく走ると遂渝線の本線と合流する。以前は遂渝線は遂寧駅で分岐していたため、動車組も遂寧駅構内を通過していたが、現在はここから遂渝線に入って重慶方面へ向かう。路線上は達成線に遂渝線が合流なのだが、成都から延びる達成線の本線はそのまま遂渝線となっており、逆に東から達成線を進んでくると合流する形となっている。


しかし遂寧を3分停車で発車できたものの、世の中やはり甘くなかった。結局、成都を目前に臨時停車し3本の動車組に抜かれた。これで30分以上のロス。そして結局1時間半の遅れで既に暗くなった成都へ到着したのだった。


この後は翌日に隊長が乗る動車組の切符を購入し、地下鉄でホテルへと向かった。


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長距離列車 電気機関車 成都鉄路局 広州鉄路集団 ハンバーガーチェーン
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